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2026年度適性検査分析速報-千代田区立九段中等教育学校-

投稿日: 2026.02.3 9:19 pm

適性検査分速

 

2026年度 千代田区立九段中 適性検査分析速報

 

 

適性検査1

【出典】

村崎なぎこ『オリオンは静かに詠う』
小野純一『僕たちは言葉について何も知らない 孤独、誤解、もどかしさの言語学』
古田徹也『言葉なんていらない? 私と世界の間』

 

【出題形式】

大問が2つ、大問の内一つは短い文章が2つとここ数年の形式そのままでした。今までは物語文で小問4題、論説文で3題の出題でしたが、今年度は物語文で3題、論説文で4題と細かい変更がありました。最後の作文も100字から150字と文字数が変わらず、しっかり過去問を演習していたかどうかが問われました。
物語文は聴覚障がいをもつ妹をきっかけにする家族とのすれ違いと関係の修復、論説文、文章Ⅰでは「単語の大きな意味のまとまりから場面によって変容し、さまざまな意味が現れる」、文章Ⅱは「『すごい』などの便利で曖昧なことばでやり過ごしてしまうと試行が平坦で単純なものになってしまう」と述べられていました。特に論説文のテーマである言語論は、enaのテキスト、日特・合宿教材でも触れた、なじみのあるテーマだったといえます。ena生としては取り組みやすい問題だったでしょう。

 

大問1
〔問題1〕 傍線部の因果関係を読み取る問題
誰が何をしたことで「盾にひびが入り、音を立てて崩れて地面に広がる」につながったかを具体的に書く問題です。直前をみると、オーナーが陽子に魅力を伝える→解放された感覚になり、自分の魅力に気づく→盾にひびが~の流れが読み取れました。今回はあくまで「誰」が何を「した」かを問われているのでその行動のみを解答する必要がありました。確実に取りたい問題でした。
〔問題2〕 傍線部の因果関係を読み取る問題
「静香は目をさらに見開いた」理由を具体的に書く問題です。「出来事→感情の変化→言動」の流れを落ち着いてみていきます。「静香は目をさらに見開いた」の直接のきっかけは陽子が『明日から手話教えてくれない?』と尋ねたことです。また、「さらに」とあるので、その前の陽子は静香に対して手話を披露し、最初に静香が目を見開いた場面についても言及しなくてはなりません。文章全体の流れをしっかりと理解する必要がありました。

 

〔問題3〕 短作文 60字~70字
「光の加減で見える姿は違うけれど、『ひとつの宇宙』なのだ」について、本文をふまえて同じような体験や具体例を書きます。本文をふまえると明記されているので、今回は本文内容に即した内容にしなくてはなりません。比ゆ的な表現になりますので、まずはここの意味を理解します。聴覚障がいを持つ静香と聴者の陽子で見えている世界が異なると思っていたものの、手話で会話することによって共通の経験をしてきたことがわかります。したがって、目線が異なると思っていた相手と、1つの物事に対して、同じ感情を抱いていたという体験を書いていく必要があります。字数が短いのでコンパクトにまとめあげる力が問われました。

 

大問2
〔問題1〕 傍線部の理由をとる問題
<意味のまとまり>が「常に変容する」理由を書きます。本文をみると、<意味のまとまり>の下に数多くの見えていない意味があり、会話したりするなかで音や文字と結びつき、見えていない意味が現れ、言葉の意味が変化するとあります。この部分を使って解答をつくっていけばよかったでしょう。

 

〔問題2〕 本文の内容を読み取る問題
「その場の流れが、そうさせるのです」の説明となる文章の空欄にあてはめていきます。まずは空欄を含む文章を見ると、「語り手自身ではなく(  )や(  )が<意味のまとまり>のなかから意味を特定させること。」とあります。したがって、何によって大きな枠組みの中から意味がより限定的なものに変化させられるのかを探していきます。傍線部を見ると、「その場の流れ」とありますので、ここを軸に考えていきます。漢字二字という条件で、なんとなく選んでしまうと正解にたどり着けません。差がついた問題といえるでしょう。

 

〔問題3〕 本文の内容を読み取る問題
「いつもなんとなく『すごい』といって片付ける」ことの問題点についての説明を書きます。「いつもなんとなく『すごい』と言うことの言いかえは、空欄を含む文章に「言葉を探したり、選んだりすることをやめてしまうこと」とあります。ここの言いかえを抑えつつ、因果関係が確認できる部分を探します。字数としても見つけやすく、確実に取りたい問題でした。

 

〔問題4〕 作文問題 100字~150字
「とりあえずなんでもこの言葉を使って済ます」の具体的な言葉を挙げ、どんな場面で使われるかを説明します。文章内の具体例は避ける必要があります。また、続く第二段落では、その場面においてどのような言葉に言い換えていきたいかを具体的に書きます。「この言葉で済ます」というのは、本来は異なる言葉で(よりピンポイントな言葉で)表現できたはずなのに、曖昧な表現でもって終わらせてしまうことを指します。その具体例が本文では「すごい」に該当します。したがって例としては極めて抽象的な言葉を挙げ、それをどのような場面で使っているかを述べます。第二段落ではその場面においてそれをどのような表現に改めるかを書きます。単純に「〇〇という表現を△△に改めます」という書き方ではどう改善されたかわからないので、その場面においてどのようなところがより的確な表現になるのかという理由までを含めて書きます。

 

