適性検査分析

東京都立
小石川中等教育学校

基本情報

小石川中等教育学校 外観

学校紹介

都立小石川高校を設置母体として平成18年に中等教育学校として開校。前身の府立五中は大正7年(1918年)に創立。2018年に100周年を迎えた伝統校。

住 所

文京区本駒込2丁目29番29号

電話番号

03-3946-7171

アクセスマップ

過去の入試データ

募集人員

年度 2020 2021 2022 2023 2024
80 79 80 80 80
80 79 80 80 78
157 159 160 160 158

応募者数

年度 2020 2021 2022 2023 2024
434 390 346 356 312
448 402 366 389 372
882 792 712 745 684

受検者数

                                                       
年度 2020 202120222023 2024
403 372325325 289
398 366339360 327
801 738664685 616

合格者数

                           
年度 2020 2021 20222023 2024
80 79 8080 80
77 80 8080 78
157 159 160160 158

実質倍率

                                                       
年度 2020 202120222023 2024
5.04 4.714.064.06 3.61
5.17 4.584.244.50 4.19
5.1 4.644.154.28 3.90

適性検査分析

適性検査Ⅰ

【出典】
文章1 東直子「生きていくための呪文」による
文章2 藤田真一「俳句のきた道 芭蕉・蕪村・一茶」(一部改変)による

【出題形式】
例年と同様に読解2問、作文1問という形式でした。読解は文章内から例を探して記述する問題と、該当する連続する2文をそのまま抜き出すという問題でした。作文は今後の学校生活を意識して書いていくものであり、字数も例年通り400字以上440字以内となっていたので、大きな傾向の変化はありませんでした。

〔問題1〕問われている内容に一致する具体例をそれぞれの文章から探し記述する問題
短歌・俳句をくり返し唱えたり、思いうかべたりすることには、どのような効果があると述べられているのか、文章1と文章2で挙げられている具体例を一つずつ探す問題です。具体例をそれぞれの文章から探す必要があるため、短歌・俳句を「繰り返し唱える」「思いうかべる」ことで得られる「効果」を探せば良いだけの問題ですが、文章自体が小6生にとって読みにくいのでそう簡単には見つけられなかったかもしれません。

〔問題2〕文章2の傍線部に関連する文を、文章1から抜き出し記述する問題
文章1の筆者は短歌を読んで、どのような情景を想像しているか、連続する二文を探して答える問題です。文章1の筆者が短歌を読み、情景を想像している部分を探すだけなので平易な問題であったといえるでしょう。短歌を読んで情景を想像していると読み取れる箇所は複数ありますが、「連続する二文」という条件をクリアできる箇所は絞られています。これは確実に正解しておきたい問題でした。

〔問題3〕二つの文章のいずれかの考えに触れ、自分の考えを書く問題
これからの学校生活で仲間と過ごしていくうえで、言葉をどのように使っていきたいかを答える問題です。
文章1・文章2の筆者の、短歌・俳句に対する考え方の「いずれか」に「ふれる」という指示がありましたので、自分にとって「わかりやすく」そして「書きやすい」部分を探すところから始めなければなりませんでした。文章1の内容に寄せて書いた受検生が多かったはずです。それ以外は明確な指示はなく、字数指定も例年通りでした。あとは、「これからの学校生活で仲間と過ごしていく上で」言葉をどう使っていきたいか、筆者の考え方と関連付けてまとめる必要がありました。

適性検査Ⅱ

【大問1】デジタル数字を題材にした問題
大問1は前年度同様小問2題のシンプルな構成でした。どちらの問題もデジタル数字を題材としたパズル要素の強いものでした。全体的にここ数年の中では取り組みやすい難易度になっていました。

〔問題1〕マグネットシートから棒状のマグネットを切り取り必要な個数をつくる問題です。花子さんと太郎さんで「かく」作業と「切る」作業を分担して行い、できるだけ早くすべての作業を終わらせます。それぞれ作業にかかる時間が違うので、どう組み合わせるべきなのか当たりをつけて解き進める必要があります。

〔問題2〕ルールに従って、指定された3けたのデジタル数字を最短時間で作る方法を考える問題です。「マグネットをつける操作」「マグネットを取る操作」「数字の書かれたボードを180度回す操作」「2枚のボードを入れかえる操作」を組み合わせて考えます。回転と入れかえをいかに効率よく使えるかがカギとなりました。

【大問2】世界の森林面積をテーマにして、環境問題について考えさせる問題
小問数が例年では3問でしたが、2問に減少しました。
〔問題1〕では、計算問題、計算で求めた数値をもとにグラフを作成する問題、複数の地域のうち一つの地域を選び、資料をふまえて森林面積の増減の理由について考えを書く問題が出題されました。
計算問題の数は増えましたが、例年よりも桁数が少ないため、かかる時間は同程度という印象です。また、複数の候補から一つを「選び」、理由や特徴を述べる問題は小石川中において頻出ですが、最も変化が大きい地域のアフリカを選択すると解答しやすかったのではないでしょうか。

〔問題2〕では、「世界の森林面積を増加させるためにはどうしたらよいか、減少させないためにはどうしたらよいか」について、「世界の国々はどのような協力をすればよいと考えるか」、考えを151字以上210字以内で書く問題が出題されました。一昨年までは150字以内、昨年は180字以内、そして今年は210字と、求められる記述の量が増えていますが、今年は小問数が減ったため、単に素早く「埋める」のではなく、しっかり思考し丁寧に取り組むべき問題であると言えるでしょう。
資料6と資料7から読み取れる内容を書くこと、〔問題1〕で書いた解答の内容も参考にすること、それぞれの目的(森林の面積を増やすため、森林の面積を減らさないため)ごとに分けて「国同士の協力」を書くこと、など、しっかりと正対できたかどうかがポイントです。この問題の出来不出来が合否を左右すると言えるでしょう。

【大問3】「まさつ」について調べる実験を題材にした問題
ここ3年連続していた、小問が2問あり、それぞれに設問が2つある実質4問の問題構成から一変、小問が2問、設問も1つずつの実質2問構成となり、問題量が大幅に減りました。2問とも記述の要素を含みますが、分量がそれほど多くもないため、単純に負担が減ったと考えられます。実験結果の考察が中心で、計算が必要な問題はありませんでした。

〔問題1〕は、ペットボトルのキャップにつけられたみぞのまさつによる効果を、モデル化した実験で確かめる問題です。実験の内容そのものは結果も素直で分かりやすいものではありますが、問題で問われている内容を過不足なく盛り込んで完全な解答を書く観点を持たずに、ぱっと解答をしてしまうと、要素が不足して減点となりうる、問題文の読解力で点数の分かれる問題でした。

〔問題2〕は、斜面をすべり下りる物体の摩擦力が、接地面の素材にどのような影響を受けるかを、実験から明らかにする問題です。複数の条件が設定されているので、対照実験の考えを使うことが必要になりました。実験の内容そのものは比較的分かりやすいものであったため、対照実験の仕組みの理解とそれを言語化できるかどうかが得点の肝でした。

