適性検査分析

東京都立
白鷗高等学校附属中学校

基本情報

白鴎高等附属中学校 外観

学校紹介

東京都初の中高一貫校として平成17年に開校。府立第一高等女学校として創立した白鷗高校は30年度で130周年を迎えた。

住 所

台東区元浅草3丁目12番12号

電話番号

03-5830-1731

アクセスマップ

過去の入試データ

募集人員

年度 2020 2021 2022 2023 2024
67 68 68 83 84
66 67 66 83 82
133 135 134 166 166

応募者数

年度 2020 2021 2022 2023 2024
382 323 288 307 275
514 460 418 439 413
896 783 706 746 688

受検者数

                                  
年度 2020 202120222023 2024
362 304272282 257
484 437 395 412 394
846 741667 694 651

合格者数

                           
年度 2020 2021 20222023 2024
67 68 6883 84
66 67 6683 82
133 135 134166 166

実質倍率

                           
年度 2020 20212022 2023 2024
5.4 4.474.00 3.40 3.06
7.33 6.525.98 4.96 4.80
6.36 5.494.98 4.18 3.92

適性検査分析

適性検査Ⅰ

【出典】
文章1 東直子「生きていくための呪文」による
文章2 藤田真一「俳句のきた道 芭蕉・蕪村・一茶」(一部改変)による

【出題形式】
例年と同様に読解2問、作文1問という形式でした。読解は文章内から例を探して記述する問題と、該当する連続する2文をそのまま抜き出すという問題でした。作文は今後の学校生活を意識して書いていくものであり、字数も例年通り400字以上440字以内となっていたので、大きな傾向の変化はありませんでした。

〔問題1〕問われている内容に一致する具体例をそれぞれの文章から探し記述する問題
「短歌・俳句をくり返し唱えたり、思いうかべたりすることには、どのような効果があると述べられているのか、文章1と文章2で挙げられている具体例を一つずつ探す問題です。具体例をそれぞれの文章から探す必要があるため、短歌・俳句を「繰り返し唱える」「思いうかべる」ことで得られる「効果」を探せば良いだけの問題ですが、文章自体が小6生にとって読みにくいのでそう簡単には見つけられなかったかもしれません。

〔問題2〕文章2の傍線部に関連する文を、文章1から抜き出し記述する問題
文章1の筆者は短歌を読んで、どのような情景を想像しているか、連続する二文を探して答える問題です。文章1の筆者が短歌を読み、情景を想像している部分を探すだけなので平易な問題であったといえるでしょう。短歌を読んで情景を想像していると読み取れる箇所は複数ありますが、「連続する二文」という条件をクリアできる箇所は絞られています。これは確実に正解しておきたい問題でした。

〔問題3〕二つの文章のいずれかの考えに触れ、自分の考えを書く問題
これからの学校生活で仲間と過ごしていくうえで、言葉をどのように使っていきたいかを答える問題です。文章1・文章2の筆者の、短歌・俳句に対する考え方の「いずれか」に「ふれる」という指示がありましたので、自分にとって「わかりやすく」そして「書きやすい」部分を探すところから始めなければなりませんでした。文章1の内容に寄せて書いた受検生が多かったはずです。それ以外は明確な指示はなく、字数指定も例年通りでした。あとは、「これからの学校生活で仲間と過ごしていく上で」言葉をどう使っていきたいか、筆者の考え方と関連付けてまとめる必要がありました。

適性検査Ⅱ

【大問1】デジタル数字を題材にした問題
大問1は前年度同様小問2題のシンプルな構成でした。どちらの問題もデジタル数字を題材としたパズル要素の強いものでした。全体的にここ数年の中では取り組みやすい難易度になっていました。

〔問題1〕マグネットシートから棒状のマグネットを切り取り必要な個数をつくる問題です。花子さんと太郎さんで「かく」作業と「切る」作業を分担して行い、できるだけ早くすべての作業を終わらせます。それぞれ作業にかかる時間が違うので、どう組み合わせるべきなのか当たりをつけて解き進める必要があります。
〔問題2〕ルールに従って、指定された3けたのデジタル数字を最短時間で作る方法を考える問題です。「マグネットをつける操作」「マグネットを取る操作」「数字の書かれたボードを180度回す操作」「2枚のボードを入れかえる操作」を組み合わせて考えます。回転と入れかえをいかに効率よく使えるかがカギとなりました。

【大問2】公共交通機関の利用について考える問題
令和3年度から引き続き小問2題の構成で、計算問題は出題されていません。大問全体の話題は、令和3年度から令和5年度までは3年連続で日本の産業を題材にした内容だったのに対し、今年度は令和2年度と同様に公共交通機関を題材にした内容となっていました。

〔問題1〕は、公共交通機関の利用割合が偏っている理由を、所要時間と料金の観点から考察する問題です。解答に用いる資料を受検生に選択させる形式は、5年連続の出題となりました。出題者側が想定している解答の分かりやすい、平易な問題でした。
〔問題2〕は、「ふれあいタクシー」を導入することになった理由と、その効果について考えられることを、複数資料を組み合わせながら説明する問題です。ひとつの問題で解答すべき内容が複数ある形式は、4年連続の出題となりました。参考にしなければならない資料は多いものの、こちらも解答の方向性が明快で、平易でした。
会話文や資料が過年度の適性検査問題と比較しても標準的な内容であるため、2問とも難易度は高くありません。解答の根拠になる部分を会話文や資料から適切に読み取ったうえで、問われていることに対しての答えをわかりやすく表現する力をみられる問題でした。

【大問3】「まさつ」について調べる実験を題材にした問題
ここ3年連続していた、小問が2問あり、それぞれに設問が2つある実質4問の問題構成から一変、小問が2問、設問も1つずつの実質2問構成となり、問題量が大幅に減りました。2問とも記述の要素を含みますが、分量がそれほど多くもないため、単純に負担が減ったと考えられます。実験結果の考察が中心で、計算が必要な問題はありませんでした。

〔問題1〕は、ペットボトルのキャップにつけられたみぞのまさつによる効果を、モデル化した実験で確かめる問題です。実験の内容そのものは結果も素直で分かりやすいものではありますが、問題で問われている内容を過不足なく盛り込んで完全な解答を書く観点を持たずに、ぱっと解答をしてしまうと、要素が不足して減点となりうる、問題文の読解力で点数の分かれる問題でした。
〔問題2〕は、斜面をすべり下りる物体の摩擦力が、接地面の素材にどのような影響を受けるかを、実験から明らかにする問題です。複数の条件が設定されているので、対照実験の考えを使うことが必要になりました。実験の内容そのものは比較的分かりやすいものであったため、対照実験の仕組みの理解とそれを言語化できるかどうかが得点の肝でした。

