enaの教育について

の教育について

ena学院長河端 真一(元一橋大学客員教授)

「enaの教育」についてお話しさせていただきます。「enaの教育」とは、第一に東京の未来を見据えた進学教育です。どの中高を目指し、その後どんな大学、大学院、職業に進んでいくのかについて、保護者様のご意向を体し進学教育を行います。東京という高度に洗練され、先取り的に発展した都市で青少年時代を過ごされる生徒諸君に、具体的選択肢をお示しします。そのためには、まず未来がどうなっているのかを考えることから始まります。

10年先、20年先、そこで人間にとって大事なことは今とあまり変わっていないだろうとenaは考えます。何が学問なのか、何が尊敬されるのか、そして、東京の街並みなどもそうは変わらないはずです。では変わるものは何か。それは、物流とか、交通とか、さらには知的生産分野は大きく変わっていくと思われます。例えば、自動運転というのが、今でも現実になりつつあります。既にゆりかもめは自動運転ですし、新幹線もそうなるでしょう。恐らくご家庭の車も自動運転となれば、タクシーやバスがなくなってしまうかもしれません。買い物に行ったり、出前を取ったりも、車が勝手に行って帰ってくるでしょう。診断書や法的意見もAIがより正確になるかも知れません。翻訳は今でもAIの得意分野です。

では、そういう時代に大切になるものは何なのか。それは例えばプレゼンテーション能力、アカウンタビリティ(説明責任)、さらにはディスクロージャー(情報開示)です。実はこれらは近年日本の社会でも非常に重要視されています。それが分かるのが現在の東大や京大、一橋大、東工大の入試です。東大入試は文科省の方針でもありますが「考える力」と「書く力」が極限まで問われます。しかし出題傾向は50年前から変わりません。

例えば東大入試において、数学は理系6問、文系4問しか出題されません。実は合格する諸君は、年にもよりますが理系で2問、文系で1問完答で合格しているのです。もちろん全部できる受験生もいますが、合格ラインはもっと低いところにあります。150分で2問完答といえば、それだけでもどれだけ難しい問題か想像いただけるでしょうし、どれだけ「考える力」が問われるのかがお分かりいただけると思います。国語や社会、英語では「書く力」が要求されます。漢字、年号、単語を知っているのは前提で、それを構成する力が求められます。

これが東大入試、言い換えれば、未来の生徒に問われる水準です。したがって、このような水準を学齢期、小学校1年生から12年間で身につける必要があるといえます。そう考えれば、最近は学習塾に小学校1年生からお通いになる方も多い理由がご理解いただけると思います。

低学年からの
受験準備の必要性

義務教育は小学校から中学校まで9年間ありますが、「進路に応じた教育」ということでいえば、大体10歳か11歳で始めるのが世界的な趨勢です。日本でも昔は、小学校の5、6年生にもなれば、八百屋の子ならやっちゃ場に行き、魚屋の子だったら魚河岸に行き、見様見真似で経験を積み、それが職業教育となって、長じて両親の代わりをするという流れがありました。外国でも、特に先進国と呼ばれるところでは、そのあたりから進学する学校が違ってくるわけで、同じ中等教育学校でも、学問を視野に入れた学校か、実学主体の学校かを選択するのが世界的な趨勢です。

実は日本の教育制度もそうなっています。具体的には中学受験への参加不参加で将来の道筋が概ね決定しますが、受験するなら小学校4年生の頃には、志望校を決めていく必要があります。そして小学校1年生から学習習慣を体得する事は決して早すぎるとはいえません。もちろん高校受験からの参入も可能ですが、現代においては高校受験は中学受験の敗者復活戦と化していることは、合格体験記を読んでいただければ明らかです。

「都立のena」が
私立中対策に舵を切った理由

東京の中学受験は、都立中と国私立中の二つの道があり、小学6年生約10万人の約4割が受験します。従来enaは都立中をおすすめしており、今年も1800名の募集定員中1106名の合格を頂きました。そんな我々enaが、今年からは私立中も目指します。その理由についてご説明します。

多くの私立中入試は算国理社の学力試験で行われますが、都立中の場合は適性検査という名称で試験が行われます。適性検査の内容は記述式がほとんどで、作文の出題もあり、かなり長い文章を書かせるケースもあります。「考える力」と「書く力」でいえば、両方が必要なわけです。一方で私立中の場合は算国理社の基礎学力、応用学力を見るわけです。近年はこの都立中と私立中の問題の傾向がだんだん似通ってまいりました。都立中で算理の内容が多く出題されるようになり、私立中では書かせる問題が出題されるようになってきたのです。しかし、これは当然なことかもしれません。大学受験という同じ目標に向かっているわけ ですから。