適性検査Ⅲ

【大問1】音を題材にした問題
問題1は人の声を直接聞いたときと電話で声を聞いたときのそれぞれの場合について、音をオシロスコープで見た図を比較する問題です。会話文をもとに考えることができ、記述としては書きやすい問題でした。問題2は短い時間でアマガエルの鳴く様子を調べたときに、アマガエルが他のアマガエルと声が重ならないように鳴いていることについて、その理由と、アマガエルが何をもとに鳴くタイミングを判断しているかを述べ、鳴いたアマガエルの位置を把握するための工夫を説明する問題でした。(1)は会話文で解答が示唆されているものの、(2)と(3)は明確なヒントのない考えるしかない問題で、難度の高い問題でした。問題3は問題2より長い時間でアマガエルの鳴く様子を調べたときの図について分かることを述べる問題でした。共通点に着目する、といった資料を分析するときの定番の考え方を理解しないと、手を出しづらい、こちらも難度の高い一問でした。問題4は身のまわりにあるもので自動的にオンとオフが切りかわるものについて述べる問題でした。定番の実験型問題と同系統ですが、例年よりは難度が低く、正解しておきたい一問です。

【大問2】条件に合うようにグループ分けを行う問題
問題1はプレゼントを用意した5人のメンバーが、お互いのほしいものをもとにメンバーとプレゼントの組み合わせを決める問題でした。適性検査としては頻出の考え方であり必答問題でした。問題2は5人ずつの2つのグループがペアを作るときの組み合わせを、条件に従い答える問題でした。会話文と例示をよく理解しながら解く問題で、難度はやや高く、合否を分けた問題の一つでした。問題3は12人が問題2でのペア以外の人と任意の人数で互いの手をタッチするとき、条件にあうタッチする人数を答える問題です。類題を経験している受検生は多かったでしょう。算数は前年度に比べるとかなり解きやすくなっていました。

適性検査Ⅰ

【出典】
文章1 遠藤敏明「〈自然と生きる木〉木でつくろう 手でつくろう」による
文章2 田口幹人「なぜ若い時に本を読むことが必要なのだろう」による

【出題形式】
例年と同様、読解問題が2問、作文問題が1問出題されました。読解問題では2019年以降続いて出題していた文章横断型の問題(傍線が引いてある文章とは異なる文章から解答を書いたり探したりする問題)は出題されませんでした。
作文問題は前年度と同様、各段落に書くべき内容は指定されず、自分で適切に段落分けをする問題でした。二つの文章から読み取れる共通していると思う考え方を適切にまとめ、「学び」と関連させることができたかどうかが勝負の分かれ目となりそうです。

〔問題1〕傍線部の理由を文章から抜き出して答える問題
なぜ、「ナイフのけずりあとがあるような、荒けずりな木材のもつ表情」が「古くさく感じない」と言えるのか、解答欄に当てはまるように文章1から抜き出して答える問題です。
隙間や傷のある家具などは、どのようなことを思わせるために、新しい命を感じさせるのかを文章1から探します。セオリー通りに考えていけば答えにたどり着ける一問で、確実に正解しておきたい問題でした。

〔問題2〕文章内容を読み取り説明する問題
「行間を読む」ことについて、本を読むことにおいては何をどうすることか、「真実」「事実」という語を用いて説明する問題です。
「難しい表現をすると」とあるため、直前の段落にある「書かれていることを読み、そこに書かれていないことを考える作業」を軸に考えて答えをまとめます。「真実」と「事実」が書かれていること、行間に対応することは明示されているため、これがヒントとしても機能する一問でした。端的にまとまっている一文があるわけではなく、複数箇所の情報をまとめる必要があるため、点数の分かれる問題でした。

〔問題3〕二つの文章から読み取れる共通していると思う考え方をふまえて作文を書く問題
2つの文章から読み取った「共通していると思う考え方」をまとめ、それをはっきり示したうえで、これからの学校生活でどのように学んでいくつもりか、関連させて作文を書くことが求められています。
共通点の読み取りについて、これまでの年度の問題と比べて、二つの文章ともに抽象度が高く、共通点が明示されているわけではなかったために、難度が高かったと言えます。過去を未来に生かす、といった内容だと、「学び」の姿勢とも関連性が高いので書きやすくなったはずです。

適性検査Ⅱ

【大問1】プログラミングを題材とした問題
大問1は前年度同様小問2題の構成でした。前年度は小問1つずつがさらに2つの問題で構成されていましたが、今回はシンプルな2題構成です。新学習指導要領の注目点の一つでもある、プログラミング的思考を題材にした問題となっています。上手に当たりをつけながら考えていかないと、大幅に時間がかかってしまいます。前年度ほどではありませんが、依然として高難易度の傾向が続いています。6年連続で出題されていた、立体図形に関する問題の出題は、今年度はありませんでした。

〔問題1〕は、ブロックを運んで倉庫におくロボットについて、指定された時間でブロックを全て倉庫におけるような、ロボットの移動する道順を考える問題でした。
与えられた条件を満たすような道順を考える問題は、過去の都立中の適性検査でもよく出題されていましたが、設定の自由度が高く、当たりをつけながら1つ1つ試していく力が必要でした。また、ただ答えを求めるだけでなく、それを説明する記述力も求められ、限られた時間の中で解き切るのはやや困難な問題でした。

〔問題2〕は、4つの電球につながった5つのスイッチのうち、いくつかのスイッチを押したときの電球の付き方の様子から、どのスイッチがどの電球につながっているかを考える、論理パズルのような問題でした。
会話文で丁寧に説明されている考え方の流れを、他の場合にも適用しながら考えていく力が必要な、いかにも適性検査らしいオーソドックスな問題でした。記述も必要ないため、比較的解答しやすく、ぜひ取り組みたい1問だったと言えます。

【大問2】電子書籍をテーマとした問題
〔問題1〕では桁数の多い計算問題、計算で求めた数値を用いて折れ線を作成する問題、作成したグラフを読み取り、移り変わりの特徴を記述する問題が出題されました。
計算問題とグラフを作成する問題は例年通りでしたが、移り変わりの特徴を記述する問題では、1972年から2020年までを三つの時期に分け、それぞれの時期の移り変わりの特徴を書くという指示が含まれていました。計算を素早く確実に処理し、共通点や相違点に着目して考察を進める必要がありました。

〔問題2〕では電子出版のなかで、特にコミックの販売数が増えている理由について自分が思いついた考えと仮説が正しいかどうかを書く問題と、紙の「事典・辞典」の販売冊数が減っている理由について会話文や資料をふまえて自分の考えを書く問題が出題されました。

〔問題3〕では課題発見・課題解決型の記述問題が出題されました。今年度は字数指定が151字以上180字以内に変更、例年より30字増えた形となりました。問いにしっかりと正対することができたかどうかが大切です。
単に、電子出版や紙媒体の問題点を書いて、その解決方法を書くのではなく、「知識や情報を社会へ広めたり、次の時代へ伝えたりするために、紙を使った出版と電子出版をどのように使い分けることが、将来の出版にとってよい」のか、具体的な方法を書くことが求められています。また、例年の問題とは異なり、「これまでの会話や資料、解答を参考にして」書くように指示がありました。

【大問3】ものが水滴をはじく様子および水分を吸収する様子を調べる実験を題材にした問題
前年度に引き続き小問は2問でした。各小問に2つの設問があり、実質4問の出題です。実験結果を読み取り、ふさわしい記号を選ぶ問題が1題、実験結果を読み取った分析結果を記述する問題が3題という内訳でした。
実験を読み解くうえで必要な数値については会話文中に与えられていたので、計算はあまり必要ありませんでした。前半は植物の葉が水滴をはじく様子を調べる実験が題材となりました。葉の形、葉の面積、水滴の写真、水の量の変化といった実験結果を比べ、水滴が転がりやすい葉と転がりにくい葉のちがいをどのように判断するか記述で答えることが最終的な目的です。転じて後半は衣服が水分を吸収する様子を調べる実験が題材となりました。ポリエステルの布の方が木綿の布に比べて水をより多く吸収する理由を実験結果から考察する問題、シャツから蒸発する水の量を求める方法を説明する問題という構成でした。いずれも実験内容の把握と記述答案の作成に時間がかかったと思われます。