適性検査Ⅲ

【大問1】割合や単位量当たりの数を計算するなど、算数の力が問われる問題
自校の校舎事情を題材とした、志望者にとって少しニヤリとしてしまうような問題でした。
問題1は会話文や条件をよく読み、条件を満たす数字のパターンを求める問題です。大問の問題文、会話文、小問の文章と、様々な箇所に必要な情報が散らばり、考慮する条件も多いため、取っかかりづらい問題でしたが、条件4が緩いため、とりあえず答えを作ると条件をクリアしている、となりやすい問題でした。手を出したかどうかで得点が分かれる、合否の分かれ目となる一問でした。
問題2は人口密度の問題、平易であり、必答問題でした。問題3は割合の問題、割合の概念を理解しているかを問われる問題ですが、こちらも平易な必答問題です。

【大問2】料理をテーマとした問題
比較的頻出な、料理を題材とした問題です。
問題1は頻出の実験方法を考える問題で、会話文をもとに一定にすべき角度と実験で変える角度を図示する問題でした。求められていることは平易だったので、答えを書く際の記入方法に不備がないかがポイントでした。
問題2は3つの表と会話文をもとにグラフを完成させ、実験で測定できなかった値を予測してグラフに点を書き加える問題でした。グラフの縦軸と横軸、3つのグラフの凡例を決めて、グラフのかき方にならい解答します。実験結果の表から関係性を考え、予測値を求める必要がありました。グラフの作成自体は頻出であり、かき方もある程度指定されているため、作成そのものは平易ですが、結果の変化をどのような法則として出すかで数値が異なってくるため、予測値の精度がどこまで許容されるかで難度の変わる一問です。ある程度許容範囲が広かったり、部分点がある問題であれば合否を分ける問題と言えますが、そうでない場合には正解するの受検生の少ない一問だったでしょう。

適性検査Ⅰ

【出典】
資料A 柳川範之「東大教授が教える知的に考える練習」
資料B 上田正仁「東大物理学者が教える『考える』の鍛え方 想定外の時代を生き抜くためのヒント」

【出題形式】
〔問題1〕と〔問題2〕に100字以内の読解問題、〔問題3〕に400字以上450字以内の作文問題という形式でした。
前年度と大きな変化はありませんが、前年度の作文問題より字数制限が少なくなりました。

〔問題1〕〈筆者の述べている主張の理由を答える問題 字数100字以内〉
「頭の中に網を張るためには、問題意識が必要だと思います」という筆者の主張の理由を述べる問題でした。「網をはる」という比喩表現を意識して、問題意識の必要性を考えます。「問題意識が芽生えてくると、それに関連する情報が少しずつ頭にひっかかりはじめる」ということ、そして頭に残った情報から革新的で新しい考えやおもしろいアイデアが生まれるという本文の内容を読み取って、解答をわかりやすくまとめる必要がありました。部分というより本文全体の要約が求められたと思われます。

〔問題2〕〈傍線部の主張を本文の内容に基づいて言い換える問題 字数100字以内〉
「私たちが日々暮らしているのは、こうした問題未満の物事に囲まれた世界です」という部分の言い換えをする問題でした。「こうした問題未満の物事」という指示語に着目し、これらの内容を明らかにしたうえで、意識をしていないだけで私たちの身の回りに考えるべきことがあるということを答える必要がありました。

〔問題3〕〈作文問題 字数400字以上440字以内〉
二段落構成で本文の内容に基づいて作文を書いていく問題です。指示も比較的短くシンプルなものになった印象です。第一段落で「生活の中で何を意識していく必要があるのか」を述べますが、本文をふまえると、「新しい考えを見つけるために、常に考えるべき問題がないかという問題意識をもつこと」を意識するという内容が適切でしょう。あとは第二段落でこれを今後の学校生活でどう取り入れていくのかを具体的に述べる形になります。

適性検査Ⅱ

【大問1】プログラミングを題材とした問題
大問1は前年度同様小問2題の構成でした。前年度は小問1つずつがさらに2つの問題で構成されていましたが、今回はシンプルな2題構成です。新学習指導要領の注目点の一つでもある、プログラミング的思考を題材にした問題となっています。上手に当たりをつけながら考えていかないと、大幅に時間がかかってしまいます。前年度ほどではありませんが、依然として高難易度の傾向が続いています。6年連続で出題されていた、立体図形に関する問題の出題は、今年度はありませんでした。

〔問題1〕は、ブロックを運んで倉庫におくロボットについて、指定された時間でブロックを全て倉庫におけるような、ロボットの移動する道順を考える問題でした。与えられた条件を満たすような道順を考える問題は、過去の都立中の適性検査でもよく出題されていましたが、設定の自由度が高く、当たりをつけながら1つ1つ試していく力が必要でした。また、ただ答えを求めるだけでなく、それを説明する記述力も求められ、限られた時間の中で解き切るのはやや困難な問題でした。
〔問題2〕は、4つの電球につながった5つのスイッチのうち、いくつかのスイッチを押したときの電球の付き方の様子から、どのスイッチがどの電球につながっているかを考える、論理パズルのような問題でした。会話文で丁寧に説明されている考え方の流れを、他の場合にも適用しながら考えていく力が必要な、いかにも適性検査らしいオーソドックスな問題でした。記述も必要ないため、比較的解答しやすく、ぜひ取り組みたい1問だったと言えます。

【大問2】日本の産業構造の変化をテーマにした問題
前年度、前々年度と同様に小問2題の構成で、計算問題は出題されていません。大問全体の話題も引き続き日本の産業について考える内容でしたが、前年度、前々年度は第1次産業を中心とした内容だったのに対し、今年度は日本の産業構造全体に関連する内容となっていました。
〔問題1〕は、3つの年代における産業別の就業者数と就業者数の最も多い年齢層の変化を読み取る問題です。
〔問題2〕は、6次産業化の利点を、農家の人たちの立場と農家以外の人たちの立場からそれぞれ考えて説明する問題です。
どちらもひとつの問題で答えるべき内容が複数あり、また、資料のどの部分を使用して答えるかを受検生に選択させる形式となっています。会話文や資料自体は過年度の適性検査問題と比較しても特に複雑といえる内容ではないため、読み取りの難易度は高くありません。条件を守りながら問いに対して正確に答える力をみられる問題でした。

【大問3】ものが水滴をはじく様子および水分を吸収する様子を調べる実験を題材にした問題
前年度に引き続き小問は2問でした。各小問に2つの設問があり、実質4問の出題です。実験結果を読み取り、ふさわしい記号を選ぶ問題が1題、実験結果を読み取った分析結果を記述する問題が3題という内訳でした。実験を読み解くうえで必要な数値については会話文中に与えられていたので、計算はあまり必要ありませんでした。前半は植物の葉が水滴をはじく様子を調べる実験が題材となりました。葉の形、葉の面積、水滴の写真、水の量の変化といった実験結果を比べ、水滴が転がりやすい葉と転がりにくい葉のちがいをどのように判断するか記述で答えることが最終的な目的です。転じて後半は衣服が水分を吸収する様子を調べる実験が題材となりました。ポリエステルの布の方が木綿の布に比べて水をより多く吸収する理由を実験結果から考察する問題、シャツから蒸発する水の量を求める方法を説明する問題という構成でした。いずれも実験内容の把握と記述答案の作成に時間がかかったと思われます。

