お問い合わせ先 ena教務部
0120-06-1711※受付時間 日曜・祝日除く 10:00~18:00
東京都立
両国高等学校附属中学校
学校紹介
都立両国高校を設置母体として平成18年に併設型中高一貫教育校として開校。高校は府立三中として明治34年(1901年)に創立。
住 所
墨田区江東橋1丁目7番14号
電話番号
03-3631-1815
アクセスマップ
募集人員
年度 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|---|---|
男 | 60 | 60 | 80 | 80 | 80 |
女 | 60 | 60 | 80 | 80 | 80 |
計 | 120 | 120 | 160 | 160 | 160 |
応募者数
年度 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|---|---|
男 | 398 | 407 | 399 | 393 | 369 |
女 | 453 | 438 | 382 | 382 | 331 |
計 | 851 | 845 | 781 | 775 | 700 |
受検者数
年度 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|---|---|
男 | 378 | 388 | 370 | 373 | 351 |
女 | 433 | 416 | 361 | 371 | 311 |
計 | 811 | 804 | 731 | 744 | 662 |
合格者数
年度 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|---|---|
男 | 60 | 60 | 80 | 80 | 80 |
女 | 60 | 60 | 80 | 80 | 80 |
計 | 120 | 120 | 160 | 160 | 160 |
実質倍率
年度 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|---|---|
男 | 6.3 | 6.47 | 4.63 | 4.66 | 4.39 |
女 | 7.22 | 6.93 | 4.51 | 4.64 | 3.89 |
計 | 6.76 | 6.7 | 4.57 | 4.65 | 4.14 |
【出典】
文章1 東直子「生きていくための呪文」による
文章2 藤田真一「俳句のきた道 芭蕉・蕪村・一茶」(一部改変)による
【出題形式】
例年と同様に読解2問、作文1問という形式でした。読解は文章内から例を探して記述する問題と、該当する連続する2文をそのまま抜き出すという問題でした。作文は今後の学校生活を意識して書いていくものであり、字数も例年通り400字以上440字以内となっていたので、大きな傾向の変化はありませんでした。
〔問題1〕問われている内容に一致する具体例をそれぞれの文章から探し記述する問題
短歌・俳句をくり返し唱えたり、思いうかべたりすることには、どのような効果があると述べられているのか、文章1と文章2で挙げられている具体例を一つずつ探す問題です。具体例をそれぞれの文章から探す必要があるため、短歌・俳句を「繰り返し唱える」「思いうかべる」ことで得られる「効果」を探せば良いだけの問題ですが、文章自体が小6生にとって読みにくいのでそう簡単には見つけられなかったかもしれません。
〔問題2〕文章2の傍線部に関連する文を、文章1から抜き出し記述する問題
文章1の筆者は短歌を読んで、どのような情景を想像しているか、連続する二文を探して答える問題です。文章1の筆者が短歌を読み、情景を想像している部分を探すだけなので平易な問題であったといえるでしょう。短歌を読んで情景を想像していると読み取れる箇所は複数ありますが、「連続する二文」という条件をクリアできる箇所は絞られています。これは確実に正解しておきたい問題でした。
〔問題3〕二つの文章のいずれかの考えに触れ、自分の考えを書く問題
これからの学校生活で仲間と過ごしていくうえで、言葉をどのように使っていきたいかを答える問題です。文章1・文章2の筆者の、短歌・俳句に対する考え方の「いずれか」に「ふれる」という指示がありましたので、自分にとって「わかりやすく」そして「書きやすい」部分を探すところから始めなければなりませんでした。文章1の内容に寄せて書いた受検生が多かったはずです。それ以外は明確な指示はなく、字数指定も例年通りでした。あとは、「これからの学校生活で仲間と過ごしていく上で」言葉をどう使っていきたいか、筆者の考え方と関連付けてまとめる必要がありました。
【大問1】デジタル数字を題材にした問題
大問1は前年度同様小問2題のシンプルな構成でした。どちらの問題もデジタル数字を題材としたパズル要素の強いものでした。全体的にここ数年の中では取り組みやすい難易度になっていました。
〔問題1〕マグネットシートから棒状のマグネットを切り取り必要な個数をつくる問題です。花子さんと太郎さんで「かく」作業と「切る」作業を分担して行い、できるだけ早くすべての作業を終わらせます。それぞれ作業にかかる時間が違うので、どう組み合わせるべきなのか当たりをつけて解き進める必要があります。
〔問題2〕ルールに従って、指定された3けたのデジタル数字を最短時間で作る方法を考える問題です。「マグネットをつける操作」「マグネットを取る操作」「数字の書かれたボードを180度回す操作」「2枚のボードを入れかえる操作」を組み合わせて考えます。回転と入れかえをいかに効率よく使えるかがカギとなりました。
【大問2】公共交通機関の利用について考える問題
令和3年度から引き続き小問2題の構成で、計算問題は出題されていません。大問全体の話題は、令和3年度から令和5年度までは3年連続で日本の産業を題材にした内容だったのに対し、今年度は令和2年度と同様に公共交通機関を題材にした内容となっていました。
〔問題1〕は、公共交通機関の利用割合が偏っている理由を、所要時間と料金の観点から考察する問題です。解答に用いる資料を受検生に選択させる形式は、5年連続の出題となりました。出題者側が想定している解答の分かりやすい、平易な問題でした。
〔問題2〕は、「ふれあいタクシー」を導入することになった理由と、その効果について考えられることを、複数資料を組み合わせながら説明する問題です。ひとつの問題で解答すべき内容が複数ある形式は、4年連続の出題となりました。参考にしなければならない資料は多いものの、こちらも解答の方向性が明快で、平易でした。
会話文や資料が過年度の適性検査問題と比較しても標準的な内容であるため、2問とも難易度は高くありません。解答の根拠になる部分を会話文や資料から適切に読み取ったうえで、問われていることに対しての答えをわかりやすく表現する力をみられる問題でした。
【大問3】「まさつ」について調べる実験を題材にした問題