適性検査Ⅲ

小石川中の独自作成問題です。例年通り、大問2題構成で、大問1が理科分野から、大問2が算数分野からの出題でした。

【大問1】ボトルアクアリウムの中の生物に関する問題
〔問題1〕は学校の観察池で生物が生き続けるのに必要な環境を答えます。
〔問題2〕では光合成に関する出題でした。
呼吸の仕組みや日光の役割など、光合成の仕組みをくわしく考察する問題で、合否の結果に大きく影響すると思われる出題です。
〔問題3〕は例年出題されている実験計画に関する問題でした。
ボトルアクアリウムの中にある土とヤマトヌマエビの役割を考えたうえで実験を考えますが、やや難しい問題でした。
〔問題4〕は水草のホテイアオイが水に浮いていても育つ理由を答える問題でしたが、受検生にとっては難しかったと思われます。いずれの問題も、理科の単元的な知識がなければ正解するのが難しかったと言えます。

【大問2】平面図形、立体図形をテーマにした問題
〔問題1〕は白と黒の正方形のタイルを4つ組み合わせた図形を使って大きな長方形を作る問題で、白と黒のタイルの個数に注目して理由を説明します。頻出の内容であり、必答問題でした。
〔問題2〕は白いタイルを5枚つなげてできる図形が何通りあるかを調べる問題です。こちらも適性検査では頻出テーマで、同様の問題を解いたことのある受検生が多かったでしょう。
〔問題3〕は4×4×4の立方体を切断面がひし形になるように切断したとき、黒い立方体が何度切ることになるか数える問題でした。
断面図を描いて処理するタイプで、これも類題を経験している受検生が多かったと思われます。算数は前年度に比べるとかなり解きやすくなっていました。

適性検査Ⅰ

例年と同様、読解問題が2問、作文問題が1問出題されました。作文問題は近年の傾向と変わり、段落ごとの条件指定がなくなりました。読解問題の難度は高くなりましたが、作文問題は取り組みやすいものでした。

【出典】
文章1:盛口満「自然を楽しむ―見る・描く・伝える」による
文章2:松原始「科学者の目、科学の芽」による

〔問題1〕<文章横断型の記述問題>
文章2の「心躍る景色」が、文章1ではどのように表現されているのかを書いて答える問題です。近年の傾向と同様に、傍線が引いてある文章とは異なる文章から解答を書いたり探したりする、いわゆる文章横断型の問題でした。「書き抜く」ような指示はありませんが、「どのように表現されて」いるかが問われているので文章1で表現されていることばをそのまま書き抜いて答えれば良いでしょう。複数の解答が考えられます。
〔問題2〕<二つの具体的な文章の共通点をとらえ記述する問題>
文章1・文章2の筆者の、生き物研究に対する姿勢の共通点をまとめる問題です。具体的な内容である文章1・文章2の内容全体をふまえて考え、わかりやすくまとめる必要があります。同一の抽象表現が用いられているわけでもなく、それぞれの文章内容を理解し、抽象化して答えをまとめる必要があるため、難度が高い問題と言えるでしょう。共通点は、疑問を持ち続けることや問い続ける姿勢です。疑問を捨てたり安易に納得したりせず、検証を続けていく。そして新たな問いを立てていく。こういった姿勢が二つの文章の筆者に共通しています。
〔問題3〕<本文の内容をふまえて作文を書く問題>
文章1か文章2のいずれかの筆者の研究や学問への向き合い方をふまえたうえで、これからの六年間をどのように過ごしたいか、400字以上440字以内で書く問題です。2018年以降、段落ごとに書くべき内容が指定された形式でしたが、今年度の問題はその指定がなくなり、「内容のまとまりやつながりを考えて段落に分ける」ように指示がありました。本文の内容をふまえたうえで、自らの意見を筋道立てて書けば良いだけですが、近年の形式と異なり、自分で構成を考えて書く必要があったため、ここまでの作文の練習量が出来不出来を左右した問題だったと言えるでしょう。

適性検査Ⅱ

【大問1】
大問1は昨年同様小問2題の構成で、さまざまな図形について考える問題です。1題を解くのにかかる時間が長く、難易度は昨年と変わらず高い問題でした。
問題1は、指定された素材からカードを作るとき、なるべく素材を無駄にせずに作成する場合どれだけのカードを作れるか、その際の余った素材がどれだけになるか、などを考える問題でした。与えられた素材から、指定されたものをどれだけ作り上げるか、という発想の問題は、過去の都立中の適性検査でも出題されたことがありますが、解法の方向性を自分で考える必要があり、会話文を正確に読み取る力や基礎的な計算力も求められました。また、ただ答えを求めるだけでなく、それを説明する記述力も求められ、限られた時間の中で解き切るのは困難な問題でした。
問題2は、正三角形を6枚組み合わせた形を転がす問題でした。問題用紙の中にある図を用いて実際に書き出す作業を行いながら答えを考える必要があります。条件に合う複数のパターンのうち、(1)は1パターンだけ試せば良いので正解しておきたい問題、複数のパターンを検証する必要があった(2)は、時間内に解き切るのは難度の高い問題と言えます。

【大問2】
大問2は、「交通」がテーマの出題でした。
〔問題1〕<何倍かを計算する問題、折れ線グラフの作成問題、グラフの特徴とその理由について比べながら記述する問題>
(1)では4桁÷4桁の計算問題が6題出題されました。素早く確実に処理しておきたい問題でした。
(2)は(1)で求めた数値を用いて折れ線グラフを作成する問題です。どの線がどの地域かがわかるように書くことが求められました。例年通り、こちらも素早く丁寧に処理しておきたい問題です。
(3)はアフリカ、東南アジア、南アメリカの3つの地域の中から1つの地域を選び、便数の特徴を書く問題です。これは便数の増え方が他の地域よりも大きい東南アジアを選べば書きやすかったはずです。東南アジアへの便数が大きく増えている理由としては、東京からの距離が近いので移動しやすく、東南アジアが経済的に成長し日本の進出が増えていることが考えられます。資料をもとに論理的に考えて書きましょう。
〔問題2〕<バスの便数を示した資料から地域の様子を考える問題>
バスの便数を示した資料から、その地域の様子を考える問題です。会話文ではHの地域を例に挙げ、「バスの便数が少なく、朝と夕方にかたよっている。さらに、平日と土曜、日曜の便数に差があるので住んでいる人がとても少ない地域である」ことがわかります。それが正しいかどうかを確かめるために、「人口がどれくらいなのかを調べた資料」があれば良いとしています。この会話文を参考に解答を作ります。たとえば、Fの地域であれば、平日の午前中の本数がないことから、高齢化が進んだ過疎の地域であることが考えられます。それが正しいかどうかを確かめるためには、その地域の人口の構成を表す資料が必要です。
〔問題3〕<交通の発達によって生まれる課題とその解決策を考える問題>
交通の発達に伴う課題としては、排気ガスによる空気汚染や、交通渋滞、騒音や振動など、さまざまな問題点が考えられます。その中で、具体的な解決策が考えられるものを解答にしましょう。課題と解決策を書く問題も定番の出題ですので、解き切りたい一問でした。