適性検査Ⅲ

【大問1】ストローを使って作る立体を題材にした問題
〔問題1〕は会話文から条件を読み取り、材料の長さを何センチとするかを設定する問題でした。前年度の適性検査Ⅱ大問1の問題と似た発想の問題です。把握しなければならない情報が多く、答えを出すのに時間のかかる問題でした。
〔問題2〕は立体図形の投影図を題材にした問題でした。立体図形を回転させてどのように見えるのかを考えます。平易な問題であり、正解したい一問です。
〔問題3〕は展開図と組み合わせの問題です。図形の色の塗分けという頻出の問題であり、こちらも正解しておきたい問題です。

【大問2】ヨーグルトを題材にした問題
〔問題1〕は実験結果から会話文中の登場人物の好みのヨーグルトを作るためにはどうすればよいかを考える問題です。
〔問題2〕は実験結果だけでは予測できないことを知るために、どのような追加実験をすべきかを考える問題です。この2問はどちらも対照実験の仕組みを理解できるかどうかが正否のポイントでした。
〔問題3〕は実験を考え、計画を立てる問題です。条件の量が多く、ルールの把握が大きなハードルとなっており、正答率は低く、あまり結果を左右しない一問だったでしょう。

適性検査Ⅰ

〔問題1〕<100字以内の傍線部の理由記述問題>
資料Aにひいてある傍線部の、「僕は、『正直、親切、笑顔、今日もていねいに』を二十年間、ずっと自分の理念にしています。」について、筆者がこのように述べる理由を100字以内で説明する問題です。
例年同様、100字以内で本文の傍線内容をまとめる問題でしたが、「本文の内容をふまえて」という一文が追加されました。理由を問われているため、理念のメリットがわかる部分を本文から探す力が問われました。
〔問題2〕<100字以内の傍線部の言い換え記述問題>
資料Bにひいてある傍線部の、「こうしたいま、自分の仕事力が世界に通用するように、『測りなおし』をする必要があるのではないかと僕は思います。」について、傍線内容がどのようなことか説明をする問題です。
問題1と同じく「本文の内容をふまえて」という一文が追加されました。指示語である「こうした」と「測りなおし」の意味の言い換えをしながら、傍線部全体を言い換えてまとめる必要があります。
〔問題3〕<450字以上の作文問題>
資料Aの「自分の理念をはっきり考えることが必要になると思います。」と資料Bの「専門性の高い知識や技量(スキル)、コミュニケーション能力がそれぞれに求められます」という内容をふまえ、自分がどういう自分になりたいか、理由もあわせて書く問題です。さらに、その自分自身を理解してもらうために、中学校でどのようなことを経験していきたいかまとめます。
第一段落には、あなたはどういう自分になりたいか。理由もあわせてまとめます。
第二段落には、自分自身を相手に理解してもらうために、中学校でどのようなことを経験していきたいかについてまとめます。以上のことが条件として明示されていました。
字数が「450字から500字」となり昨年より50字増えましたが、段落ごとに書く内容が指定されている形式は2021年度の問題を踏襲していました。

適性検査Ⅱ

【大問1】
大問1は昨年同様小問2題の構成で、さまざまな図形について考える問題です。1題を解くのにかかる時間が長く、難易度は昨年と変わらず高い問題でした。
問題1は、指定された素材からカードを作るとき、なるべく素材を無駄にせずに作成する場合どれだけのカードを作れるか、その際の余った素材がどれだけになるか、などを考える問題でした。与えられた素材から、指定されたものをどれだけ作り上げるか、という発想の問題は、過去の都立中の適性検査でも出題されたことがありますが、解法の方向性を自分で考える必要があり、会話文を正確に読み取る力や基礎的な計算力も求められました。また、ただ答えを求めるだけでなく、それを説明する記述力も求められ、限られた時間の中で解き切るのは困難な問題でした。
問題2は、正三角形を6枚組み合わせた形を転がす問題でした。問題用紙の中にある図を用いて実際に書き出す作業を行いながら答えを考える必要があります。条件に合う複数のパターンのうち、(1)は1パターンだけ試せば良いので正解しておきたい問題、複数のパターンを検証する必要があった(2)は、時間内に解き切るのは難度の高い問題と言えます。

【大問2】
大問2も昨年同様、小問2題の構成で、計算問題は出題されていません。また、きっかけとなる話題も昨年の林業に引き続き第1次産業を取り上げています。
問題1は、魚の保存方法と気候を関連づける問題で、問題2は、3つの穀物の栽培に適した気候を考えさせる問題でした。また、問題2では3つの穀物から2つを選んで解答させるという昨年同様の3つの資料から、2つを選んで答えをつくる形式が踏襲されました。問題1・問題2とも、降水量と気温に注目する問題でしたので、思考の方向性を変える必要がなく、出題形式や問われている内容もオーソドックスであり、受検生には取り組みやすい問題でありました。

【大問3】
大問3は石けんと洗剤の汚れの落ち方を調べる実験を題材にした問題です。基本的な知識をもとにして、汚れの程度を観察結果や汚れの粒の数や重さ、加えた洗剤の量をもとにして思考判断し、理解したことがらを適切に表現する力が問われる問題です。実験結果を比べて特徴をつかんだり、数量の変化をとらえて説明したりする内容です。水溶液の濃さの考え方を活用する問題も含まれました。昨年に引き続き、小問2問でしたが各小問は2つの設問からなり、実質4問の構成でした。4問中3問が記述式の解答形式となっており、1題は計算により油汚れを落とすのに必要な洗剤量を求めるものでした。全体的に問題の文章量が多く記述量も多いので、問題内容の把握と答案の作成に時間がかかったと思われます。

適性検査Ⅲ

【大問1】
<数理的な分析を行い、適切に判断し表現する力をみる問題>
問題1は数理的な処理の力をみる問題です。縦39m横80mの敷地内で半円2つと長方形からなる運動場のトラックをつくる際、1周が200mになるためには、長方形の縦と横の長さをいくつにすればよいのかを計算します。縦の長さを適切に決め、素早く正確に計算する必要があります。
問題2は立体図形を分析する力をみる問題です。図を参考にし、角が一部欠けた直方体の展開図を書きます。会話文中の図を利用していくのが重要となります。
問題3は数理的な判断をして、表現する力をみる問題です。会話文中の図を組み替えて、解答欄に用意された図の中におさめます。会話文中の図の特徴を捉えて当てはめていきます。