ここ3年連続していた、小問が2問あり、それぞれに設問が2つある実質4問の問題構成から一変、小問が2問、設問も1つずつの実質2問構成となり、問題量が大幅に減りました。2問とも記述の要素を含みますが、分量がそれほど多くもないため、単純に負担が減ったと考えられます。実験結果の考察が中心で、計算が必要な問題はありませんでした。
〔問題1〕は、ペットボトルのキャップにつけられたみぞのまさつによる効果を、モデル化した実験で確かめる問題です。実験の内容そのものは結果も素直で分かりやすいものではありますが、問題で問われている内容を過不足なく盛り込んで完全な解答を書く観点を持たずに、ぱっと解答をしてしまうと、要素が不足して減点となりうる、問題文の読解力で点数の分かれる問題でした。
〔問題2〕は、斜面をすべり下りる物体の摩擦力が、接地面の素材にどのような影響を受けるかを、実験から明らかにする問題です。複数の条件が設定されているので、対照実験の考えを使うことが必要になりました。実験の内容そのものは比較的分かりやすいものであったため、対照実験の仕組みの理解とそれを言語化できるかどうかが得点の肝でした。
【大問1】論理的思考・計算力をみる総合問題
例年通り、全て算数分野からの出題です。問題1はそば屋が開店してから、品物が売り切れて行列がなくなるまでにかかる時間を求める問題です。条件も複雑でないシンプルな計算問題なため、必ず正解しておきたい問題です。問題2もオーソドックスな消去算型の問題であり、平易な一問です。問題3はレジのお金が条件通りに変動した場合、枚数がどうなるか、という少し珍しい問題で、考えるのに時間がかかるため、あとに回したい問題でした。
【大問2】論理的思考・図形に関する問題
前年度の大問2は大変難度が高く、ほぼ合否を左右しないような問題でしたが、今年度は大変取り組みやすい問題でした。問題1は会話文を参考にして、2人の誕生日を答えさせる問題。よくある簡単な数字と計算の問題で、手を動かしての試行を求めれるものの、条件がシンプルなので正解したい一問です。問題2もよくあるルールに従ってゲームを行う問題。一見複雑ですが、とりあえず手を動かせば比較的簡単に理屈を理解、正解にたどり着ける、こちらも得点しておきたい問題です。問題3も条件に従って試行するタイプの問題ですが、こちらは条件が多く、図形も絡む問題であるため、手を出すハードルの高い問題でした。おそらく正解できる受検生は少なく、合否を左右しない一問だったでしょう。
【出典】
文章1 遠藤敏明「〈自然と生きる木〉木でつくろう 手でつくろう」による
文章2 田口幹人「なぜ若い時に本を読むことが必要なのだろう」による
【出題形式】
例年と同様、読解問題が2問、作文問題が1問出題されました。読解問題では2019年以降続いて出題していた文章横断型の問題(傍線が引いてある文章とは異なる文章から解答を書いたり探したりする問題)は出題されませんでした。作文問題は前年度と同様、各段落に書くべき内容は指定されず、自分で適切に段落分けをする問題でした。二つの文章から読み取れる共通していると思う考え方を適切にまとめ、「学び」と関連させることができたかどうかが勝負の分かれ目となりそうです。
〔問題1〕傍線部の理由を文章から抜き出して答える問題
なぜ、「ナイフのけずりあとがあるような、荒けずりな木材のもつ表情」が「古くさく感じない」と言えるのか、解答欄に当てはまるように文章1から抜き出して答える問題です。隙間や傷のある家具などは、どのようなことを思わせるために、新しい命を感じさせるのかを文章1から探します。セオリー通りに考えていけば答えにたどり着ける一問で、確実に正解しておきたい問題でした。
〔問題2〕文章内容を読み取り説明する問題
「行間を読む」ことについて、本を読むことにおいては何をどうすることか、「真実」「事実」という語を用いて説明する問題です。「難しい表現をすると」とあるため、直前の段落にある「書かれていることを読み、そこに書かれていないことを考える作業」を軸に考えて答えをまとめます。「真実」と「事実」が書かれていること、行間に対応することは明示されているため、これがヒントとしても機能する一問でした。端的にまとまっている一文があるわけではなく、複数箇所の情報をまとめる必要があるため、点数の分かれる問題でした。
〔問題3〕二つの文章から読み取れる共通していると思う考え方をふまえて作文を書く問題
2つの文章から読み取った「共通していると思う考え方」をまとめ、それをはっきり示したうえで、これからの学校生活でどのように学んでいくつもりか、関連させて作文を書くことが求められています。共通点の読み取りについて、これまでの年度の問題と比べて、二つの文章ともに抽象度が高く、共通点が明示されているわけではなかったために、難度が高かったと言えます。過去を未来に生かす、といった内容だと、「学び」の姿勢とも関連性が高いので書きやすくなったはずです。
【大問1】プログラミングを題材とした問題
大問1は前年度同様小問2題の構成でした。前年度は小問1つずつがさらに2つの問題で構成されていましたが、今回はシンプルな2題構成です。新学習指導要領の注目点の一つでもある、プログラミング的思考を題材にした問題となっています。上手に当たりをつけながら考えていかないと、大幅に時間がかかってしまいます。前年度ほどではありませんが、依然として高難易度の傾向が続いています。6年連続で出題されていた、立体図形に関する問題の出題は、今年度はありませんでした。
〔問題1〕は、ブロックを運んで倉庫におくロボットについて、指定された時間でブロックを全て倉庫におけるような、ロボットの移動する道順を考える問題でした。与えられた条件を満たすような道順を考える問題は、過去の都立中の適性検査でもよく出題されていましたが、設定の自由度が高く、当たりをつけながら1つ1つ試していく力が必要でした。また、ただ答えを求めるだけでなく、それを説明する記述力も求められ、限られた時間の中で解き切るのはやや困難な問題でした。
〔問題2〕は、4つの電球につながった5つのスイッチのうち、いくつかのスイッチを押したときの電球の付き方の様子から、どのスイッチがどの電球につながっているかを考える、論理パズルのような問題でした。会話文で丁寧に説明されている考え方の流れを、他の場合にも適用しながら考えていく力が必要な、いかにも適性検査らしいオーソドックスな問題でした。記述も必要ないため、比較的解答しやすく、ぜひ取り組みたい1問だったと言えます。
【大問2】日本の産業構造の変化をテーマにした問題
前年度、前々年度と同様に小問2題の構成で、計算問題は出題されていません。大問全体の話題も引き続き日本の産業について考える内容でしたが、前年度、前々年度は第1次産業を中心とした内容だったのに対し、今年度は日本の産業構造全体に関連する内容となっていました。
〔問題1〕は、3つの年代における産業別の就業者数と就業者数の最も多い年齢層の変化を読み取る問題です。
〔問題2〕は、6次産業化の利点を、農家の人たちの立場と農家以外の人たちの立場からそれぞれ考えて説明する問題です。どちらもひとつの問題で答えるべき内容が複数あり、また、資料のどの部分を使用して答えるかを受検生に選択させる形式となっています。会話文や資料自体は過年度の適性検査問題と比較しても特に複雑といえる内容ではないため、読み取りの難易度は高くありません。条件を守りながら問いに対して正確に答える力をみられる問題でした。