【大問3】
大問3は石けんと洗剤の汚れの落ち方を調べる実験を題材にした問題です。基本的な知識をもとにして、汚れの程度を観察結果や汚れの粒の数や重さ、加えた洗剤の量をもとにして思考判断し、理解したことがらを適切に表現する力が問われる問題です。実験結果を比べて特徴をつかんだり、数量の変化をとらえて説明したりする内容です。水溶液の濃さの考え方を活用する問題も含まれました。昨年に引き続き、小問2問でしたが各小問は2つの設問からなり、実質4問の構成でした。4問中3問が記述式の解答形式となっており、1題は計算により油汚れを落とすのに必要な洗剤量を求めるものでした。全体的に問題の文章量が多く記述量も多いので、問題内容の把握と答案の作成に時間がかかったと思われます。

適性検査Ⅲ

小石川中独自作成問題です。大問2題、小問7題の構成でした。大問1が理科分野からの出題で、大問2が算数分野からの出題となっており、出題形式は例年と同様でした。

【大問1】
<鳥や昆虫、種子が空を飛ぶ様子について考える問題>
〔問題1〕<図から特徴や理由を考察する問題>
カモメが空を飛ぶときのつばさの動かし方を示した図を見て、羽の動きについての特徴を理由とともに記述します。図は単純ですが、解答の表現の仕方で迷った受検生が多かったかもしれません。
〔問題2〕<グラフと数値条件をもとに特徴を考察する問題>
2種類のチョウの飛び方の違いがグラフに示されており、そこからそれぞれのチョウの飛び方の特徴を説明します。グラフにはたて軸よこ軸に高さと水平方向の距離がとられており、一定時間の間隔で打たれた点が示されていますが、そこからチョウが飛ぶ速度を読み取る必要があるため、受検生にとってやや難しかったのではないでしょうか。
〔問題3〕<写真と数値条件をもとに特徴を考察する問題>
タンポポの種の様子と飛ぶ距離との関係を考える問題です。小石川中で例年出題される実験計画と結果予測の出題もあります。
〔問題4〕<植物の性質を考察する問題>
植物の種がもとの個体の近くに落ちた場合の不利な点を説明します。enaの理系授業で同様の話題を扱うので、enaの受検生は対応できたでしょう。

【大問2】
<立体図形の問題>
〔問題1〕<立体図形の求積の問題>
方眼紙に切れ込みを入れて、そこに山折り・谷折りを加えて作った立体図形の体積を求めます。平面図をもとに組み立てなければいけないこと、5段にもなる立体であることにより、手のかかる計算です。
〔問題2〕<組み立ての可否を考察する問題>
問題1と同様の条件で、2段の立体図形が組み立てられるかどうかを問う問題です。可否を問う問題形式や条件の設定の仕方から、難易度の高い問題でした。検査時間を考慮しても、多くの受検生が敬遠したと思われます。
〔問題3〕<立体図形の求積の問題>
長方形の紙に切れ込みを入れ、山折り・谷折りを加えて、4本の茶づつを固定する立体を作ります。小問2つに分かれていて、それぞれ別な立体を考えます。条件として示されている内容が難しく、把握するのが難しい難問でした。

適性検査Ⅰ

【出典】
文章1:河合隼雄「『出会い』の不思議」による
文章2:村田沙耶香「となりの脳世界」による

【出題形式】
例年の出題から大きな変更はありません。文章1と文章2を読み、それについての読解問題が2題、作文問題が1題という構成です。作文の文字数も400字以上440字以内という例年通りの指定でした。
問題1は、いわゆる「文章横断型」の問題です。傍線が引かれている文章2において「個性」がどのような意味合いで用いられているかをまずは整理し、そのうえで文章1から適切な箇所を探すという基本動作ができていれば、決して難しい問題ではなかったはずです。正答としては「自分らしい音」「生徒によって違う音」など複数考えられます。読解問題で正答が複数考えられるという出題の方針も例年通りと言えるでしょう。
問題2も文章横断型の問いです。ただし「文章1の表現も用いること」という指示に注意しましょう。「も」ですから、文章1と文章2どちらの表現も使いつつ、解答を作成する必要があるということです。思考方法は問題1と同じで、まずは傍線が引かれている文章2から情報を整理し、解答の大枠を作成します。すると「もっと鳴らそうと欲張ったから」「もっと鳴らそうと力が入ったから」というような内容になるとわかります。それと同じ内容を文章1から読み取ります。最終段落に「『好む』は積極的だが、下手をすると気負いすぎになる。」とあります。もっと鳴らそうと力を入れすぎたことは、文章1における「気負いすぎ」に当てはまるとわかるでしょう。
読解問題は2題とも基本的なレベルの出題でしたので、どちらも正解したいところです。
問題3は文章内容をふまえて作文を書く問題です。
ここ2年の作文問題では、「ひかるさん」という人物と友だちのやりとりを読んだ上で作文を書くという出題でしたが、2021年度はそうしたやりとりはなく、2018年度までと同様の形式での出題となりました。各段落に書くべき内容が細かく指示されていますので、それに従って作文を構成します。
まず、第一段落です。文章2の「お稽古」の場面では、文章1における「知る」「好む」「楽しむ」のどの段階まで表されているかを示す必要があります。問題2がヒントとなります。問題2から、「お稽古」の場面では、もっと鳴らそうと気負いすぎたために「変な音」が出たと考えられます。文章1からは「好む」段階では「気負いすぎ」になるということが読み取れますから、この段階まで表されていると考えるのが自然でしょう。自分の意見は第一段落に書き、上述の「根拠」は第二段落に書きます。
難しかったのは、第三段落ではないでしょうか。第一段落で示したものとは違う段階だと考える人にも、わかってもらえるように説明する必要があります。なおかつ、自分とは意見が違う人たちがどのように考えたのかも想像しなければなりません。難易度も高いうえ、文字数もこの段落に最も多く割く必要があるでしょう。たとえば「知る」の段階でとどまっていると考える人は、どのように考えてそう判断するのでしょうか。「知る」の段階は「主体的」「積極的」ではない受け身の段階のことです。文章2の「お稽古」の場面では、「とにかく素直に、素直に」「身体の全部を先生の言葉に任せるような感覚で」などとあるので、そうしたところから受け身な姿勢であると読み取ることもできます。「たしかに〇〇という部分から、『知る』の段階だと読み取ることもできるかもしれない。しかし△△」というような形で書くと書きやすかったのではないでしょうか。あるいは、「楽しむ」段階だと考えている人は、どのように考えたのでしょうか。「楽しむ」段階とは、「客体の中に入ってあるいはそれを一体化して安住する」「安らぎ」がある段階だと書かれています。文章2では、たしかに気負いすぎてしまったところはありますが、その手前で一度「とても素直な音」を出すことに成功しています。そのときの音の感覚が、お稽古の後にも「今も身体に残っている」と述べられていますから、「客体」と「一体化」したと読み取ることもできるでしょう。そうした部分を根拠にとれば、「楽しむ」という段階まで表れていると考える人もいるかもしれません。
さて、ここまで読み解いてみると、どの段階を選ぶにしても、ある程度根拠を持って書くことができるかと思います。したがって、第一段落では三つのうちどの段階を選んでもよく、それについて予想される反論を第三段落で述べ、さらにそれについての反論を展開できていれば点数がもらえる作文問題だったのではないでしょうか。
適性検査Ⅱも含め「客観的に採点が可能で、かつ答えが一通りにはしぼられない」という出題の傾向が2021年度も色濃く残ったと言えるのではないでしょうか。