【大問2】
<身近な事象に関して、総合的に考察、分析し表現する力をみる問題>
問題1は事象を分析し表現する力をみる問題です。「逆さま」についての説明が温泉卵と半熟卵の例によって書かれています。それを手掛かりとし、同じ「さか」がつく言葉を例に挙げ、それがなぜそういう名前となっているかの理由を説明します。白鷗の適性検査Ⅰで頻繁に問われる「対比」の考え方があれば解くのは容易でした。
問題2は事象を考察し表現する力をみる問題です。会話文中の実験をもとに、逆さ卵(温泉卵)ができる仕組みを説明します。その際、条件として白身や黄身の温度による固まり方のちがいにふれる必要があるので、実験の温度について注目すればよい問題でした。
問題3は問題2と同様に考察し、表現する力をみる問題です。同じ実験を実施しても同じ結果にならなかった原因を考えます。
問題4は身近な事象に関して総合的に分析、表現する力をみる問題です。身近な食べ物に関する疑問とそれを解決する実験方法を答えます。条件が少なく、自由に記述することができますが、論理的な文章になっているか、適切な表現で書かれているかが重視されます。

適性検査Ⅰ

【出典】
資料A:黒沼ユリ子「わたしの少女時代」による
資料B:村上春樹「辺境・近境」による

【出題形式】
資料A、資料Bの2文章型で、問題1・問題2が100字以内の読解記述問題で、問題3が400字以上450字以内で書く作文問題であった点は、2020年度と変わりませんでした。問題3の作文問題で「自分のことばでまとめる」指示があったことと、他の学校の適性検査と同様に「段落構成に関する条件」が明示されるようになったことが、これまでの出題と異なりました。

問題1は、資料Aで、筆者の問いかけに友人たちみんなが「私はよく弾けたと思う」と答えたことを、筆者はどのように思ったかについて、はじめに直接友人たちから聞いた時と、休憩時間に先生と話をしたあととの受けとめ方のちがいが分かるように100字以内で説明する問題です。白鷗高附属中でこれまで繰り返し出題されてきた、「対比」をしながら答える問題です。傍線部の直後の「ますます」に着目し、悲しくなる前の状況を整理する必要がある点と、「友人たち」はヨーロッパ人の考え方を、「私」は日本人の考え方をしている点をおさえつつ、前半の「悲しく思った」自分をどのように捉え直したのかについて、適切に答案をまとめることができたかどうかが問われました。
問題2は、資料Bに引かれた傍線部「そういうもののほうが、あとになって文章を書くときにはずっと役に立つんです。」について、その理由を100字以内で説明する問題です。傍線部中にある「そういうもの」の指す内容を明らかにしつつ、「ほうが」に注目して対比関係も整理しつつ、さらに傍線部の直後にある「逆な言い方をするなら、いちいち写真を見なきゃ姿かたちが思い出せないような…」という補足説明をふまえ、「あとになって文章を書くときにずっと役に立つ」理由を探っていきます。「写真を見なくても姿かたちが思い出せる」からこそ、自分の目で見て、頭の中に刻み込み、肌で感じとる方が、あとになって文章を書くときにずっと役に立つ、と言えるのです。何の理由を問われているかをよく理解し、理由を組み立てる力が求められました。
問題3は、資料Aの筆者が、自己を形成する上でどのような経験が重要だと考えているか、資料Bの筆者は、旅行をすることで起こる「意識の変革」はどのようなことだと考えているか、それぞれを自分のことばでまとめ、さらにそれらを踏まえて、中学生になったら、どのような経験をすることで、意識を変革し、自己を形成していきたいかを、具体的に400字以上450字以内で書く作文問題です。資料Aの考え、資料Bの考え、意識を変革し自己を形成していくためにしていきたい中学生になってからの経験、以上3点を書くことを求められています。問われている内容を整理しつつ、資料の内容を根拠にして、自分のことばでまとめ、将来の経験に結びつけて書く力が求められました。

適性検査Ⅱ

【大問1】
大問1は、倍数・約数の決まりを使い、整数の成り立ちについて考えさせる問題でした。
問題1は、規則的に並んでいる整数の和を工夫して求める問題でした。九九の表の中から、ある決まった和になる範囲を見つける問題です。6つの数をそれぞれA~Fの記号に変え、その記号を使って解法を説明しなければなりません。ただ答えを求めるだけでなく、その求める過程を分かりやすく説明することが大切です。適性検査の問題を解きなれている生徒にとっては、それほど難しい作業ではないと言えるでしょう。
問題2は、かけ算の式に必要な数を、サイコロの面に当てはめる問題でした。九九の表の中にある数を、かけ算の式で表し、さらにそれらをサイコロの面に書く問題です。1~7までの数を式に必要なだけ取り出せるように、6つのサイコロに分けて書かなければなりません。また、その数を書くときの向きも正しくする必要があります。立方体についてたくさん練習してきたかが問われたと言えるでしょう。

【大問2】
大問2は、木材(林業)をテーマにした問題でした。林業に関するさまざまな資料から、林業が抱えている問題点と解決策について、自分なりの考察を加えていく問題でした。会話や資料から読み取ったことに基づき、自らの考えをわかりやすく伝える能力が試されました。2021年度は、例年と異なり小問が3題から2題になっていました。そのため、大問2にかける時間も例年より短くなったと思われます。
問題1は、資料を読み取り、記述する力をみる問題です。与えられた資料(図2)から、今後持続的に木材を利用する上での課題を読み取り記述する問題でした。ただし、「会話文や図1の人工林の林齢と成長に着目し」との条件がついていましたので、読み取る方向性は1つにしぼられます。
問題2は、複数の資料の関連性を考え記述する力をみる問題でした。与えられた3つの資料から2つを選び、それぞれの資料がどのような立場の(人々)の取り組みで、その2つの取り組みが「間伐材利用の促進」にどのように関連しているかを説明する問題でした。2つの資料の選び方によって、解答の作成のしやすさが分かれる問題でした。

【大問3】
大問3は、磁石の性質を題材にした問題です。実験を通じて、さまざまな条件下での結果を考察する問題でした。問題1は、磁石の性質を利用し、磁石のついた鉛筆を鉄板の上に置いてある磁石の上で浮くかを例の図から考察する問題でした。
問題2は、すでに行った実験とおもりをつり下げることができる最大の重さと、1辺3㎝以下の正方形ではシートの面積に比例することから、つり下げられる重さとおもりの個数を考察する問題でした。2021年度は問題3がなくなり小問が1題減りました。

適性検査Ⅲ

白鷗高附属中の独自作成問題です。大問3題、小問6題です。2020年度と比べ大問が1題増えましたが小問の問題数は同じです。大問3は理科分野からの出題でした。

【大問1】
大問1は電卓を題材にした数理処理の力をみる問題でした。問題1では電卓の特性を利用した計算、問題2ではおよその数についての数の範囲の問題でした。

【大問2】
大問2は空間図形の問題です。空間の把握、及び立体の解析する力をみる問題でした。試験会場内で定規が配布され、それを用いて解答用紙上に作図を行います。日常生活の中で、段ボールやティッシュの箱など、箱状のものを折りたたむとき興味をもって観察できていると取り組みやすい問題です。