【大問3】ものが水滴をはじく様子および水分を吸収する様子を調べる実験を題材にした問題
前年度に引き続き小問は2問でした。各小問に2つの設問があり、実質4問の出題です。実験結果を読み取り、ふさわしい記号を選ぶ問題が1題、実験結果を読み取った分析結果を記述する問題が3題という内訳でした。実験を読み解くうえで必要な数値については会話文中に与えられていたので、計算はあまり必要ありませんでした。前半は植物の葉が水滴をはじく様子を調べる実験が題材となりました。葉の形、葉の面積、水滴の写真、水の量の変化といった実験結果を比べ、水滴が転がりやすい葉と転がりにくい葉のちがいをどのように判断するか記述で答えることが最終的な目的です。転じて後半は衣服が水分を吸収する様子を調べる実験が題材となりました。ポリエステルの布の方が木綿の布に比べて水をより多く吸収する理由を実験結果から考察する問題、シャツから蒸発する水の量を求める方法を説明する問題という構成でした。いずれも実験内容の把握と記述答案の作成に時間がかかったと思われます。
【大問1】数量・図形の総合的な力をみる問題
算数分野から総合的に出題されていました。
〔問題1〕は、複数通り考えることができる3つの未知数の組み合わせを答える問題でした。平易な問題であり、正解したい一問です。
〔問題2〕は、論理パズルの問題です。こちらもぜひ正解したい問題でした。
〔問題3〕は、与えられた条件を守り、1~6の数字を当てはめる問題です。条件を絞り込みやすい空所から試行していくことで答えを導くことができる問題でした。
〔問題4〕は、与えられた条件を満たすことのできる立方体の展開図を答える問題でした。総じて、大問1は正解を導きやすい問題が出題されていました。
【大問2】ベルトコンベアーで効率よく製品をつくる方法を考える問題
〔問題1〕は、複数示されている資料から必要な情報を整理して考える問題です。示されている情報から必要な情報を選び取ることで正答を導くことができますが、情報が複数あるため、難度は高い一問でした。
〔問題2〕は、〔問題1〕から続く問題でベルトコンベアーと機械AとBがどのように動くのかを正確にイメージすることが求められる問題でした。さらに難度が高く、正答率の低い一問だったでしょう。
〔問題3〕は、それまでの機械の動きから規則性を考え、それを与えられた図で可視化することを求められる難問でした。大問2は総じて難度が高く、大問1の方で確実に得点できたかどうかが勝負の分かれ目だったと言えます。
例年と同様、読解問題が2問、作文問題が1問出題されました。作文問題は近年の傾向と変わり、段落ごとの条件指定がなくなりました。読解問題の難度は高くなりましたが、作文問題は取り組みやすいものでした。
【出典】
文章1:盛口満「自然を楽しむ―見る・描く・伝える」による
文章2:松原始「科学者の目、科学の芽」による
〔問題1〕<文章横断型の記述問題>
文章2の「心躍る景色」が、文章1ではどのように表現されているのかを書いて答える問題です。近年の傾向と同様に、傍線が引いてある文章とは異なる文章から解答を書いたり探したりする、いわゆる文章横断型の問題でした。「書き抜く」ような指示はありませんが、「どのように表現されて」いるかが問われているので文章1で表現されていることばをそのまま書き抜いて答えれば良いでしょう。複数の解答が考えられます。
〔問題2〕<二つの具体的な文章の共通点をとらえ記述する問題>
文章1・文章2の筆者の、生き物研究に対する姿勢の共通点をまとめる問題です。具体的な内容である文章1・文章2の内容全体をふまえて考え、わかりやすくまとめる必要があります。同一の抽象表現が用いられているわけでもなく、それぞれの文章内容を理解し、抽象化して答えをまとめる必要があるため、難度が高い問題と言えるでしょう。共通点は、疑問を持ち続けることや問い続ける姿勢です。疑問を捨てたり安易に納得したりせず、検証を続けていく。そして新たな問いを立てていく。こういった姿勢が二つの文章の筆者に共通しています。
〔問題3〕<本文の内容をふまえて作文を書く問題>
文章1か文章2のいずれかの筆者の研究や学問への向き合い方をふまえたうえで、これからの六年間をどのように過ごしたいか、400字以上440字以内で書く問題です。2018年以降、段落ごとに書くべき内容が指定された形式でしたが、今年度の問題はその指定がなくなり、「内容のまとまりやつながりを考えて段落に分ける」ように指示がありました。本文の内容をふまえたうえで、自らの意見を筋道立てて書けば良いだけですが、近年の形式と異なり、自分で構成を考えて書く必要があったため、ここまでの作文の練習量が出来不出来を左右した問題だったと言えるでしょう。
【大問1】
大問1は昨年同様小問2題の構成で、さまざまな図形について考える問題です。1題を解くのにかかる時間が長く、難易度は昨年と変わらず高い問題でした。
問題1は、指定された素材からカードを作るとき、なるべく素材を無駄にせずに作成する場合どれだけのカードを作れるか、その際の余った素材がどれだけになるか、などを考える問題でした。与えられた素材から、指定されたものをどれだけ作り上げるか、という発想の問題は、過去の都立中の適性検査でも出題されたことがありますが、解法の方向性を自分で考える必要があり、会話文を正確に読み取る力や基礎的な計算力も求められました。また、ただ答えを求めるだけでなく、それを説明する記述力も求められ、限られた時間の中で解き切るのは困難な問題でした。
問題2は、正三角形を6枚組み合わせた形を転がす問題でした。問題用紙の中にある図を用いて実際に書き出す作業を行いながら答えを考える必要があります。条件に合う複数のパターンのうち、(1)は1パターンだけ試せば良いので正解しておきたい問題、複数のパターンを検証する必要があった(2)は、時間内に解き切るのは難度の高い問題と言えます。
【大問2】
大問2も昨年同様、小問2題の構成で、計算問題は出題されていません。また、きっかけとなる話題も昨年の林業に引き続き第1次産業を取り上げています。
問題1は、魚の保存方法と気候を関連づける問題で、問題2は、3つの穀物の栽培に適した気候を考えさせる問題でした。また、問題2では3つの穀物から2つを選んで解答させるという昨年同様の3つの資料から、2つを選んで答えをつくる形式が踏襲されました。問題1・問題2とも、降水量と気温に注目する問題でしたので、思考の方向性を変える必要がなく、出題形式や問われている内容もオーソドックスであり、受検生には取り組みやすい問題でありました。
【大問3】