適性検査Ⅱ

【大問1】
大問1は、倍数・約数の決まりを使い、整数の成り立ちについて考えさせる問題でした。
問題1は、規則的に並んでいる整数の和を工夫して求める問題でした。九九の表の中から、ある決まった和になる範囲を見つける問題です。6つの数をそれぞれA~Fの記号に変え、その記号を使って解法を説明しなければなりません。ただ答えを求めるだけでなく、その求める過程を分かりやすく説明することが大切です。適性検査の問題を解きなれている生徒にとっては、それほど難しい作業ではないと言えるでしょう。
問題2は、かけ算の式に必要な数を、サイコロの面に当てはめる問題でした。九九の表の中にある数を、かけ算の式で表し、さらにそれらをサイコロの面に書く問題です。1~7までの数を式に必要なだけ取り出せるように、6つのサイコロに分けて書かなければなりません。また、その数を書くときの向きも正しくする必要があります。立方体についてたくさん練習してきたかが問われたと言えるでしょう。

【大問2】
大問2は「買い物」と「情報通信技術」がテーマに出題されました。
問題1はPOSシステムを使うと、どのような仕事にどのようなよいことがあるか、自分の考えを書くことが求められました。問題2は、割合の計算(4桁÷6桁)とそれをもとにしたグラフ作成、そして変化の特徴の記述、さらにその変化の理由の考察が求められました。問題3は現代社会がかかえる具体的な課題を一つ挙げ、「情報化が進んだ新しい社会」ではその課題をどのように解決することができるかを121字以上150字以内で記述することが求められた、課題発見・課題解決型の問題でした。小問数の合計は6題、形式的にも大きな変化はなく例年通りの出題でした。

【大問3】
大問3は、磁石の性質を題材にした問題です。実験を通じて、さまざまな条件下での結果を考察する問題でした。問題1は、磁石の性質を利用し、磁石のついた鉛筆を鉄板の上に置いてある磁石の上で浮くかを例の図から考察する問題でした。
問題2は、すでに行った実験とおもりをつり下げることができる最大の重さと、1辺3㎝以下の正方形ではシートの面積に比例することから、つり下げられる重さとおもりの個数を考察する問題でした。2021年度は問題3がなくなり小問が1題減りました。

適性検査Ⅲ

小石川中独自作成問題です。大問2題、小問7題の構成でした。大問1が理科分野からの出題で、大問2が算数分野からの出題となっており、出題形式は例年通りでした。

【大問1】
大問1は、ものの表面積と効率性に関する問題です。氷の大きさを変えたり、大根を煮るのに工夫をしたりなど、ものの表面積を変えることによって効率が良くなるものが題材になっています。2020年度と同様に、問題2では実験計画をたてる問題が出題されています。

【大問2】
大問2は、整数問題でした。ある規則にしたがって整数を操作していきますが、連続してその規則を当てはめていくなかで、一定の法則性を見出すものです。シンプルな規則なので題意をつかむのは難しくないと思いますが、すべての小問で理由の記述を求められていますので、ここで得点の差がつきそうです。

適性検査Ⅰ

【出典】
文章1:三浦しをん「愛なき世界」による
文章2:日高敏隆「世界を、こんなふうに見てごらん」による

【出題形式】
例年通り、二つの文章が与えられたうえで問題1、問題2の読解問題と問題3の作文問題を解く形式です。都立中の出題としては珍しく、文章1が物語文の引用です。これに驚いた受検生も多かったかと思われますが、論説文、随筆文と同様に文章を通じて伝えたいことが明快に書かれているものでした。
問題1は物語の中で「藤丸」「藤丸さん」と同一人物に対して呼び方が書き分けられている理由を問うものでした。文章を通じて登場人物を客観的に「本村」「藤丸」と書いていますが、傍線㋑は「それにしても、藤丸さんはすごい。と本村は思った」という表現から「本村」の内面の声が書かれていることがわかっていれば難しくない問いでした。落ち着いて、確実に得点したい問題です。
問題2は昨年度の出題と同様、文章横断型の読解問題でした。つまり、文章2中の傍線㋒「いろんないきものの生き方をたくさん勉強するといいと思う」について、筆者がそう思う理由が問われていますが、その際に文章1の表現を用いるように指示があります。気を付けたいのは、「筆者がそう思うのは」といった場合の「筆者」とはあくまでも文章2の筆者であるということです。ですから、一度文章2において答えを考えたうえで、同じ内容を文章1から探すというステップをふまなくてはなりません。その発想があると、文章2の傍線㋒の直後「そうすることで、不思議に広く深く、静かなものの見方ができる」を言い換えた内容を文章1から探せばよいのだとわかります。
問題3は作文問題です。昨年度は「ひかるさん」と「友だち」のやりとりを読んだあとに「ひかるさん」になりきって作文を書くというスタイルでした。今回も同様に「ひかるさん」と「かおるさん」のやりとりがあります。ただ、そのやりとりを読んだうえで「あなたの考え」が求められているところは昨年度と異なるところであり、いわば「オーソドックスな作文問題」だったと言えるでしょう。例年の共同作成問題と同様に、段落ごとにどういった内容を書くべきかの指定があります。その指示に確実に従い、かつ文章内容をふまえつつ第二段落、第三段落で自分の意見を展開するという問題です。

適性検査Ⅱ

【大問1】
大問1は割り算の余りに注意しながら、約束・ルールに従って作業する問題です。
問題1は縦50cm横40cmの画用紙6枚を、縦2m横1.4mのパネルに規則的に貼るときの、はしと画用紙、画用紙と画用紙の間の長さを答える問題です。
問題2は横向きの画用紙38枚と縦向きの画用紙21枚をパネルの両面に約束通りに貼ったときに必要なパネルの枚数を答える問題です。
問題3は正八面体の辺上をさいころの目と〔ルール〕に従って進み、ゲームが終わったときの点数を答えさせたり、ある得点になったときの目の出方を答えさせたりする問題です。
特別な解法や知識は必要ありませんが、問題をよく読み、決まりに従えるかがポイントになります。

【大問2】
大問2は「貿易」がテーマとなり、「円高・円安」について考えていく問題でした。出題内容は「けた数の多い計算」「円グラフの作成」「作成したグラフの分析」「問題点と解決策の記述」といった例年通りの出題形式でした。記述問題で自分の考えを選択し理由を121字以上150字以内で記述するパターンは例年同様です。オーソドックスなテーマだったため、日頃の復習がどれだけできていたかが鍵になります。

【大問3】
大問3は、車の模型を動かす実験を通じて、さまざまな条件下での結果を考察する問題でした。会話文をよく読み論理的に考察する力が問われました。
問題1は、プロペラとモーターとかん電池を組み合わせた車の模型の重さについて、プロペラを回す前後の重さをそれぞれ計算する問題でした。
問題2は、モーターの重さやプロペラの長さの組み合わせによって、車の模型の速さがどのように変化するかを実験結果から考察する問題でした。
問題3は、ほを立てた車に角度を変えて風を当て、車の動きに関して考察する問題でした。