【大問3】
大問3は植物の観察を題材とした、資料を読み取る力をみる問題、観察をする力をみる問題でした。問題2は小石川中の適性検査Ⅲに頻出の問題の類題でした。時間配分に注意して、素早く問題を理解して解き進めていくことがポイントとなりました。

適性検査Ⅰ

【出典】
資料A:ヤマザキマリ「国境のない生き方 私をつくった本と旅」による
資料B:安西 祐一郎「心と脳―認知科学入門」による

【出題形式】
形式自体は昨年度から大きな変化はありませんでした。資料A、資料Bの二文章型で、問題の字数制限も昨年度と変わらず、問題1、2は100字以内、問題3は400字以上450字以内でした。
資料Aは「自由に生きる」ことについての文章、資料Bは「問題解決」についての文章です。
問題1は、資料Aで筆者が述べる「囲いの外に出る」とはどのようなことかを、100字以内で説明する問題です。「囲いの外に出る」が比喩的な表現になっているので、文脈を追いながらどのような意味なのかを考えていきます。「囲い」とはどのような意味かをつかんだうえで、その「外に出る」とはどのような意味かを考え、関連する文脈をまとめることができたかどうかがポイントです。
問題2は、資料Bで筆者が「問題がわかれば解けたと同じことだといわれる」と述べた理由を100字以内で説明する問題です。傍線部を、「問題を解く上で、問題がわかることが大切だ」ということを意図して書いていると理解することで、傍線部を含む段落冒頭の「問題を解くには、まず問題を発見し、理解しなければならない。」という記述が関連していることを読み取ることができます。問い自体や、傍線部自体の意味をよく理解することができたかどうかが鍵になる問題でした。
問題3は、資料A、資料Bをふまえたうえで、資料Aの「自分のことを誰も知らない場所に身を置く」状況になったとき、どのように問題を解決するか、具体例をあげながら400字以上450字以内で書く、という問題です。まず資料A、資料Bの傍線部を含む文脈を丁寧に拾い、意味を確かめます。その内容に関連づけながら、「自分のことを誰も知らない場所に身を置くという状況になったときに、どのように問題を解決していくか」という問いに対する答えを書きます。その後、資料Aの方の傍線部の「自分のことを誰も知らない場所に身を置く」の例を考え、資料Bの方の傍線部の「何が問題かを理解する」ことの例、「その問題を解く方法を見つける」ことの例をそれぞれ考えます。
以上を整理して、1本の作文として構成します。資料A、資料Bそれぞれの読解、2つの資料の関連づけ、問いへの正対、その後の例示など、作文を書くうえで求められる力を総動員して書きあげる必要があります。昨年度と形式はさほど変化がないように見えますが、中身はより濃くなったと言える出題でした。

適性検査Ⅱ

【大問1】
大問1は割り算の余りに注意しながら、約束・ルールに従って作業する問題です。
問題1は縦50cm横40cmの画用紙6枚を、縦2m横1.4mのパネルに規則的に貼るときの、はしと画用紙、画用紙と画用紙の間の長さを答える問題です。
問題2は横向きの画用紙38枚と縦向きの画用紙21枚をパネルの両面に約束通りに貼ったときに必要なパネルの枚数を答える問題です。
問題3は正八面体の辺上をさいころの目と〔ルール〕に従って進み、ゲームが終わったときの点数を答えさせたり、ある得点になったときの目の出方を答えさせたりする問題です。
特別な解法や知識は必要ありませんが、問題をよく読み、決まりに従えるかがポイントになります。
【大問2】
大問2は、乗合バスに関する資料から、自分の考えを書く問題でした。解答はひとつに限られず、自分の考えが論理的に説明できているかが問われました。
問題1は、乗合バスの合計台数の移り変わりや乗合バスが1年間に実際に走行したきょりの移り変わりを、乗合バスに関する主な出来事と関連付けて自分の考えを書く問題でした。
問題2は、ノンステップバスの設計の工夫にはどのような役割が期待されているのか、自分の考えを書く問題でした。
問題3は、「バス優先」の車線や「公共車両優先システム」の課題について、資料をもとに自分の考えを書く問題でした。
【大問3】
大問3は、車の模型を動かす実験を通じて、さまざまな条件下での結果を考察する問題でした。会話文をよく読み論理的に考察する力が問われました。
問題1は、プロペラとモーターとかん電池を組み合わせた車の模型の重さについて、プロペラを回す前後の重さをそれぞれ計算する問題でした。
問題2は、モーターの重さやプロペラの長さの組み合わせによって、車の模型の速さがどのように変化するかを実験結果から考察する問題でした。
問題3は、ほを立てた車に角度を変えて風を当て、車の動きに関して考察する問題でした。

適性検査Ⅲ

独自作成問題です。大問2題、小問6題です。一昨年度、昨年度の小問9題から3題減り、1題にかける時間が増えた分、問題の難度も上がりました。
大問1は的当てを題材とした数量を扱う問題でした。問題1・2・3ともに複数個の解答を求める問題です。会話文中からいくつかは求められますが、問われている解答の個数を求めるためにはもう一歩踏み込んで考える必要があります。また、「解けそう」な問題ではありますが、検査時間が30分なので時間配分に注意し、素早く判断をしないといけません。
大問2は温度計を題材にした問題です。理科の単元ではありますが、理科に関する知識は必要ありません。問題1は体積と断面積の関係、問題2は割合の問題です。そして、問題3は変化の理由を問う問題ですが、会話文中にヒントがありますので、読解問題に近い形式です。大問2も大問1と同様に素早く読解し、積極的に手を動かし試行することが必要となります。

適性検査Ⅰ

出典:
資料A たかおまゆみ「わたしは目で話します――文字盤で伝える難病ALSのこと そして言葉の力」による
資料B 丹羽宇一郎「死ぬほど読書」による

出題形式:昨年度に引き続き、資料A・資料Bの二文章型でした。設問の字数制限も昨年度と変わらず、問題1・2は百字以内、問題3は400字以上450字以内でした。
内容:資料Aは「翻訳者として大切にするべきこと」についての文章、資料Bは「ネットと比較した本のメリット」についての文章です。
問題1は資料Aで筆者が「翻訳の力はすぐれた日本語力に負っている。」と述べた理由を百字以内で説明する問題です。理由を説明する問題形式は過去にも繰り返し出題されています。理由説明を行う手前で、傍線部中の「翻訳の力」の意味内容や、「~に負っている。」という表現を文脈に沿って正しく理解できたかどうかが点数を左右する問題です。
問題2は資料Bにある「本当に『知る』」とはどのようなことだと筆者が考えているかを百字以内で説明する問題です。言い換えて説明する問題形式も、過去に繰り返し出題されています。「知る」の言い換えを拾うことは容易でしたが、「本当に」に着目できたかどうかがポイントです。「本当に『知る』」と述べていることから、そうではない「知る」との対比関係があることを読み取ります。
問題3は資料Bの信頼性の欠落の例を一つあげ、なぜ信頼性が欠落してしまうのかその理由を説明し、その上で、その信頼性を高めるためにはどうしたらよいか、資料A、資料Bの内容をふまえて、自分の考えを四百字以上四百五十字以内で書く作文問題です。昨年度に引き続き、本文中で指摘されている問題点の例を一つあげることが求められ、それを解決するためにはどうしたらよいかを問う形式でした。資料A、資料Bでふまえるべき内容がつかみやすく、理由説明や解決策を示すことも比較的容易でしたが、いかに適切な「例」を示すことができたかが勝負の分かれ目になる問題でした。