東京都においては、私立高校の授業料無償化が話題になっています。これまでの年収910万円以下という所得制限が撤廃されるというものです。無償化といっても、授業料だけであり、例えば施設拡充費など他にも高額な費用がかかるのですが、私立中に入学した場合は、中学の3年間は授業料が必要です。とはいえ、高校になると授業料が要らなくなるインパクトは大きなものがあります。だからこそ我々enaでは、そういう背景もあり、今年から私立中の受験にもウイングを広げることに舵を切りました。都内全校舎約200校において、小学校4年生から私立第一志望のコースがスタートしています。

2024年度大学入試における
都立の躍進

ところで、今年の大学合格実績に目を向けると、都立中、つまり都立中高一貫校の大学入試の合格実績がかなり良くなりました。例えば八王子市の南多摩中では、今年なんと152名の卒業生のうち東大に11名(昨年2名)合格。そして東工大と一橋大にも5名ずつ、さらには国公立医学部にも4名が合格し、京大も含めると難関と呼ばれる大学に26人も合格しました。卒業生の17.1%がその東大、京大、一橋大、東工大の難関4大学+国公立の医学部に合格した計算です。

このパーセンテージが、例えば開成高校だと54.0%でさすがに半分以上が合格しています。これはすごい数字ですが、実は都立日比谷高校でも39.7%と約4割の数字になります。つまり開成と日比谷では1割程度しか違わないのです。しかも日比谷は中学校がありませんから、3年間でその数字まで学力を引き上げています。ちなみに日比谷高本年度大学合格実績は昨年より東大で9名増、京大と一橋大と東工大を加えた難関4大学で25名増、さらに国公立医学部で8名増となっています。
こうした都立高の躍進は、東京都に住む生徒や保護者様にとっては福音です。公立中学から都立日比谷高校に入学し、そのまま東大に合格すれば、ほとんどお金がかからないのですから。そういう意味では大変素晴らしいエコな道が東京都民には用意されているといえます。

高校受験ではほとんどの生徒が私立と都立の両方を受験します。ですから選択の幅を広げるためにも両方ともに合格することが大切です。ここにenaは大変力を込めています。
東京都が定める都立の進学重点校、これは日比谷、西、国立、戸山、ここまでが四天王と言われており、その後に青山、立川、八王子東が続き、これで重点校7校となります。四天王と呼ばれる4校は、東大や医学部を目指して合格する生徒が大変多く、将来への選択肢が開かれているといえます。

私立・国立では筑駒、開成、慶女という最難関校があり、その次に早稲田、慶應の附属高校、さらにその次の段階として、明治、中央、法政、青山学院など、有名大学の附属高校を志望する方は大変多い傾向にあります。やはり大学受験がないことは少なくとも受験生にとっては大きな魅力になっています。

enaは
「3つの涙」でできている

「enaは涙でできている」と言われています。涙とは、合格したときの「歓喜の涙」、それから「悔恨の涙」。もっと頑張ればよかったという生徒、そして教師の涙です。そして最後は「感謝の涙」。この3つの涙で、enaはできているのです。

現代社会で一番失われたもの、それは「涙」と「感動」ではないでしょうか。テレビでスポーツ中継を見て感動したという方もいらっしゃるかもしれませんが、子ども達が何かを達成して涙を流したり、感動したりできるのは受験を置いて他にはそうありません。
そんな受験だからこそ、「自分にとって意味のある受験にしよう」と考え、後年「受験のことを思い出せば今でも頑張れる」と思えるのです。そんな環境だからこそ、enaで知り合って、その友情が終生続くということは、enaでは当たり前のことです。

もちろん幾多の挫折を味わうこともあります。しかし現代社会で挫折経験のない生徒はいません。試験は何十回も受けますし、入試も何校も受けます。そして就職時にもエントリーシートを50も100も出すわけです。そこで「オール合格でした」という生徒はいませんから、挫折を経て初めて忍耐力、克己心が養われます。どんな厳しい競争においても心が折れない人間性が出来上がるのです。

enaはそんな人間的な進学教育を半世紀もの間、東京限定で行っています。1972年の創立以来、副業も無く進学教育一筋に邁進して来ました。現在では株式を東証プライム市場に上場させていただいております。しかし52年前も今も、やっていることは同じです。今年もそして50年後も、目の前の子ども達と共に試練に向かって歩みます。

2024年度大学入試
主要都立・私立高校からの難関大合格者数

■インターエデュ・ドットコム「東大・京大・難関大学合格者ランキング」、サンデー毎日(2024年3月24日号)などの掲載情報、または各学校HPをもとに作成(3月15日時点)。

■麻布高、駒場東邦高の国公医合格数は、インターエデュ、およびサンデー毎日に掲載されている大学のみの合計であり、他国公立大学で合格者がいる場合は数値が変動します。九段中等はインターエデュに非掲載のため、 サンデー毎日で確認できた合格数のみを掲載しています(卒業生数は非掲載)。

表内凡例:★都立中高一貫校 ★都立進学指導重点校 〇私立高校

※国公立大学医学部は大学校を含む。※合格率は、難関4大学+国公立大学医学部合計数を2024年度卒業生数で割ったものを上位順に掲載。※ena調べ。上記調査時以降に合格者数が変動する可能性があります。