適性検査Ⅲ

独自作成問題です。大問2題、小問7題の構成で、大問1が理科分野からの出題、大問2が算数分野からの出題というのは例年通りでした。
大問1は「お茶の色や味の変化」に関する問題です。今年度は、実験方法とその結果について考察する問題が問題1と問題3で2題出題されましたが、仕組みを想像して図示する問題は出題されませんでした。問題4では食品以外で色などの変化を防ぐ工夫を例示させる問題で、例示する力が求められる問題でした。出題傾向はおおよそ例年通りと言えるでしょう。
大問2は「カードゲーム」を題材にした問題です。2人のうちで有利な方を考察する問題や確実に勝利する場合のカードの取り方を考察する問題など、大問1に比べると比較的解きやすい問題という印象でした。

適性検査Ⅰ

出典:
文章1 かこさとし[談] 林公代[聞き手]「科学の本のつくりかた」による
文章2 かこさとし「地球」解説による

出題形式:例年通り2つの文章を読む問題形式です。問題1・2が読解問題、問題3が文章をふまえて400字以上~440字以内の作文問題です。

問題1は本を読んで「面白さ」に触れると子どもはどうなるかを問う問題です。文章1に傍線が引かれますが、該当箇所を文章2から探しぬき出すという「文章を横断する問題」であることに注意する必要がありますが、解答の箇所は比較的容易に見つけられる問題です。
問題2は「かこさんはどのような態度で本を書いているのか」を答える問題です。こちらも文章を横断して該当箇所を探し、ぬき出す問題でした。どのような内容を探すべきか、文章2の内容からある程度考えた上で文章1を読み返すという手順を踏めば難しくない問題です。
昨年度同様、読解問題は比較的平易なものでした。
作文は、文章1と文章2を読んだあとの「ひかるさん」と「友だち」のやりとりを読み、ひかるさんがその後示したと思われる考えを書くという形式でした。この形式に驚いた受検生も多かったかと思われます。ただ、結局のところ文章1と文章2の内容をふまえると書くべき内容がほとんど一通りに決まるタイプの作文でした。したがって形式は変わったものの、内容的には昨年度同様だと言えるでしょう。とにかく文章の流れに合わせて作文を書く練習をしてきた受検生にとっては取り組みやすいものだったはずです。

適性検査Ⅱ

大問1は、会話文中のさまざまな条件を読み取り、作業する問題でした。
問題1は、1枚の紙を折ってしおりを作成する際、紙を折る前後で各ページの位置と各ページに書かれる文字の種類と向きを問う問題でした。
問題2は8×8のマス目に模様を書いた際、模様の表現の仕方についての約束を読み取り、条件に当てはめる問題でした。
問題3は、立方体にかかれたマス目の上を、すごろくのようにおもちゃを動かす手順を考える問題でした。各小問の難易度は高くありませんが、それぞれの小問の問題文が長く、条件を速く正確に読み取った上で、丁寧に作業する処理能力を問われた問題でした。

大問2は「東京都の人口」に関する問題でした。例年の隠れテーマである「世界の中の日本」とは異なったテーマでしたが、出題内容は、「桁数の計算」「グラフの作成」「資料の読み取り」「記述」と例年通りでした。記述問題で複数のことに言及する必要があるパターンも昨年同様です。計算がハードであるのも相変わらずです。過去問をしっかりと研究し対策をたてることが有効です。

大問3は「紙の性質」についての問題でした。
問題1が「和紙とその他の紙の吸った水の重さを比較」をする問題で、昨年度と同様に単量当たりの数字を求めて比較します。
問題2は「紙のせんいの向き」を実験結果から推察する問題です。実験結果をどのように判断すれば良いか会話文で説明されていました。
問題3は「のりを作成する最適な水の重さ」について考察する問題です。すでに行った実験の結果から、次に行う実験の結果の仮定を考えて、目的とする水の重さを考察します。いずれも実験結果を読み取る力を必要とする問題でした。

適性検査Ⅲ

今年度も構成は大問2題であり、大問1が理科系で大問2が算数系というのは昨年度と同様でした。

大問1は「服のしわ」に関する問題で、具体例の例示や仕組みを想像して図示する問題、「水がしわをのばす役割をしている」という仮説に基づいて、正しいことを確かめる方法や水以外の他の要因を考えた上で、確かめるための実験方法と結果を考察する問題、「便利な布」について性質や欠点を考察する問題が出題されました。出題傾向は例年通りでしたが、問題3、問題4で記述の書き方に指定があったのが昨年度との違いでした。

大問2は「デジタル数字の書かれたカードと折り曲げの対称性」に関する問題で、図形の折り曲げは昨年度から2年連続で出題されました。カードを折っていったときの文字の見え方から規則を導いて考察する問題、折り曲げて重ねたカードに切れこみを入れて元に戻したときの状態を考察する問題、条件に沿って「わく」を塗りつぶす問題が出題されました。大問1に比べて比較的解きやすい問題でした。

適性検査Ⅰ

出典:
文章1 串田孫一「考えることについて」による
文章2 出口治明「人生を面白くする 本物の教養」による

出題形式:例年通り、2つの文章を読む問題形式です。問題3までありますが、問題1が(1)・(2)とあるので、文章読解の問題が計3問、最後の1問が作文問題です。
内容:文章1・文章2ともに、「ものの考え方」について書かれています。
問題1の(1)は「知ること」の出発点にある気持ち、(2)は、「知ることができた」ときの気持ちを答えるものでした。どちらも解答となる箇所(かしょ)は見つけやすいものでした。問題2は、理由説明問題ですので、因果関係を読み取るだけです。必ず正解したいところです。問題3は、例年と同様の400字以上440字以内の作文で、テーマも「これから学校生活や日常生活の中で、何を大事にし、どのように行動していくか」という頻出のものでしたので、取り組みやすかったことでしょう。

適性検査Ⅱ

大問1はさいころを扱った問題でした。受検生にとってはなじみ深い題材です。
問題1は展開図を書く問題で、実際にさいころの面のスケッチを描くものです。問題2はさいころの目を使って式を立てる問題でしたが、ルールに従うことができれば答えることは簡単です。問題3は鏡に映したさいころについて考える問題です。6の目以外が4個ずつ映ることに気が付けば正解にたどり着ける問題です。
大問2は「食料の輸入」を題材とした問題でした。
小石川中の適性検査で恒例の出題となっている「世界の中の日本」というテーマから、計算力が必要な問題・グラフの作成や字数の多い記述問題が出されました。今年の120字以上150字以下の記述は、3つのことに言及しなければならず、上手にまとめるのに苦労した受検生も多かったことでしょう。
大問3は「花粉や黄砂の測定結果」について考察する問題です。
問題1が「花粉を顕微鏡で観察し、花粉の数を求める」問題で、単位量当たりの計算を必要とします。問題2は黄砂を観測する装置の仕組みの説明から、計測結果を考察する問題です。初めて知る観測装置なので、会話文や図を読み仕組みを理解する力が必要です。問題3は「日本で黄砂が観測される原因と気象状況の関連」について考察し記述する問題です。身近な話題ですが、問題文や資料から観測の方法や分析の仕方を読み取る力が必要な問題でした。