大問3は石けんと洗剤の汚れの落ち方を調べる実験を題材にした問題です。基本的な知識をもとにして、汚れの程度を観察結果や汚れの粒の数や重さ、加えた洗剤の量をもとにして思考判断し、理解したことがらを適切に表現する力が問われる問題です。実験結果を比べて特徴をつかんだり、数量の変化をとらえて説明したりする内容です。水溶液の濃さの考え方を活用する問題も含まれました。昨年に引き続き、小問2問でしたが各小問は2つの設問からなり、実質4問の構成でした。4問中3問が記述式の解答形式となっており、1題は計算により油汚れを落とすのに必要な洗剤量を求めるものでした。全体的に問題の文章量が多く記述量も多いので、問題内容の把握と答案の作成に時間がかかったと思われます。
【大問1】
大問1は、数の性質を題材にした条件指定通りに作業をして考える問題でした。
〔問題1〕<角度を求める問題>
2種類の三角定規を重ねた図形が示され、重ねることで作られた角度を求める問題です。平易な問題で、必答問題でした。
〔問題2〕<約数・倍数を利用して考える問題>
120㎝の直線定規に条件通りに目盛りをつける作業をします。与えられた条件は、120の約数(1と120以外)で等分する際に目盛りを振る回数が1回になる部分を探します。解答の条件として「3けた」の目盛りを3つ答える問題でした。120の約数が持つ、120以下の倍数で1つしか出てこないものを答える問題です。
〔問題3〕<条件指定通りの作業をして考える問題>
17㎝定規にルールに従って目盛りをつけます。目盛りをつけるルールは①整数であること②2つの目盛りの間の長さがほかの目盛りの間の長さに存在しないことの2つです。条件を守って目盛りをつけ、計ることができない長さが2つの場合を答える問題です。実際に書きだしていく中で答えを見つける、作業型の問題でした。
【大問2】
大問2は、カレンダーを題材に数の規則性を考える力をみる問題でした。
〔問題1〕<暦算>
2月14日が月曜日であり、次に2月14日が月曜日になるのは何年かを答える問題です。うるう年についても考えて、ある日付が同じ曜日になる規則性を利用して考える問題でした。暦算としては平易な問題ですが、解法を言葉で説明せねばならず、理屈を理解している必要があります。
〔問題2〕<ルールに従って作業する問題>
2月のカレンダーにある数値を利用して和が140になるように〇を書き込む問題です。上の数字に〇があることが唯一の条件ですので、その条件を外さないように丁寧に作業することでも正答を求めることができ、カレンダーの並んだ数字の性質から考えることもできる問題でした。
〔問題3〕<1から28の数値を使って分数の計算を完成させる問題>
はじめの分母のみ14と指定されている以外の3つの分数のたし算をして、最後の和も指定された数字の中から選択する必要がある問題でした。試行を繰り返すことで式を完成させることができる問題でしたが、それぞれに入り得る数字が何かを考えて、先に絞り込みをかけられるかどうかが答えにたどり着けるかどうかの分かれ目でした。
適性検査Ⅰ
【出典】
文章1:河合隼雄「『出会い』の不思議」による
文章2:村田沙耶香「となりの脳世界」による
【出題形式】
例年の出題から大きな変更はありません。文章1と文章2を読み、それについての読解問題が2題、作文問題が1題という構成です。作文の文字数も400字以上440字以内という例年通りの指定でした。
問題1は、いわゆる「文章横断型」の問題です。傍線が引かれている文章2において「個性」がどのような意味合いで用いられているかをまずは整理し、そのうえで文章1から適切な箇所を探すという基本動作ができていれば、決して難しい問題ではなかったはずです。正答としては「自分らしい音」「生徒によって違う音」など複数考えられます。読解問題で正答が複数考えられるという出題の方針も例年通りと言えるでしょう。
問題2も文章横断型の問いです。ただし「文章1の表現も用いること」という指示に注意しましょう。「も」ですから、文章1と文章2どちらの表現も使いつつ、解答を作成する必要があるということです。思考方法は問題1と同じで、まずは傍線が引かれている文章2から情報を整理し、解答の大枠を作成します。すると「もっと鳴らそうと欲張ったから」「もっと鳴らそうと力が入ったから」というような内容になるとわかります。それと同じ内容を文章1から読み取ります。最終段落に「『好む』は積極的だが、下手をすると気負いすぎになる。」とあります。もっと鳴らそうと力を入れすぎたことは、文章1における「気負いすぎ」に当てはまるとわかるでしょう。
読解問題は2題とも基本的なレベルの出題でしたので、どちらも正解したいところです。
問題3は文章内容をふまえて作文を書く問題です。
ここ2年の作文問題では、「ひかるさん」という人物と友だちのやりとりを読んだ上で作文を書くという出題でしたが、2021年度はそうしたやりとりはなく、2018年度までと同様の形式での出題となりました。各段落に書くべき内容が細かく指示されていますので、それに従って作文を構成します。
まず、第一段落です。文章2の「お稽古」の場面では、文章1における「知る」「好む」「楽しむ」のどの段階まで表されているかを示す必要があります。問題2がヒントとなります。問題2から、「お稽古」の場面では、もっと鳴らそうと気負いすぎたために「変な音」が出たと考えられます。文章1からは「好む」段階では「気負いすぎ」になるということが読み取れますから、この段階まで表されていると考えるのが自然でしょう。自分の意見は第一段落に書き、上述の「根拠」は第二段落に書きます。
難しかったのは、第三段落ではないでしょうか。第一段落で示したものとは違う段階だと考える人にも、わかってもらえるように説明する必要があります。なおかつ、自分とは意見が違う人たちがどのように考えたのかも想像しなければなりません。難易度も高いうえ、文字数もこの段落に最も多く割く必要があるでしょう。たとえば「知る」の段階でとどまっていると考える人は、どのように考えてそう判断するのでしょうか。「知る」の段階は「主体的」「積極的」ではない受け身の段階のことです。文章2の「お稽古」の場面では、「とにかく素直に、素直に」「身体の全部を先生の言葉に任せるような感覚で」などとあるので、そうしたところから受け身な姿勢であると読み取ることもできます。「たしかに〇〇という部分から、『知る』の段階だと読み取ることもできるかもしれない。しかし△△」というような形で書くと書きやすかったのではないでしょうか。あるいは、「楽しむ」の段階だと考えている人は、どのように考えたのでしょうか。「楽しむ」段階とは、「客体の中に入ってあるいはそれを一体化して安住する」「安らぎ」がある段階だと書かれています。文章2では、たしかに気負いすぎてしまったところはありますが、その手前で一度「とても素直な音」を出すことに成功しています。そのときの音の感覚が、お稽古の後にも「今も身体に残っている」と述べられていますから、「客体」と「一体化」したと読み取ることもできるでしょう。そうした部分を根拠にとれば、「楽しむ」という段階まで表れていると考える人もいるかもしれません。
さて、ここまで読み解いてみると、どの段階を選ぶにしても、ある程度根拠を持って書くことができるかと思います。したがって、第一段落では三つのうちどの段階を選んでもよく、それについて予想される反論を第三段落で述べ、さらにそれについての反論を展開できていれば点数がもらえる作文問題だったのではないでしょうか。