適性検査Ⅱ

大問1は、会話文中のさまざまな条件を読み取り、作業する問題でした。
問題1は、1枚の紙を折ってしおりを作成する際、紙を折る前後で各ページの位置と各ページに書かれる文字の種類と向きを問う問題でした。
問題2は8×8のマス目に模様を書いた際、模様の表現の仕方についての約束を読み取り、条件に当てはめる問題でした。
問題3は、立方体にかかれたマス目の上を、すごろくのようにおもちゃを動かす手順を考える問題でした。各小問の難易度は高くありませんが、それぞれの小問の問題文が長く、条件を速く正確に読み取った上で、丁寧に作業する処理能力を問われた問題でした。
大問2の問題1は日本人の出国者数と、日本への外国人の入国者数の移り変わりを表すグラフからわかることを考察する問題でした。
問題2は外国人旅行者が増えている地域の具体的な取り組みを資料から考察する問題です。
問題3は案内図記号の役割を考察する問題で、昨年度と比べて解きやすい問題が多く易化しました。
大問3は「紙の性質」についての問題でした。
問題1が「和紙とその他の紙の吸った水の重さを比較」をする問題で、昨年度と同様に単量当たりの数字を求めて比較します。
問題2は「紙のせんいの向き」を実験結果から推察する問題です。実験結果をどのように判断すれば良いか会話文で説明されていました。
問題3は「のりを作成する最適な水の重さ」について考察する問題です。すでに行った実験の結果から、次に行う実験の結果の仮定を考えて、目的とする水の重さを考察します。いずれも実験結果を読みとる力を必要とする問題でした。

適性検査Ⅲ

昨年度から導入された、独自作成の問題です。大問2題、小問9問の構成でした。昨年度と同様30分の短時間で解ききる力が必要です。
大問1は、問題1が平均を求める問題、問題2・問題3が天秤を題材とした論理の問題、そして問題4がおはじきを題材とした同じく論理の問題でした。問題1については、計算力、問題2・3・4は順序良く考えをまとめ上げる力が問われていました。
大問2は、問題1・問題2が立体図形、問題3が論理に関する問題でした。問題1・2は、展開図や立体の基礎がどれだけ押さえられていたかがポイントになります。問題3も“時間があれば解けそう”な問題になっています。これまでの問題をどれだけ素早く解けていたかが肝となります。
総じて、会話文中に条件、ヒントが書かれていましたので、いかに素早く読み取り、運用することができたかが合否の分かれ目になります。

適性検査Ⅰ

出典:
資料A 本川達雄「生物多様性」による
資料B 養老孟司「『自分』の壁」による

出題形式:昨年の一文章型から二文章型になりました。設問の字数制限は昨年と変わらず、問題1・2は百字以内、問題3は四百字以上四百五十字以内でした。

内容:資料Aは生物多様性についての文章、資料Bは現代人が環境を「個人」とは別の異物、つまりマイナスのものとしてとらえるのは思考停止であると指摘している文章です。どちらもはっきりとした対比がなされ、具体例もつかみやすいものでしたのでした。

問題1は「生物」の特ちょうと「科学」の特ちょうの違いを百字以内でまとめる問題です。本文内ではっきりかき分けられている両者を、いかに対比を意識してまとめることができたかが勝負の分かれ目です。
問題2は傍線部「マイナスです。」がどのような考え方かを問う問題です。傍線部の言い換えが書かれている箇所と、筆者の意見が書かれているところを読み取って、百字以内でまとめる力が問われています。どちらもこれまで繰り返し出題されてきた形式です。
問題3は資料A、資料Bの内容をふまえながら、資料Bの「思考停止」してしまっている例を一つあげ、それを変え多様性を大切にしていくためにはどうしたらよいかを答える作文問題です。昨年と比較すると指定条件が増え、例をあげるという要素が加わっていますが、これまでの傾向をふまえた非常に取り組みやすい問題だったと言えます。

適性検査Ⅱ

大問1はさいころを扱った問題でした。受検生にとってはなじみ深い題材です。
問題1は展開図を書く問題で、実際にさいころの面のスケッチを描くものです。問題2はさいころの目を使って式を立てる問題でしたが、ルールに従うことができれば答えることは簡単です。問題3は鏡に映したさいころについて考える問題です。6の目以外が4個ずつ映ることに気が付けば正解にたどり着ける問題です。
大問2は「日本のくらしと変化」をテーマにした問題で、昨年同様、小問は3問でした。
問題1は距離の違いによる高さの見え方の変化について考察する問題、問題2は東海道新幹線の路線の沿線の都市と人口、または工業地帯の関係性について考察する問題、問題3は割合の計算を行い、その計算結果をグラフに表し、その結果の数値を資料と関連させて考察する問題でした。昨年と同様に基本的な問題ですので、資料を読み取って考察する力と割合計算のスピードと正確性が重要なカギとなりました。
大問3は「花粉や黄砂の測定結果」について考察する問題です。
問題1が「花粉を顕微鏡で観察し、花粉の数を求める」問題で、単位量当たりの計算を必要とします。問題2は黄砂を観測する装置の仕組みの説明から、計測結果を考察する問題です。初めて知る観測装置なので、会話文や図を読み仕組みを理解する力が必要です。問題3は「日本で黄砂が観測される原因と気象状況の関連」について考察し記述する問題です。身近な話題ですが、問題文や資料から観測の方法や分析の仕方を読み取る力が必要な問題でした。

適性検査Ⅲ

2018年から適性検査Ⅲが導入されました。大問2題、小問8題の構成でした。30分という短時間で解ききる力が必要です。
大問1は、問題1・問題2が為替レートに関する問題、問題3・問題4・問題5が図形の問題でした。
問題1・2については計算力が問われ、いかに短時間に答えを導き出せるかがポイントになります。問題3については、比較的容易ですので絶対に落とせない問題です。問題4・5は文中にある法則をいかに素早く読み解き、実際の問題へと運用させられるかがポイントになります。
大問2は、規則を読み取り推理する問題です。
小問3題の構成です。小問1から順に新しいゲームのルールを理解していく必要があり、“時間があれば解けそう”な問題になっています。決して目新しい問題、取りかかりにくい問題ではなく、あわてずに落ち着いていれば解ける問題でした。