適性検査Ⅲ

大問2つの構成で、傾向も例年通りでしたが図示をする問題がはじめに2題出てきたので戸惑った受験生も多かったことでしょう。
大問1は「泡」に関する問題です。
「石けんの混ざった水でできた泡」の構造、「石けん液が細かい泡になる容器」の構造を書くという問題、それを踏まえて「泡の形が変化する理由」を考え確かめる実験方法を考える問題、「泡がたくさん出ると困ってしまう場面」の例示、考察と例示に対する工夫を問う問題が出されました。身近な現象から理由を考え実験により証明していく過程を問われる検査でした。日頃からの取り組みで差がついたことでしょう。
大問2は「図形の折り曲げ、対称性と規則性」に関する問題です。
長方形の紙を折るという単純な作業に関する問題。指定された折り方に沿って折る場合に折り目がどう変わるか、ルールの理解と規則を発見して解く力を問うような問題でした。解答に至った理由の説明も求められており、こちらも得点差がついたと考えられる問題です。

適性検査Ⅰ

出典:
文章1 木皿泉「木皿食堂2 6粒と半分のお米」による
文章2 武田双雲「伝わる技術」による

出題形式:例年と同じく2つの文章を読む問題形式です。問題3まであり、文章読解の問題が2問、最後の1問が作文問題です。
内容:問題3の問題文にも書かれているように、文章1・文章2ともに、「自由」についての考え方について書かれています。問題1、2は、どちらも「具体例を一つ、本文中から探して書きなさい」というものでした。2題とも具体例を探すという問題になったのは、これが初めてです。どちらも解答となる箇所(かしょ)は見つけやすく、とくに問題2は、「何のためにそうするのかがはっきり分かるように」という指示まで出されていますので、必ず正解したいところです。問題3は例年と同様の400字以上440字以内の作文で、テーマも特別なものではないので、取り組みやすかったことでしょう。

適性検査Ⅱ

大問3つの構成でした。大問1は「図形」がテーマで、立体の見方・対称性・規則性を見つける問題です。簡単な例を具体的に書き出して、作業をする中で解答を導き出していけるとよいでしょう。特に問題1は必ず得点したいところですが、同じ大きさの正三角形を答えるというようなミスは禁物です。問題2は、Aグループの枚数が(3の倍数+1)、Bグループが(3の倍数)になっていることに注目し、その差の1は3本の対角線の交点がある「き」の三角形であることに気が付ければスピーディーに解答にたどりつけます。問題3は問題文の誘導に従って規則性を検証する問題です。
大問2は「世界の水資源」を題材とした問題でした。小石川中の適性検査で恒例の出題となっている「世界の中の日本」というテーマから、計算力が必要な問題や字数の多い記述問題が出されていました。今年の計算はなかなか骨の折れるものでした。単位の換算も含めて、計算に時間をかけてしまった受検生が多かったことでしょう。
大問3は「時間を計ることを題材にした理科実験」を考察する問題です。問題1が「太陽、ふり子、ろうそく」のいずれかの法則から時間が計れる理由を記述する問題で、教科書範囲の知識が必要とされました。問題2は実験結果を考察し、比例の関係を導く問題でした。問題3は対照実験について考察する問題でした。いずれも、決して目新しいものではなく、あわてずに考えれば正解にたどり着ける問題です。

適性検査Ⅲ

大問2つの構成で、傾向も例年通りでした。
大問1は「もののあたたまりやすさ、熱の伝わりやすさ」に関する問題です。「木より金属の方があたたまりにくい」という仮説が正しいとしたらその根拠は何か、金属のベンチが夏に熱くなる理由、実験結果の共通点とその考察について答え、「金属で作ると良い道具」を挙げる問題でした。身近な現象から仮説を考え実験により修正していく過程を問われる検査でした。日頃からの取り組みで差がついたことでしょう。
大問2は「円や球を並べたときの面積、対称性と規則性」に関する問題です。複合図形の面積や倍率や、敷き詰めた円の大きさ、ルールの完全理解と決断力などを問う問題、また、規則を発見して数を正確に数える問題でした。解答に至った理由の説明も求められており、こちらも得点差がついたと考えられる問題です。

適性検査Ⅰ

出典:
文章1 菊田まりこ「本は心の友だち」による
文章2 茂木健一郎「ある時脳ははばたく」による
出題形式:例年と同じく2つの文章を読む問題形式です。問題3まであり、文章読解の問題が2問、最後の1問が作文問題です。
内容:文章A・文章Bともに、読書をすることのメリットが書かれています。どちらも読書をするべきだという立場で書かれているので、問題3の作文テーマ「読書が与えてくれるもの」につながる文章でした。内容としては、どちらも平易な文章でした。問題1、2は読解問題です。問題1は、解答の仕方に指定が多くあるので、書きやすいはずです。問題2も筆者の考えを読み取る問題なので、正解したいところです。問題3は例年と同様の400字以上440字以内の作文で、テーマも頻出のものなので、取り組みやすかったことでしょう。

適性検査Ⅱ

大問3つの構成でした。大問1は「渋滞」を題材にした作業中心の問題で、ルールと条件に従い作業を行えば平易に解答を導き出すことができました。必ず得点しなければならない問題です。
大問2は「日本の小売業」を題材とした問題でした。例年通り、「世界の中の日本」というテーマや、計算力が必要な問題が含まれていました。割合を計算する問題に手間取ってしまった受検生も多かったかもしれません。
大問3は「アゲハチョウの幼虫のからだのしくみと蛹化する環境についての実験」を考察するものです。資料から幼虫の体のしくみを考える問題が1問、実験結果から結論を導き説明する問題が2問の、小問3題で構成されています。

適性検査Ⅲ

例年通り大問2つの構成でした。
大問1は「もののすべりやすさ」に関する問題です。円と割合に関する計算問題以外は、すべりやすい所、すべりやすくなる原因と検証実験、すべりにくくする工夫など、身近な現象への興味関心や理科実験のやり方を問われる問題でした。日頃からの取り組みにより差がついたことでしょう。
大問2は「規則性と展開図」に関する問題です。立体の展開図や、模型を作るため工作用紙に切る線と折り曲げる線を書き込む問題、及び、規則を発見して数を正確に数える問題でした。解答に至った理由の説明も問われており、こちらも得点差がついたと考えられる問題です。

適性検査Ⅰ

出典:
文章1 木下是雄「理科系の作文技術」より
文章2 養老孟司「メッセージのメッセージ」より
出題形式:小石川中・武蔵中・富士中・大泉中の共通問題は、公開されたサンプル問題(小石川中・武蔵中の過去問題)とほぼ同様の形式で、「メッセージ」について書くものでした。大きな形式上の変更はありませんが、総計の文字数は最大500字以下と、心もち少なくなっています。
内容:文章1・文章2に共通するのは「コミュニケーション」、「人間同士の伝達」です。問題1・問題2は部分要約の問題で、問いのキーワードから内容をしぼっていけますが、どの言葉を利用し、どこを削るか、つめて考える必要があります。問題3の課題「人が何かを伝えあうときには、どのようなことが重要か」というテーマはこれまでの都立中でもよく出題されてきたものです。

適性検査Ⅱ

大問3つの構成でした。大問1は「うるう年」を題材にした計算中心の問題でした。うるう年の計算法がきちんと説明されていたので、受検生は得点しやすかったはずです。
大問2は余暇の使い方を題材とした問題でした。例年通り、計算力が必要な問題が含まれていました。
大問3は「発泡スチロールでできた立体を水中に沈め浮力により水面上へ打ち出す実験」について考察するものです。小問3題で構成されています。