適性検査Ⅱも含め「客観的に採点が可能で、かつ答えが一通りにはしぼられない」という出題の傾向が2021年度も色濃く残ったと言えるのではないでしょうか。
【大問1】
大問1は、倍数・約数の決まりを使い、整数の成り立ちについて考えさせる問題でした。
問題1は、規則的に並んでいる整数の和を工夫して求める問題でした。九九の表の中から、ある決まった和になる範囲を見つける問題です。6つの数をそれぞれA~Fの記号に変え、その記号を使って解法を説明しなければなりません。ただ答えを求めるだけでなく、その求める過程を分かりやすく説明することが大切です。適性検査の問題を解きなれている生徒にとっては、それほど難しい作業ではないと言えるでしょう。
問題2は、かけ算の式に必要な数を、サイコロの面に当てはめる問題でした。九九の表の中にある数を、かけ算の式で表し、さらにそれらをサイコロの面に書く問題です。1~7までの数を式に必要なだけ取り出せるように、6つのサイコロに分けて書かなければなりません。また、その数を書くときの向きも正しくする必要があります。立方体についてたくさん練習してきたかが問われたと言えるでしょう。
【大問2】
大問2は、木材(林業)をテーマにした問題でした。林業に関するさまざまな資料から、林業が抱えている問題点と解決策について、自分なりの考察を加えていく問題でした。会話や資料から読み取ったことに基づき、自らの考えをわかりやすく伝える能力が試されました。2021年度は、例年と異なり小問が3題から2題になっていました。そのため、大問2にかける時間も例年より短くなったと思われます。
問題1は、資料を読み取り、記述する力をみる問題です。与えられた資料(図2)から、今後持続的に木材を利用する上での課題を読み取り記述する問題でした。ただし、「会話文や図1の人工林の林齢と成長に着目し」との条件がついていましたので、読み取る方向性は1つにしぼられます。
問題2は、複数の資料の関連性を考え記述する力をみる問題でした。与えられた3つの資料から2つを選び、それぞれの資料がどのような立場の(人々)の取り組みで、その2つの取り組みが「間ばつ材利用の促進」にどのように関連しているかを説明する問題でした。2つの資料の選び方によって、解答の作成のしやすさが分かれる問題でした。
【大問3】
大問3は、磁石の性質を題材にした問題です。実験を通じて、さまざまな条件下での結果を考察する問題でした。問題1は、磁石の性質を利用し、磁石のついた鉛筆を鉄板の上に置いてある磁石の上で浮くかを例の図から考察する問題でした。
問題2は、すでに行った実験とおもりをつり下げることができる最大の重さと、1辺3cm以下の正方形ではシートの面積に比例することから、つり下げられる重さとおもりの個数を考察する問題でした。2021年度は問題3がなくなり小問が1題減りました。
両国高附属中の独自作成問題です。例年通り大問2題、小問5題の構成でした。
【大問1】
大問1は、1辺が9cmの正方形をいくつかの正方形に分ける、という題材の問題でした。
問題1は、正方形を分けるときに書き加えた線の長さの合計について、図2と図3のうち、どちらがどれだけ長いのかを答える問題でした。
問題2は、正方形の数の合計が10個、12個となるような分け方をそれぞれ答える問題で、2020年度の大問2のような、条件を満たせば多数の解が考えられる問題でした。
問題3は、1目盛りが1cmの方眼紙に3個の正方形を書いたときに、その3個の正方形の面積の合計が81㎠になるような正方形を1組見つけ、その正方形の1辺の長さを答える問題でした。
【大問2】
大問2は「温度計」を題材として問題が出題されました。
問題1は、水の温度が4℃から9℃に上がったときに、水の体積がどれだけ増えたかを式を書いて求める問題で、実質、図に表された円柱の体積を求める問題でした。一方、問題2はグラフを見て、灯油と比べて水が温度計に用いられる液体として、ふさわしくない理由を答える問題で、理科の問題が2年ぶりに出題されました。
【出典】
文章1:三浦しをん「愛なき世界」による
文章2:日高敏隆「世界を、こんなふうに見てごらん」による
【出題形式】
例年通り、二つの文章が与えられたうえで問題1、問題2の読解問題と問題3の作文問題を解く形式です。都立中の出題としては珍しく、文章1が物語文の引用です。これに驚いた受検生も多かったかと思われますが、論説文、随筆文と同様に文章を通じて伝えたいことが明快に書かれているものでした。
問題1は物語の中で「藤丸」「藤丸さん」と同一人物に対して呼び方が書き分けられている理由を問うものでした。文章を通じて登場人物を客観的に「本村」「藤丸」と書いていますが、傍線㋑は「それにしても、藤丸さんはすごい。と本村は思った」という表現から「本村」の内面の声が書かれていることがわかっていれば難しくない問いでした。落ち着いて、確実に得点したい問題です。
問題2は昨年度の出題と同様、文章横断型の読解問題でした。つまり、文章2中の傍線㋒「いろんないきものの生き方をたくさん勉強するといいと思う」について、筆者がそう思う理由が問われていますが、その際に文章1の表現を用いるように指示があります。気を付けたいのは、「筆者がそう思うのは」といった場合の「筆者」とはあくまでも文章2の筆者であるということです。ですから、一度文章2において答えを考えたうえで、同じ内容を文章1から探すというステップをふまなくてはなりません。その発想があると、文章2の傍線㋒の直後「そうすることで、不思議に広く深く、静かなものの見方ができる」を言い換えた内容を文章1から探せばよいのだとわかります。
問題3は作文問題です。昨年度は「ひかるさん」と「友だち」のやりとりを読んだあとに「ひかるさん」になりきって作文を書くというスタイルでした。今回も同様に「ひかるさん」と「かおるさん」のやりとりがあります。ただ、そのやりとりを読んだうえで「あなたの考え」が求められているところは昨年度と異なるところであり、いわば「オーソドックスな作文問題」だったと言えるでしょう。例年の共同作成問題と同様に、段落ごとにどういった内容を書くべきかの指定があります。その指示に確実に従い、かつ文章内容をふまえつつ第二段落、第三段落で自分の意見を展開するという問題です。
【大問1】
大問1は割り算の余りに注意しながら、約束・ルールに従って作業する問題です。
問題1は縦50cm横40cmの画用紙6枚を、縦2m横1.4mのパネルに規則的に貼るときの、はしと画用紙、画用紙と画用紙の間の長さを答える問題です。
問題2は横向きの画用紙38枚と縦向きの画用紙21枚をパネルの両面に約束通りに貼ったときに必要なパネルの枚数を答える問題です。
問題3は正八面体の辺上をさいころの目と〔ルール〕に従って進み、ゲームが終わったときの点数を答えさせたり、ある得点になったときの目の出方を答えさせたりする問題です。
特別な解法や知識は必要ありませんが、問題をよく読み、決まりに従えるかがポイントになります。
【大問2】