適性検査Ⅰ

出典:枡野俊明「日本人はなぜ美しいのか」による
出題形式:文章数は、昨年では二文章型でしたが、今年は本文が一文章型になりました。設問の字数制限は、問題1・2は昨年と同様「百字以内」でしたが、問題3は「四百字以上四百五十字以内」と五十字少なくなりました。文章は、日本文化である「おもてなしの心」を題材にしたもので、具体例が多く要旨がつかみやすい文章でした。文章が読みやすく、例年の出題形式と変わらない点ではやや易化したと言えますが、問題1で「本文中の例をあげる」という条件が含まれていたり、問題3で「具体的に」という条件がついていたりと、設問自体の条件を読み落とすと失点しかねない入試であることには変わりはありません。
内容:問題1は文章の中で、筆者が「跡を残す」とはどのようなことだと説明しているかを、本文中の例をあげて説明する問題です。「玄関前の掃除や打ち水」や「部屋に漂うお香のかおり」が例としてあげられている点をつかみ、「跡を残す」という表現が何を意味するかを考えることで解ける問題でした。問題2は「茶の湯の一連の所作をしているあいだは、ひとことも発することはありません」という部分の理由を問う問題でした。なぜことばを発する必要がないのか、傍線部付近から丁寧に読み込んで解いていきます。問題3は「あなたは将来、海外から日本に来た方にどのようにして『おもてなし』をしようと思いますか。」という内容の作文問題でした。本文をふまえることと、具体的に書くという条件があります。もし自分が「おもてなし」をする場面になったらどうするか、といったことを本文にある「おもてなし」にふれながらくわしく書くということを想定しています。適性検査Ⅰは、総じて昨年よりやや易化したといえます。

適性検査Ⅱ

大問3つの構成でした。大問1は「図形」がテーマで、立体の見方・対称性・規則性を見つける問題です。簡単な例を具体的に書き出して、作業をする中で解答を導き出していけるとよいでしょう。特に問題1は必ず得点したいところですが、同じ大きさの正三角形を答えるというようなミスは禁物です。問題2は、Aグループの枚数が(3の倍数+1)、Bグループが(3の倍数)になっていることに注目し、その差の1は3本の対角線の交点がある「き」の三角形であることに気が付ければスピーディーに解答にたどりつけます。問題3は問題文の誘導に従って規則性を検証する問題です。
大問2は「野菜の栽培と流通」をテーマにした問題でした。昨年同様、小問は3題でしたが、「資料を分析・考察し、記述する問題」と「割合を計算する問題」が出題され、一昨年と似た傾向でした。資料を読み取って考察する力と割合計算のスピードと正確性が勝負の鍵でした。
大問3は「時間を計ることを題材にした理科実験」を考察する問題です。問題1が「太陽、ふり子、ろうそく」のいずれかの法則から時間が計れる理由を記述する問題で、教科書範囲の知識が必要とされました。問題2は実験結果を考察し、比例の関係を導く問題でした。問題3は対照実験について考察する問題でした。いずれも、決して目新しいものではなく、あわてずに考えれば正解にたどり着ける問題です。

適性検査Ⅰ

出典:
資料A 原研哉「デザインのデザイン」による
資料B 後藤武・佐々木正人・深澤直人「デザインの生態学」による
全体を通して昨年とほぼ同じ形式での出題であり、2文章型で文章自体はどちらもやや短めでした。ただし、抽象語句が多いため、注釈を頼りに理解していく必要がある比較的高度な内容でした。問題2の字数指定が昨年の「100字以内」から「50字以上100字以内」に変わり、同様に作文も昨年の「400字以上500字以内」から「400字以上450字以内」に変わり、昨年度に比べて字数が短い問題形式となりました。
問題1ではデザインする人の認識がどのように変化したかをまとめる「変化を問う問題」が出されました。問題2では「多様性を残したデザイン」を説明している箇所を探してまとめる「言い換え問題」が出されました。問題3は「あなたの身近にある道具」について、3つの条件に沿って記述する作文問題でした。条件が多い作文を書きなれていることが必須ですが、白鷗中の過去問に取り組んできた受検生にとっては典型的な出題だったと言えます。

適性検査Ⅱ

大問3つの構成でした。大問1は「渋滞」を題材にした作業中心の問題で、ルールと条件に従い作業を行えば平易に解答を導き出すことができました。必ず得点しなければならない問題です。
大問2は「資料の読み取り」の問題でした。小問は3つあり、そのうちの1つが「歴史」をテーマとした問題だったため、驚いた受検生も多かったのではないでしょうか。今回の大問2では、3つの小問を通して「資料内容を正確に読み取る」「関連のある事柄を探す」「条件に沿って考える」という力が試されています。取り組む問題を選び、解きやすい問題を確実に得点することが高得点のカギとなりました。
大問3は「アゲハチョウの幼虫のからだのしくみと蛹化する環境についての実験」を考察するものです。資料から幼虫の体のしくみを考える問題が1問、実験結果から結論を導き説明する問題が2問の、小問3題で構成されています。

適性検査Ⅰ

出典:
資料A 福井謙一「学問の創造」より 資料B 羽生善治「大局観」より
2つの文章を読む形式でしたが、本文読解を問われたのは資料Aが中心でした。問題1・2はいずれも百字以内、問題3は四百字以上五百字以内で、昨年と同様の字数指定でした。
内容:資料Aは比較的難易度が高く、論理表現や比喩表現が多用されている文章でしたので、一読ではつかみづらい内容でした。問題1では比喩を含まずに答えるために「言い換える」力が問われました。問題2は「科学的直観」の定義を問う問題でした。問題3は将来の目標について資料A・Bをふまえる作文問題でした。指定条件が3つあり、その形式に当てはめて書く力が求められました。

適性検査Ⅱ

大問3つの構成でした。大問1は「うるう年」を題材にした計算中心の問題でした。うるう年の計算法がきちんと説明されていたので、受検生は得点しやすかったはずです。
大問2は会話文形式で、図が5つに表が1つ、小問3つで5ページというボリュームのある問題構成でした。話題自体は東京オリンピックをテーマに展開しますが、各小問はそれぞれ人口推移と世代別割合、物価の変化、地図の読み方に関する問題でした。どの問題も資料を読み取れば得点できる問題でしたが、計算・解答では条件があり、それぞれの設問で細かい条件が多く提示されているので、条件を丁寧に確認して答える必要があります。
大問3は「発泡スチロールでできた立体を水中に沈め浮力により水面上へ打ち出す実験」について考察するものです。小問3題で構成されています。

