中学受験、高校受験、大学受験を目指すお子さまの為の進学塾ena

  • イベント申し込み
  • 資料請求
  • お問い合わせ 0120-06-1711 受付:日・祝日をのぞく10:00~18:00

ena高校部 国立

現代文得点力アップのための「設問読解力養成講座」第1回

コメント数:0   投稿日:2025/05/02 23:30:16 

本講座の狙いは一つ。

現代文受講生全員の成績を上げ切ること。

国公立志望者は東大で合格者平均点はとること。

私立志望者は早稲田の法学部・文学部の選択肢問題は間違えても一問レベルにすること。

早ければ早いほど効果は上がりますので、高2・高1生はもちろん高校部に在籍する中学生のみんなも是非読んでください。

使用する問題は、実際の大学入試で出題された設問。

その設問の傍線部読解の練習を徹底します。

何事もそうですが、基礎基本の徹底は本当に大切です。

どんな時にも同じように考えて根拠を取れるようにします。

記念すべき第1回は、皆さんご存知の例題です。

私の授業の初回で必ずやる問題です。

ちなみに小学生でも中学生でも高校生でも常に同じです。

この例題を通じて、基本中の基本となる考え方を身につけてください。

次回以降、この考え方をベースとして進めていきます。

 

 

次の文を読んで後の問いに答えなさい。

子どものしつけに失敗したので、犬で取り戻そうとした。

問 傍線部「犬で取り戻そうとした」について。どういうことか説明しなさい。

 

この講座でやろうとしていることは、傍線部読解になりますので、あえて「子どものしつけに失敗したので」の部分は見ていないことにして考えていきます。

傍線部で考えることは一つ。情報を増やすことです。

情報を増やさないままに、ただ「どういうこと」かな? と問いかけながら本文を読んでなんとなくまとめる、

このやり方で常に正解が出せるという生徒はいないはずです。

情報を増やすためにやることは二つ。

1)不足している情報を調べる。

2)傍線部からわかる情報を考える。

 

1)の「不足情報」を考えます。

不足している情報を導くためにシンプルな問いかけを行います。

ズバリ、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」です。基本はこの四つ。

「どのように」「なぜ」は特殊なケースだと考えてください。必要な時は、その都度お伝えします。

今回の問いかけは、「何を」「誰が」です。

 

2)の「得られる情報」を考えます。

「得られる情報」というのは、そこに書いてあることから読みとることのできる別の情報のことです。

例えば「やっと安心した」と書いてあったら、長い間心配していたんだ、ということがわかりますよね。

「ドアを閉めた」だったら、最も単純なことで言えば、それまでドアは開いていたということがわかります。

また、ドアが自然に閉まったのではなく、誰かがその人の意志でとった行動だということがわかります。

このように、その表現のウラに隠れているものを意識するのです。

「取り戻す」ですから、元々持っていたものが何かの理由でなくなったということがわかりますね。

 

1)で問いかけた「何を」の答えは「失ったもの」「奪われたもの」だったことがわかります。

さらにわかることがあります。

それは「取り戻そうとした」という表現から見えてくることです。

よくわからないという人へのアドバイスです。

よくわからない時は、とりあえず反対のことを考えてみる。

この場合は「取り戻さない」「取り戻そうとしない」です。

どんなものだったら「取り戻そうとしない」ですか? と考えると見えてきませんか?

わざわざ「取り戻そうとした」のだから、その人にとって大切なもの、何らかの理由で取り戻す必要のあったものだったということがわかります。

 

もう一つ考えたいのは「犬で」という言葉です。

これも、先ほどと同じようにウラにあるものを考えます。

「犬で」「取り戻そうとした」のだから、他のものではないことがわかります。

他のものでうまくいかなくて、「犬で」「取り戻そうとした」のかもしれないと考えることも可能かもしれませんね。

さらに、「犬で」の「で」に注目しましょう。

助詞・助動詞をおろそかにしないことも本当に大切です。

・庭で遊ぶ。(場所)

・車で行く。(手段・材料)

・雨で中止になる。(原因)

・一時間で終わる。(時間・期間)

格助詞「で」の基本を挙げてみました。(他の働きもあるので辞書を引いてみるといいですよ。)

「犬で」「取り戻す」ですから、手段だとわかります。

ここまでを整理すると、「犬で取り戻そうとした」という傍線部は以下の通りに変化します。

誰かが、犬を使って(犬を手段として)、失ってしまった自分にとって大切な何かを取り戻そうとした。

これで、調べるべきことが抽出されます。

①「取り戻そうとした」のは誰か?

②「犬で(犬を使って)」具体的に何をするのか?

③失ってしまった自分にとって大切な何か、とは何か?

④そもそもなぜ失ってしまったのか?

傍線部の直前部にある「子どものしつけに失敗したので」を使うと、①②④は確実にわかります。

③は少し考える必要がありますが、親が子どものしつけに失敗したと考えてしまったために、犬のしつけを成功させて、少しでも取り戻したいと思ったものは何か? という問いかけで考えることができます。

いかがでしょうか。

傍線部をしっかりと読みとることで、調べるべきことが明らかになった状態で本文に行くことができるようになります。

そうすれば正答率が上がることは間違いないですよね。

 

不足しているものを問いかけて抽出すること。

そして、傍線部の自立語の意味のウラにあるものを考えること。

助詞・助動詞にも注目すること。

これらを考えるまでもなく自然に行えるようにすることが目標です

そのためにも最初は意識して取り組んでいきましょう。

 

次回以降は、大学入試の問題を扱います。

56

感想およびコメントをお寄せください