大問2は、乗合バスに関する資料から、自分の考えを書く問題でした。解答はひとつに限られず、自分の考えが論理的に説明できているかが問われました。
問題1は、乗合バスの合計台数の移り変わりや乗合バスが1年間に実際に走行したきょりの移り変わりを、乗バスに関する主な出来事と関連付けて自分の考えを書く問題でした。
問題2は、ノンステップバスの設計の工夫にはどのような役割が期待されているのか、自分の考えを書く問題でした。
問題3は、「バス優先」の車線や「公共車両優先システム」の課題について、資料をもとに自分の考えを書く問題でした。
【大問3】
大問3は、車の模型を動かす実験を通じて、さまざまな条件下での結果を考察する問題でした。会話文をよく読み論理的に考察する力が問われました。
問題1は、プロペラとモーターとかん電池を組み合わせた車の模型の重さについて、プロペラを回す前後の重さをそれぞれ計算する問題でした。
問題2は、モーターの重さやプロペラの長さの組み合わせによって、車の模型の速さがどのように変化するかを実験結果から考察する問題でした。
問題3は、ほを立てた車に角度を変えて風を当て、車の動きに関して考察する問題でした。
独自作成問題です。例年通り大問2題、小問5題の構成でした。
大問1の問題1は、両国高附属中で毎年出される「式を書いて計算する問題」で、今年度は地球と火星のきょりが違うとき、地球を出た光が火星に届くまでの時間には何秒の差があるのかを求める問題でした。問題2は、「メートル」で表されているソフトボール投げの記録を、「ヤード・フィート・インチ」という単位を用いて表す、いわゆる単位換算の問題でした。問題3は、商店街の中にある12のお店の名前と、場所がかいてある図があげられ、それについて会話している4人の話を読み取ったうえで、12のお店の位置をすべてつかむには、どのような情報が不足していると考えられるかを、解答らんに合うように答える問題でした。
大問2は、今年度も「ルールを読み取ってその通りに手を動かす」問題が出題されました。問題1・問題2ともに、「16個の点をすべて1回ずつ通ってつないだ時に、ななめに移動した回数を得点とする」というルールに基づいて解く問題です。問題1は、得点が6点となる移動の仕方のなかで、できあがる形が線対称であるが点対称でない形になるものか、点対称であるが線対称でない形になるもののどちらか1つを答える問題でした。問題2は、得点が8点、10点、12点となる移動の仕方を1つずつ答える問題でした。
出典:
文章1 関野吉晴「嵐の大地 パタゴニア グレートジャーニー 人類5万キロの旅①」
文章2 齋藤孝「スラムダンクな友情論」
出題形式:例年と同じく2つの文章を読んで問題に答える形式ですが、例年続いてきた5問構成から4問構成へと変わりました。
内容:文章1は「自分のいるところとは違った環境に身をおくことで、自分自身を発見でき自らを成長させることができる」という要旨です。文章2は「お互いの成長を見逃さないような気持ちで「待つ」友がいるという気持ちが、互いを成長させる」と述べられています。問題1は文章の内容をまとめる問題、問題2・問題3は、文章のことばを使って記述する問題でした。いずれも昨年よりやや難化しました。問題4の作文問題は、成長をテーマに書かれた2つの文章を読んで、自らを「成長」させるためには何が大切だと考えたか、350字以上400字以内で書くという問題でした。条件の指示に従い、第一段落でそれぞれの文章の要点をまとめ、第二段落からは経験をふまえた考えを書くという取り組みやすい問題でした。
大問1はさいころを扱った問題でした。受検生にとってはなじみ深い題材です。
問題1は展開図を書く問題で、実際にさいころの面のスケッチを描くものです。問題2はさいころの目を使って式を立てる問題でしたが、ルールに従うことができれば答えることは簡単です。問題3は鏡に映したさいころについて考える問題です。6の目以外が4個ずつ映ることに気が付けば正解にたどり着ける問題です。
大問2は「日本のくらしと変化」をテーマにした問題で、昨年同様、小問は3問でした。
問題1は距離の違いによる高さの見え方の変化について考察する問題、問題2は東海道新幹線の路線の沿線の都市と人口、または工業地帯の関係性について考察する問題、問題3は割合の計算を行い、その計算結果をグラフに表し、その結果の数値を資料と関連させて考察する問題でした。昨年と同様に基本的な問題ですので、資料を読み取って考察する力と割合計算のスピードと正確性が重要なカギとなりました。
大問3は「花粉や黄砂の測定結果」について考察する問題です。
問題1が「花粉を顕微鏡で観察し、花粉の数を求める」問題で、単位量当たりの計算を必要とします。問題2は黄砂を観測する装置の仕組みの説明から、計測結果を考察する問題です。初めて知る観測装置なので、会話文や図を読み仕組みを理解する力が必要です。問題3は「日本で黄砂が観測される原因と気象状況の関連」について考察し記述する問題です。身近な話題ですが、問題文や資料から観測の方法や分析の仕方を読み取る力が必要な問題でした。
両国高附属中の独自作成問題です。例年通り大問2題、小問5題の構成でした。
大問1は、電車で乗り降りする人数を題材にした問題と展開図を描く問題でした。大問2は、水のBODを題材にして、魚が住めるような水にするにはどうしたらいいか、会話文の誘導に従って計算する問題でした。
出典:
文章1 瀧本哲史「ミライの授業」による
文章2 斉藤淳「10歳から身につく問い、考え、表現する力 ぼくがイェール大で学び、教えたいこと」による
出題形式:出題形式に変更はありません。例年と同じく2つの文章を読んで問題に答える形式です。問題5まであり、文章読解の問題が4問、最後の1問が作文問題です。
内容:文章1は「世間で常識とされていることを疑い、課題発見する力が求められている」という要旨です。文章2は「どんな些細なことであっても体験の価値は貴重である」と述べられています。問5の作文問題は、文章1で述べられている「馬車」について、「いまの日本にはどのような馬車があるか」、またその「馬車」の問題を課題発見的に解決するためにはどうすればよいか、筆者が述べている「課題解決」や「課題発見」ということばの意味をふまえて350字以上400字以内で書くという問題でした。昨年までとは異なり、「今までやってきたこととこれからやりたいことの具体例を書く」という条件はありませんでしたが、難易度はほぼ変わらないと言えるでしょう。
大問3つの構成でした。大問1は「図形」がテーマで、立体の見方・対称性・規則性を見つける問題です。簡単な例を具体的に書き出して、作業をする中で解答を導き出していけるとよいでしょう。特に問題1は必ず得点したいところですが、同じ大きさの正三角形を答えるというようなミスは禁物です。問題2は、Aグループの枚数が(3の倍数+1)、Bグループが(3の倍数)になっていることに注目し、その差の1は3本の対角線の交点がある「き」の三角形であることに気が付ければスピーディーに解答にたどりつけます。問題3は問題文の誘導に従って規則性を検証する問題です。
