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2024年度適性検査分析速報-三鷹中等教育学校-

投稿日: 2024.02.3 10:00 pm

2024年度 三鷹中等教育学校 適性検査分析速報

こちらの記事の公開日時について

2月13日の11:45ごろまで、こちらの記事は公開日が1月31日となっておりましたが、

これはこの記事のスペースを同日に記載し、

2月3日夜時点で問題を分析した内容に更新する、という処置を行ったためです。

事前に学校様やその他の箇所から問題をena側が入手していた、などということはございません。

誤解を与えてしまい申し訳ございません。

ena小学部 青木繁和

 

適性検査Ⅰ

【出典】
文章1:三浦しをん「墨のゆらめき」による
文章2:標野凪「こんな日は喫茶ドードーで雨宿り。」による

【出題形式】
今年度は小説文2本からの出題でした。全体のテーマとして「多様性」という点では前年度度同様でした。〔問題1〕と〔問題2〕の解答字数は前年度と比べると、増加しました。〔問題3〕のテーマは先述した通り「多様性」となり、作文に書くべき内容も指定されています。〔問題3〕の難易度は前年度と大きくは変わらないものの、〔問題1〕と〔問題2〕が難化したこともあり全体としては前年度と比べ難化しています。作文の〈きまり〉は前年度と同様でした。

 

〔問題1〕指定部分の理由を答える問題
文章中の「俺」が「窓からの風を感じたあとの生徒たちの字は生き生きと躍動して見えた」理由を答える問題です。「俺」は生徒たちの「風」という字を見て、「こんなに多種多様で自由なものだったのか」と感心しています。したがって、「字が自由に見えた→だから、躍動して見えた」と、因果関係で結ぶことができます。あとは、字がなぜ自由に見えたのか、などの情報を足せば解答が作れたはずです。

 

〔問題2〕指定部分の理由を答える問題
そろりさんがなぜメニューに「自信が持てるあんバタートースト」という名前を付けたのかを答える問題です。さらに設問の指示に「そろりさんの意図を想像して」とありますので、そろりさんの発言以外にも注意を向けるなど広く考える必要があります。そして、設問にある「(  )というメッセージをお客さんに伝えるため。」という部分に注目しましょう。「だから自信を持つことが大切なんですよ」「自分を信頼すること(が自信)ですよ」など、「そろりさん」が「朱莉」に伝えた発言をもとに、そろりさんの意図を想像して解答を作る必要があります。

 

〔問題3〕文章の内容をふまえて作文を書く問題
〔文章1〕〔文章2〕の内容をふまえて作文を書く問題です。
字数や作文内に書くべき内容が指定されているなど、前年度と傾向は同様です。また作文のテーマとしては「多様性」となり、昨年度と重なる部分が多いです。〔文章1〕の多様性を認めることで自信につながる、〔文章2〕の誰かが決めた画一的なことではなく、自分のことを信頼して自信を持っていくという内容をふまえ、書くべき内容を逃さずに書くことが重要となります。作文のテーマが書きやすいものでしたので、書くべき要素を押さえて、適切な具体化ができているかが得点を分けます。

 

適性検査Ⅱ

【大問1】「グリーンウォーク」という学校行事の準備を題材にした問題

 

大問1は独自作成で、例年通り3問構成でした。

 

〔問題1〕は指定の条件を満たすような時刻と位置の関係を表すグラフをかく問題でした。
三鷹中では図をかく問題が例年出題されていますが、グラフをかく問題については出題例が少ないです。出題形式と、正解するための肝となるものがほぼ同様の問題が以前共同作成問題で出題されており、それを解いたことがある受検生には必答問題でした。算数が少し苦手な初見の受検生には少し難しかったかもしれません。

 

〔問題2〕は円周率を使って計算する問題でした。三鷹中では例年、円周率を使って計算する問題が出題されており、今年度で7年連続の出題となりました。円形のメダルのまわりに貼る紙の長さを計算し、紙が足りるかどうかを答える問題した。何かを作成する際の材料の量に関わる問題は2022年度の共同作成で出題されており、こちらも〔問題1〕同様にその問題を解いたことがあるかどうかで解答を出す難度は異なる一問でした。

 

〔問題3〕はチーム対抗企画の結果をもとに、複数の得点基準に基づいて得点と順位をつけ、さらにどの順位の決め方が良いと考えられるかを記述する問題でした。複数の方法を比較しどちらが優れているかを記述する問題は昨年も出題されています。それぞれの得点の求め方は資料から読み取れますが、作業量が多かったため計算の速さや正確さが必要になりました。また、良いと考えられる方法の記述は、自分で求めた計算結果をヒントに考えることができると簡潔に書けたと思います。答えにたどり着くまでに時間がかかるため、飛ばした受検生が多かったと思われます。おそらく、ここの一問は合否を左右しなかったでしょう。

 

【大問2】公共交通機関の利用について考える問題

令和3年度から引き続き小問2題の構成で、計算問題は出題されていません。大問全体の話題は、令和3年度から令和5年度までは3年連続で日本の産業を題材にした内容だったのに対し、今年度は令和2年度と同様に公共交通機関を題材にした内容となっていました。

 

〔問題1〕は、公共交通機関の利用割合が偏っている理由を、所要時間と料金の観点から考察する問題です。解答に用いる資料を受検生に選択させる形式は、5年連続の出題となりました。出題者側が想定している解答の分かりやすい、平易な問題でした。

 

〔問題2〕は、「ふれあいタクシー」を導入することになった理由と、その効果について考えられることを、複数資料を組み合わせながら説明する問題です。ひとつの問題で解答すべき内容が複数ある形式は、4年連続の出題となりました。参考にしなければならない資料は多いものの、こちらも解答の方向性が明快で、平易でした。
会話文や資料が過年度の適性検査問題と比較しても標準的な内容であるため、2問とも難易度は高くありません。解答の根拠になる部分を会話文や資料から適切に読み取ったうえで、問われていることに対しての答えをわかりやすく表現する力をみられる問題でした。

 

【大問3】「まさつ」について調べる実験を題材にした問題
ここ3年連続していた、小問が2問あり、それぞれに設問が2つある実質4問の問題構成から一変、小問が2問、設問も1つずつの実質2問構成となり、問題量が大幅に減りました。2問とも記述の要素を含みますが、分量がそれほど多くもないため、単純に負担が減ったと考えられます。実験結果の考察が中心で、計算が必要な問題はありませんでした。

[問題1]は、ペットボトルのキャップにつけられたみぞのまさつによる効果を、モデル化した実験で確かめる問題です。実験の内容そのものは結果も素直で分かりやすいものではありますが、問題で問われている内容を過不足なく盛り込んで完全な解答を書く観点を持たずに、ぱっと解答をしてしまうと、要素が不足して減点となりうる、問題文の読解力で点数の分かれる問題でした。

[問題2]は、斜面をすべり下りる物体の摩擦力が、接地面の素材にどのような影響を受けるかを、実験から明らかにする問題です。複数の条件が設定されているので、対照実験の考えを使うことが必要になりました。実験の内容そのものは比較的分かりやすいものであったため、対照実験の仕組みの理解とそれを言語化できるかどうかが得点の肝でした。

 

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