適性検査Ⅰ

今年から、作文の問題が適性検査Ⅰとして出題され、適性検査Ⅱが作文だった昨年までと順番が変更されています。作文の問題は、開校初年度から一貫して「資料」と名付けられた出題でしたが、今年は一般的な読解問題と同様の体裁で出題されました。出典は大岡信「みち草」による文章で、昨年は2つの文章から出題されていたのに対し、今年はこの文章のみでした。設問は3つで、問題1が百字以内、問題2が同じく百字以内、問題3が四百字以上五百字以内で、合計で六百~七百字程度となっています。
問題1は「梅の花」と「桜の花」のちがいを対比する問題で、白鷗中では頻出する設問形式でした。それぞれの花についての記述を丁寧に追い、対比のバランスに注意しながらまとめることができているかがポイントです。問題2は文中に引用される「『西行の桜の歌』が特別に愛されてきたことについてどのように説明されていたのか」を答える問題でした。説明部分がはっきりしていますので、流れに沿って具体表現に偏り過ぎないように言葉を選んでまとめれば得点できました。問題3は作文問題で、「現代の私たちは、桜とどのように親しんでいるとあなたは考えますか。」という問題に、「文章をふまえつつ、思い出や体験をふくめて」という条件がついたものでした。条件に対して正対しながら段落を構成し、現代の私たちの体験として納得・共感できるような体験を書くことができたかが合否を分けそうです。

適性検査Ⅱ

大問3つの構成でした。大問1は「水の状態変化」に関する問題でした。基礎的な問題が並び、受検生は得点がしやすかったはずです。
大問2は「資料の読み取りと割合の計算」の問題でした。資料をじっくりと読み込んで、人数と割合の区別をしっかりつけることができれば、正解できる問題でした。
大問3は「パズル・規則性」の問題でした。条件を理解し柔軟に対応できる力を試される問題です。問題自体はシンプルでした。粘って注意深く考えることが求められる、得点差のつく問題だったと言えるでしょう。

ボーダーラインについて

適性Ⅰは昨年度と比較しても、難易度はさほど変わりません。65~70%の得点を取っておきたいところです。適性Ⅱは昨年よりもやや易しめの出題でしたので、75%がボーダーラインとなりそうです。

適性検査Ⅰ

昨年度は「算数系」→「文系」→「白鷗中の特色である江戸と東京に関する問題」というならびでした。今年は江戸と東京の問題の代わりに「理科系」→「文系」→「算数系」というならびになりました。
[1] 虹の反射についての問題でした。近年の問題傾向とは異なり、平成21年度大問3の「月の動き」のような理科系の問題でした。しかし、問題を比べてみると図は比較的わかりやすく、会話文中で説明もされていたので、多くの受検者が正解を導き出すことができたことでしょう。
[2] 読書と学習時間の表やグラフを用いた資料読解問題でした。文系の資料読解問題の中では計算しやすい数値であり、また[問題3]の表の特徴を答えさせる問題もオーソドックスなものでした。この問題は落とせないところです。
[3] パズルの問題でした。昨年に比べて問題数は一問多くなりましたが、作業の説明が丁寧に書かれており、少なくとも[問題2]までは確実に得点したいところです。
問題傾向は昨年と大幅に変わり、手がつけやすい問題が多く出題されました。一方、毎年出題されていた俳句の問題、そして江戸と東京に関する問題が今回は出題されなかったことが、今年度一番の特徴と言えるでしょう。難易度はここ近年と比べて比較的易しくなりました。

適性検査Ⅱ

出典:資料1 日高敏隆「人間はどこまで動物か」 資料2 秋野翔一郎「イソップ寓話集」
最近の3年間は、資料文書1題、設問2題の形式でしたが、今年度は、平成21年度と同じ資料文書2題、設問2題と少し形式が変わりました。「問題1」では、動物行動学者である著者の作品から、「熱帯と日本とギリシアと南フランスにおけるセミの生活の様子」から、イソップ寓話集の話でギリシアで生まれた「セミとアリ」の話が、日本に伝わる間に「セミ」が「キリギリス」に変わった理由を200字以内でまとめる問題です。
まずイソップ物語は、動物や植物を擬人化して教訓や風刺を伝えようとする寓話で、最初話は口伝えで広まったため、同じような話が多く、題名は同じでも違う話になっているものもあります。資料1から、セミは、熱帯系の昆虫で、ヨーロッパや北アメリカでは種類も少なく知名度が低かったため、セミがキリギリスやコオロギなどの昆虫に変わったことが読み込めているかが解答のカギとなります。
「問題2」では、生き物が登場する日本の話を取り上げ、生き物が日本人の社会やくらしの中で親しまれてきたことを昨年と同じく600字程度で記述する問題です。比較的書きやすい設問ですが、「題名」「登場人物や生き物の名前」「その生き物を用いてことわざや俳句を書く」という3つの条件が満たされていないと条件違反となります。 昨年まで適性Iで出題されていた「短歌・俳句を作る」問題がこの問題2に含まれました。適性Iで「短歌・俳句」の問題が見当たらず安心していた受検生も驚いたことでしょう。総合的にみて例年の適性検査Ⅱよりも多少易しくなったといえるでしょう。

ボーダー

適性Ⅰ、適性Ⅱともに、全体的に易しくなった予想されるので、65%は確保したいところです。

適性検査Ⅰ

大問3題構成でした。都立中全体で理系重視の傾向が強まる中で、文系的要素の問題も多く出題されています。特に特徴的なのは大問2の問題1で、東京スカイツリーの展望台からの眺めを想像して五・七・五の十七音で表現させるという内容。俳句のように表現するために幅広く想像する中で、五・七・五にあてはめて表現させる問題でした。想像したものをそれぞれの音で表現し答えていく力が求められます。その他大問1は規則性を正しく理解して答えれば比較的得点しやすかった問題でした。また大問3は方角と干支を絡め、23区の順番と位置の関係を問う問題が出されており、東京都の学校ならではの視点が特徴的でした。ここでは、なぜ千代田区が東京23区の中心かの知識ではなく、正確に記入していくことからわかることをまとめるのがポイントで、単なる知識ではない思考力を高めていくことが求められています。

適性検査Ⅱ

適性検査Ⅱの出題形式は、初年度から一貫して「資料」と名づけられた文章についての記述問題と作文で構成されています。「資料」に採り上げられた文章は、平成19年度に物語文が一度だけ出題されたのを除くと、「資料」の文章がA・B二つの文章だった年度もふくめてすべて説明的文章からの出題になっています。 これまでに出題数の変化などがありましたが、本年度は2題構成で、[問題1]は本文についての120字の記述問題、[問題2]はテーマを二つの中から選ぶ選択式の作文というものでした。ここで特筆しておきたいのは、これまでに比べて本年度は600字程度と字数が増えたことです。本校の出題形式が次年度以降どうなっていくのか想像するのは難しいところですが、200字という短い作文・600字の長い作文のいずれについても対応できる柔軟さが要求されていると考えておくのがよいでしょう。