適性検査2

大問1 印刷を題材とした、資料を用いて考察する問題

お札や硬貨の製造方法や木版印刷について、資料を用いて考察する問題でした。〔問1〕はお札と硬貨の違いについて考える問題でしたが、問題形式が穴埋めと記号選択であったため、資料をしっかり読み取ることで確実に正解できた問題でした。〔問2〕は浮世絵を題材に、木版画と肉筆画の違いについて考える問題でした。絵師が一枚ずつ描く肉筆画とは違い、木版画は同じ絵を大量に作ることができることを読み取れれば、解答にたどり着くことができます。〔問3〕は木版印刷と銅版印刷の違いについて考える問題でした。資料をしっかり読み取れば正解できる問題でしたが、受検生には馴染みのない題材だったので、理解に苦労した受検生もいたようです。全体としては、例年通り資料の中に答えとなる内容が明確に書かれているため、比較的取り組みやすい問題と言えます。

 

大問2 洗濯を題材に対照実験の結果を考察する問題

洗濯を題材に、それぞれの対照実験の結果から考察を行う問題でした。〔問1〕は、表面と裏面で溝のつくりが異なる洗濯板の使い方について考える問題でした。それぞれの面の利点に注目して解答を作成する必要がありました。〔問2〕は、布の枚数による縦型洗濯機でのよごれの落ちやすさの違いについて考える問題でした。資料に縦型洗濯機のよごれの落とし方について書かれていたため、比較的平易な問題でした。〔問3〕は、洗濯物をはやくかわかす方法について考える問題でした。水の蒸発についての抽象的な実験結果を、洗濯物をかわかすという具体的な事例に落とし込む必要があり、思考力や記述力が試される問題でした。大問2全体としては、考察に必要な情報が資料に明確に書かれていたため、取り組みやすく、しっかりと正解したい問題でした。

 

大問3 ルールをもとに図形について分析する問題

昨年度の「樹木さん」の問題を彷彿とさせる、ルールをもとに図形について分析する問題でした。ルールが複雑なため、資料で与えられた例を正しく理解する必要があります。〔問1〕は、立方体の展開図を組み立てたときの頂点や断面図について考えるというよくある問題ではありましたが、作業の中で考察を進める必要もあり、立体図形が苦手な受検生からすると一問目からハードに感じたかもしれません。〔問2〕は、ルールにもとづいて図形に線を作図する問題であり、他の問題に比べると取り組みやすい問題でした。〔問3〕は、立体図形問題で頻出である前・右・上から見た図をもとに作業を行う問題で、それぞれの面との整合性に注意して作図を行う必要がありました。大問3全体を通して、ルールを理解すればそこまで難しい問題ではありませんでしたが、文章量が多く、解くための作業にも時間がかかるため、試験時間を考慮するとあまり深入りすべき問題ではありませんでした。

 

適性検査3

大問1 植物の生態について考察する問題

ヒマワリなどのキク科の植物や、外来植物の生態について考察する問題でした。〔問1〕は、ヒマワリが太陽の方向を向いて咲くという生態に関する問題でしたが、知識として知っている受検生も多く、正解したい問題でした。〔問2〕は、同じキク科の植物であるヒメジョオンとヒマワリの類似性について考える問題でした。資料に詳しくそれぞれの花の特ちょうが書かれていたため、花のつくりに注目すれば答えることができた問題でした。〔問3〕は、ナガエツルノゲイトウという外来植物が稲作に与える影響について考える問題でした。資料に特徴がまとめられており、あてはまる言葉を穴埋めする問題でもあったため、確実に正解したい問題でした。大問1全体を通して、文章量や資料の数も少なく、記号選択や穴埋めなどの取り組みやすい問題も出題されていたため、非常に解きやすかったと言えます。

 

大問2 身近なものを題材にした規則性に関する問題

たたみや歩道のタイルを題材に計算を行ったり、しきつめ方の規則性について分析したりする問題でした。〔問1〕ではたたみのしきつめ方について考える問題、長さを日本の古来の尺貫法を使って表す計算問題が出題されました。尺貫法で単位換算するときの数値が複雑なので、計算ミスには注意しなければなりません。〔問2〕、〔問3〕は歩道のタイルのしきつめ方の規則性について考える問題でした。周期算の考え方でそれぞれ答えを導くことができますが、〔問3〕はタイルの模様が複雑になるため、難しく感じた受検生が多かったようです。全体的には取り組みやすく、特に〔問1〕のたたみの問題については、enaの本科授業でもふれている題材なので、しっかりと正解したいところでした。

 

大問3 輸送を題材とした、資料を用いて考察する問題

 トラックや鉄道による輸送について、資料を用いて考察する問題でした。〔問1〕は資料をもとに、沖縄から各地に荷物を送る場合にかかる日数や料金を調べたり、距離的が近くても東京より荷物の到着が遅れてしまう地域について考えたりする問題でした。問題の条件に合わせて資料を取捨選択する必要があったため、資料をよく読み込まないとミスをしてしまう問題です。〔問2〕は北海道で貨物鉄道が整備された理由や、「宅扱」という大正時代の配送サービスについて、資料をもとに考察する問題でした。問題形式が穴埋めと記号選択であったことや、資料の読み取りもわかりやすいものであったため、確実に正解したい問題でした。〔問3〕は架空の町「くだん市」に設置する配送センターの位置を、条件にしたがいコンパスで作図するという問題でした。資料や問題の条件が複雑であり、作業にも時間がかかるためあまり深入りすべき問題ではありませんでした。全体的に例年より資料が複雑であり、解答するための作業も多かったことから、受検生にとっては難しく感じた問題であったと思われます。

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