大問2は「野菜の栽培と流通」をテーマにした問題でした。昨年同様、小問は3題でしたが、「資料を分析・考察し、記述する問題」と「割合を計算する問題」が出題され、一昨年と似た傾向でした。資料を読み取って考察する力と割合計算のスピードと正確性が勝負の鍵でした。
大問3は「時間を計ることを題材にした理科実験」を考察する問題です。問題1が「太陽、ふり子、ろうそく」のいずれかの法則から時間が計れる理由を記述する問題で、教科書範囲の知識が必要とされました。問題2は実験結果を考察し、比例の関係を導く問題でした。問題3は対照実験について考察する問題でした。いずれも、決して目新しいものではなく、あわてずに考えれば正解にたどり着ける問題です。
両国高附属中の独自作成問題です。例年通り、大問2つ、小問5つの構成でした。大問1は選挙の「ドント方式」を題材にした問題と、「推理」の問題でした。大問2は「障害物リレー」を題材にして、普通に走る時間と縄跳びしながら走る時間を考え距離の差や最短時間で走るルートを考える問題でした。ここ数年に比べると、難度が高くなりました。
出典:
文章1 内田義彦「生きること 学ぶこと」による
文章2 篠田桃紅「百歳の力」による
出題形式:出題形式に変更はありません。例年と同じく2つの文章を読んで問題に答える形式です。問題5まであり、文章読解の問題が4問、最後の1問が作文問題です。
内容:文章1は「日常見聞きする現実にも、対象をよく観察する『学問の眼』を生かすことが重要だ」という要旨です。文章2は富士山を例にとり「富士山は毎日見るたびにちがう美しさがあり、そこには『火も水も上も下も右も左も一切がある』」とやや比喩的・象徴的な表現で述べられます。問5の作文問題が「ものの見方」について350字以上400字以内で書くという条件であることから、二つの文章における「ものの見方」にしぼって読解し、まとめる必要があるということがわかります。出題形式は昨年とほとんど同じでしたが、本文の内容については「筆者の考えをまとめること」という指定があったため、練習をつんだ受検生にとっては、より構成しやすくなったといえるでしょう。
大問3つの構成でした。大問1は「渋滞」を題材にした作業中心の問題で、ルールと条件に従い作業を行えば平易に解答を導き出すことができました。必ず得点しなければならない問題です。
大問2は「資料の読み取り」の問題でした。小問は3つあり、そのうちの1つが「歴史」をテーマとした問題だったため、驚いた受検生も多かったのではないでしょうか。今回の大問2では、3つの小問を通して「資料内容を正確に読み取る」「関連のある事柄を探す」「条件に沿って考える」という力が試されています。取り組む問題を選び、解きやすい問題を確実に得点することが高得点のカギとなりました。
大問3は「アゲハチョウの幼虫のからだのしくみと蛹化する環境についての実験」を考察するものです。資料から幼虫の体のしくみを考える問題が1問、実験結果から結論を導き説明する問題が2問の、小問3題で構成されています。
大問2つ、小問5つの構成でした。大問1は「割合計算」「新聞のページ数の問題」「パズル問題」で、どれも丁寧に取り組めば解ける問題です。大問2は「空気の性質の問題」と「集まりを考える問題」でした。知識を必要とする問題ですが、難しく考え過ぎなければすんなり解くことができます。特に、〔問題2〕に関しては一見切り口が見つけにくいのですが、会話文中にある「さっきと同じように考えれば分かるはず」というヒントに従えばすぐに答えにたどりつきます。
出典:
文章1 茂木健一郎「茂木健一郎の脳がときめく言葉の魔法」による
文章2 小川仁志「絶対に幸せになれるたった10の条件」による
出題形式:例年と同じく2つの文章を読んで問題に答える形式です。昨年と同様、問題5まであり、文章読解の問題が4問、最後の1問が作文問題です。
内容:文章1の要旨は「夢のために努力すること、そして、それを振り返ったときの満足度が幸せの条件である」が要旨です。文章2の要旨は、「探究心と熱中からなる好奇心にかられた行動がその人自身を、さらに周囲の人も幸せにする」です。どちらの文章も大変平易で、問題5の作文テーマ「あなたの人生を幸福にするために、どのようなことをしていきたいと考えましたか」につながる内容です。問題1から問題4は、理由の記述や共通点を書かせる等、昨年より取り組みやすいものでした。問題5は、例年と同様の350字以上400字以内の作文で、比較的書きやすいテーマと言えます。
大問3つの構成でした。大問1は「うるう年」を題材にした計算中心の問題でした。うるう年の計算法がきちんと説明されていたので、受検生は得点しやすかったはずです。
大問2は会話文形式で、図が5つに表が1つ小問3つで5ページというボリュームのある問題構成でした。話題自体は東京オリンピックをテーマに展開しますが、各小問はそれぞれ人口推移と世代別割合、物価の変化、地図の読み方に関する問題でした。どの問題も資料を読み取れば得点できる問題でしたが、計算・解答では条件があり、それぞれの設問で細かい条件が多く提示されているので、条件を丁寧に確認して答える必要があります。
大問3は「発泡スチロールでできた立体を水中に沈め浮力により水面上へ打ち出す実験」について考察するものです。小問3題で構成されています。
大問2つの構成でした。大問1は「チョウ」に関する問題でした。基礎的な計算問題と、対照実験を考える問題でした。
大問2は「速さ」と「組み合わせ」の問題でした。基本的な速さの計算問題と、ルールに合うような組み合わせを考える問題です。全体を通して、難易度は低いと言えます。
適性Ⅲでは大きな差がつくことはないでしょう。
例年通り、大問4題で、小問の合計は12題という構成です。大問1は、富士山を題材に、気温と高度の関係を、資料を使って考えさせる問題です。気温と温度の読み取りができ、表の作成ができなければなりません。大問2は、1枚の紙にできるだけ多くの円を書いていく方法を考えさせる問題です。計算力と、発想の切り替えが要求されています。大問3は図形の問題ですが、図形の宿題を電話で伝えるという内容のため、国語の表現力が要求されています。図形の基本的な用語と、正確に伝えるための表現力が必要です。大問4は、6種類の硬貨の重さと枚数から、それぞれの枚数を出させる問題です。また、ものを工夫して計るといった、理科的な発想力を問う問題も出されました。
全体的に難易度は標準的ですが、よく練られた問題となっています。大問2~4の最後の問3が、難解で、時間を取られます。時間配分に注意が必要です。全体としては、数理処理力と、分析力・思考力・表現力を問う出題となっています。
出典:
文章A 田中修「植物のあっぱれな生き方」より
文章B 立川昭二「『気』の日本人」より
出題形式:例年と同じく2つの文章を読む問題形式です。今年度は、問題5まであり、文章読解の問題が4問、最後の1問がいわゆる作文問題となっています。