適性検査Ⅲ

例年通り大問2つの構成でした。 大問1は「ボールのはずみ方」に関する問題です。割合の計算問題以外は、実験結果に影響を与えると考えられる要素を挙げていく、理科実験への興味関心を問われる問題でした。日頃からの取り組みにより差がついたことでしょう。
大問2は「カレンダーを題材にした数の性質」に関する問題です。指定条件の通りに具体例の書き出しを行う、法則の理解が試される問題でした。解答に至った理由の説明もあり、こちらも得点差がついていると思われます。

適性検査Ⅰ

出典:
文章1 毎日新聞コラム
文章2 鈴木義理「日本語のできない日本人」
文章3 竹内政明「『編集手帳』の文章術」
今年は文章が3つになりました。設問は4問。問題1は「こだわる」という言葉が、「否定的な意味合いが強い言葉から、肯定的な意味で使われるようになった」ということを読み取り、実際に「こだわる」という言葉を肯定的な別の表現で言い換えるという問題です。問題2、問題3は記述問題です。これらの問題は「こだわるという言葉について」から、「言葉の変化について」の記述となっており、問題4「言葉の変化について」の作文へと流れを作っています。作文は文章2と文章3の両方の意見をふまえ、401字以上440字以内で書く問題です。例年通りの設問でした。

適性検査Ⅱ

例年の出題傾向をふまえた問題でした。外国に関するテーマ、計算を多用する問題、グラフの作成、150字前後の記述、とほぼ変化ありません。よって、小石川中の対策を十分に積んできた受検生は安心して問題に取り組めたはずです。ただし、毎年のことではありますが、計算に時間を取られてしまった諸君は、最後まで終わらないということになってしまったでしょう。

適性検査Ⅲ

例年通りの大問2問構成で、問題のレベルも昨年並でした。取り組みやすいため、受検生は手ごたえを感じますが、書けてはいても点は低いことが想定される問題です。
大問1が理科の内容で、鉛筆の字が消えること、レシートの字がうすくなることが題材となっています。小問は7つで、身近な現象、実験企画、予想結果、便利にする工夫などの説明が出題されています。大問2が算数の内容で、おはじきを線で結ぶことが題材となっています。小問は5つで、ルールを読み取り地道に調べる力と法則を見出し、説明する力を問われました。

ボーダーライン

例年の傾向と大きな変化がなく、各受検生が十分に対策を講じてきていると考えると、若干ラインが上昇し、適性検査全体の素点で55%程度と考えられます。

適性検査Ⅰ

出典:
文章1 柳澤桂子「本を書く」より
文章2 福岡伸一「鈴木少年の大発見」より
昨年は、課題文が3つであったり、漢文の書き下し文が出たりと、問題の傾向が少し変わり、やや難しいと思われる問題でした。今年は、文章が2つに戻りました。片方は小説を書くという視点、片方は化石の発掘という視点から、強い思いや情熱が結実することについて語られています。どちらも随筆で読みやすく、昨年よりも楽に感じた受検生が多かったのではないかと思われます。
設問に関しては、問題1が記述と書き抜き、問題2が記述、問題3が作文です。作文は、2つの文章のそれぞれの筆者の考えに関連づけて書くもので、401字以上440字以内でした。どの設問も標準的なもので、特に難易度が高すぎるものはありません。

適性検査Ⅱ

概ね昨年と同じような傾向の問題でした。したがって、きちんと準備をしてきた受検生には取り組みやすかったと思います。ただし、計算を必要とする問題数を考えると、小数の計算がかなり速くて正確でないと、最後まで終えることは難しいでしょう。
なお、今年は、都道府県の位置がきちんとわかっていないとできない、地図を塗り分ける問題がありました。例年は、知識があったほうが楽という問題はあるものの、知識がないとだめという問題は出題されていませんでした。

適性検査Ⅲ

大問1は、サケが自分の生まれた川に戻ってくることについての問題でした。問題1は、仕事算の考え方を使って式と説明を書かせる問題で、それ以外の3問は、調査の方法・実験の方法について自分の考えを書かせる問題でした。
大問2は、正多角形に関しての問題でした。オイラーの定理を使う問題3の(2)以外は、例年よりもかなり易しいのではないかと思われます。

ボーダーライン

例年の傾向と大きくは変わらないものの、解きにくい問題は減っており、合格ラインは60%を超えてくると考えられます。

適性検査Ⅰ

以前は随筆や論説文が2題出題されており、昨年はそれが小説1題という形式に変わりました。今年は随筆1題と、関連した短い文章が2題という形です。随筆は公立中高一貫校でしばしば見られる、「子供の頃には何のためにやっているかわからずにやらされていたが、いま振り返ると…」という主旨の文章です。それに対して残りの短い文章の2題は、漢文とその書き下し文※、さらにその訳文で、小学生の段階では、多くが初めて触れる文章であると思います。さらに文章3は訳文の状態でもわかりにくい内容です。「漢文」という見慣れない文の形式に戸惑わず、しっかり文章の内容を理解できたかどうかが今年度の問題に取り組む時にポイントになります。(※書き下し文=助詞などを付けたし日本人でも読みやすいようにしたもの)
設問は昨年度と同様、3問でした。大問1は、指定した条件を満たす1文を抜き出す問題で、私立中入試の形式に近いものです。大問2は、随筆の中の一文について説明する問題で、例年の傾向に近いものです。大問3は、文章1、2、3の「いずれかに関連づけて」書く作文です。

適性検査Ⅱ

「資料の分析を通して、パイオニアを目指す意欲をみるとともに、日本や世界のことについて考察する力や、考えを表現する力をみる。」という基本方針のもと、資料を分析する力と、自分の考えを適切に表現させる問題です。作文的な問題も含まれており、新しい何かを生み出す意欲も要求されます。
難易度や問題の形式は昨年度とほぼ変わりません。資料をもとにして、計算させたり考察させたりする問題が中心です。ただし、一昨年から徐々に小問数が多くなっています。今年度は大問が1題、細かく言えば小問が10問でした(昨年度は大問が1題、小問が8問)。正確で早い計算力が、昨年まで以上に要求されます。
なお、昨年度は農業に関する出題があり、農業従事者の高齢化や、日本の農業の特徴である集約農業についての知識を持っていると楽に解ける問題でした。今年度は、人口ピラミッド、旅客および貨物輸送などについての出題で、資料だけで充分に理解できる問題ですが、やはり普段から社会情勢や現代日本の問題などについてアンテナを張っておくことが重要です。

適性検査Ⅲ

昨年とほぼ同様に大問2題、小問8題の構成でした。大問1は、雲や雨量計に関する問題、大問2は平面と立体のパズルの問題でした。近年の大問1は、「植物」「水の全循環」「乳酸菌」などの生物・地学的内容が出題されています。大問2は、「ゲーム」「パズル」などの算数系の内容が出題されています。
理系の問題では、自然科学への興味・関心の程度と表現力や論理的思考力を問われますので、普段から身の回りの科学的な事柄に関心を持つことが大切です。単なる文字上の知識だけではなく、理科事典などを使って図や写真を見ながら学習をしましょう。時間があれば、博物館などに足を運び、自分の目で見てじっくり調べたり体験したりするのも良いでしょう。 算数系の問題は数理的な分析と判断力を問うものです。対策として、ゲーム・条件整理・推理などの分野の問題をいくつかこなしておき、パズル的な考え方や情報の分析に慣れておきましょう。また、いずれの分野を解く場合も、正確で素早い計算力と、ことがらの処理能力が前提となります。