内容:文章Aは「仲間との共存共栄」、文章Bは「気を合わせるための方法」がテーマですが、どちらも問題5の作文テーマ「周りの人とよりよい関係を築く」につながる共通した文章と言えます。文章はどちらも平易な文章でした。問題1から問題3は部分要約の問題ですが、字数指定のあるものはどこを削ればよいか迷うところがあります。注意が必要です。問題4は本文の正しい読解が必要で、やや難解な問題と言えます。問題5は例年と同様の350字以上400字以内の作文で、テーマとしては何度も練習しているので、取り組みやすい問題と言えます。
昨年までの質の高い難解なものから、今年は標準的なレベルの問題となりました。そのため、ボーダーラインは、やや上昇が予測されます。適性検査Ⅰは、確実に取らなければならない問題と、後に回すべき問題とがはっきりしています。設問の問1は確実に得点し、問2・問3でどれだけとれたかが、合否を分けるでしょう。また、作文は傾向が昨年と若干ことなるものの、比較的書きやすいものでしたので、こちらも上昇が予測されます。適性検査Ⅰが【45%~55%】、適性検査Ⅱ(作文)が【65%~75%】で、合計が【60%を超える程度】がボーダーラインの予想です。
例年通り、大問4題で、小問の合計は12題という構成です。大問1は、富士山を題材に、気温と高度の関係を、資料を使って考えさせる問題です。気温と温度の読み取りができ、表の作成ができなければなりません。大問2は、1枚の紙にできるだけ多くの円を書いていく方法を考えさせる問題です。計算力と、発想の切り替えが要求されています。大問3は図形の問題ですが、図形の宿題を電話で伝えるという内容のため、国語の表現力が要求されています。図形の基本的な用語と、正確に伝えるための表現力が必要です。大問4は、6種類の硬貨の重さと枚数から、それぞれの枚数を出させる問題です。また、ものを工夫して計るといった、理科的な発想力を問う問題も出されました。
全体的に難易度は標準的ですが、よく練られた問題となっています。大問2~4の最後の問3が、難解で、時間を取られます。時間配分に注意が必要です。全体としては、数理処理力と、分析力・思考力・表現力を問う出題となっています。
出典:
文章A 田中修「植物のあっぱれな生き方」より
文章B 立川昭二「『気』の日本人」より
出題形式:例年と同じく2つの文章を読む問題形式です。今年度は、問題5まであり、文章読解の問題が4問、最後の1問がいわゆる作文問題となっています。
内容:文章Aは「仲間との共存共栄」、文章Bは「気を合わせるための方法」がテーマですが、どちらも問題5の作文テーマ「周りの人とよりよい関係を築く」につながる共通した文章と言えます。文章はどちらも平易な文章でした。問題1から問題3は部分要約の問題ですが、字数指定のあるものはどこを削ればよいか迷うところがあります。注意が必要です。問題4は本文の正しい読解が必要で、やや難解な問題と言えます。問題5は例年と同様の350字以上400字以内の作文で、テーマとしては何度も練習しているので、取り組みやすい問題と言えます。
昨年までの質の高い難解なものから、今年は標準的なレベルの問題となりました。そのため、ボーダーラインは、やや上昇が予測されます。適性検査Ⅰは、確実に取らなければならない問題と、後に回すべき問題とがはっきりしています。設問の問1は確実に得点し、問2・問3でどれだけとれたかが、合否を分けるでしょう。また、作文は傾向が昨年と若干ことなるものの、比較的書きやすいものでしたので、こちらも上昇が予測されます。適性検査Ⅰが【45%~55%】、適性検査Ⅱ(作文)が【65%~75%】で、合計が【60%を超える程度】がボーダーラインの予想です。
例年と同じ大問が4つの構成です。
事前の学校説明会の情報通り理系を中心に難問が数多く出題されており、難易度は大きく上がった出題となりました。
大問1の前半を除いては、どの小問も筋道立った思考能力を要する難しい問題だったといえます。分量と難易度を考慮すると、全ての問題を解ききることは非常に難しい出題です。そのため、自分の得意不得意に応じて問題を取捨選択することが求められました。
大問1は、運動会での青組、赤組、黄組の順位に関する出題でした。条件を正しく読み取り、整理すれば問題1~3は正答できます。問題4は、極めて難しい出題だったといえます。
大問2は、昨年の白鷗中にも出題されていた干支についての問題でした。十干十二支がどういったものであるのか、試験時間内に読み取る必要があり、さらにその先の問題を解くとなると、手の出ない受検生が大半だったことでしょう。
大問3や大問4の記述問題は、資料の読み取りの問題であり、資料から外れたことを書かなければある程度の得点は期待できます。
したがって、大問1や大問2の難易度の高い問題を後回しにして、大問3や4で納得のいく解答を作れたかが一つのカギになります。
出典:文章A モーニング編集部+門倉紫麻「We are宇宙兄弟B 宇宙飛行士の底力」より
文章B モーニング編集部+門倉紫麻「We are宇宙兄弟 宇宙を舞台に活躍する人たち」より
例年と同じ2つの文章を読んでの出題です。どちらも「リーダーのあり方」についての文章で例年よりは平易な文章といえるでしょう。
問題1では傍線部の前問題2では傍線部の後ろをまとめておけば、手堅く得点できます。
問題3は2つの条件を満たしながらの作文です。
「リーダーのあるべき姿」についてどのように考えたか、適切な体験を交えて作文に取り組みたいところです。
いずれにしても時間をうまく配分できれば書きやすい問題でした。
適性Ⅰは問題の取捨選択・時間配分が合否に大きく影響を与えそうです。
できる問題から手をつけて50%、適性Ⅱは問題1・問題2で確実に得点をして70%~75%程度がボーダーラインと思われます。
今年度は、大問が4題、小問が合計11題の構成で昨年より小問が2題多くなりました。出題のねらいは、大問1は与えられた図や文章を基にして、思考・判断する力や自分の考えを表現する力、大問2は算数系で、数のパズルを題材とし、論理的に考え表現する力や条件を整理し能率的に処理する力をみる問題でした。
また、大問3は理系で、公園の池に生える植物を題材とし、科学的な洞察力や数的な処理能力を基に判断する力、大問4は算数系で、小中学生の寝る時刻と起きる時刻を題材とし、与えられた資料を読み取り、分析する力や論理的に考え計算する力をみる問題と、昨年度とほぼ同じでした。大問2と大問4の算数系問題の得点の差が、合否の差になったと思われます。
「文章を読み取り、それに対して自分の考えを分かりやすく文章にまとめ、効果的に他者へ伝える力をみる。」という基本方針のもと、「文章を読み取る力や自分の意見を文章で分かりやすく表現する力をみる。」ための出題となっています。
今年度の問題は、文章が2題、それに対する小問が3問でした。昨年は小問が4問だったこと、記述の字数が少し短くなったことを考えると、今年は昨年より時間に余裕があったかもしれません。設問に関しては、例年出題されていた、文章Aと文章Bの共通部分を見つけ出す問題がなくなりました。昨年のように、俳句を作るといった、受検生が戸惑うような問題もありません。
全体としては昨年度の問題形式を踏襲した出題となっています。しかし、それぞれの設問をふまえると、よりオーソドックスな問題になったという印象が強いです。