適性検査分析

東京都立
桜修館中等教育学校

基本情報

桜修館中等教育学校 外観

学校紹介

都立大学附属高校を設置母体として平成18年に中等教育学校として開校。前身の府立高等学校は昭和4年創立

住 所

目黒区八雲1丁目1番2号

電話番号

03-3723-9966

アクセスマップ

過去の入試データ

募集人員

年度 2020 2021 2022 2023 2024
80 80 80 80 80
80 80 80 80 80
160 160 160 160 160

応募者数

年度 2020 2021 2022 2023 2024
389 413 334 357 288
568 572 493 507 417
957 985 827 864 705

受検者数

年度 2020 2021 2022 2023 2024
375 392 318 340 279
541 538 452 469 389
916 930 770 809 668

合格者数

年度 2020 2021 2022 2023 2024
80 80 80 80 80
80 80 80 80 80
160 160 160 160 160

実質倍率

年度 2020 2021 2022 2023 2024
4.69 4.9 3.98 4.25 3.49
6.76 6.73 5.65 5.86 4.86
5.73 5.81 4.81 5.06 4.18

適性検査分析

適性検査Ⅰ

【出典】
文章A 長田 弘「読書からはじまる」より
文章B ドミニク・チェン「未来をつくる言葉わかりあえなさをつなぐために」

【出題形式】
問題の形式は前年度までと同様、文章が二つあり、それぞれから読み取る問題2題と、400字以上、500字以内で書く作文問題1題の構成でした。
字数は文章A、Bともに30行程度で昨年よりは若干短くなっています。なお文章Aは正月特訓で扱った文章でした。

〔問題1〕文章の内容を指定された形式に合うように説明する記述問題
昨年までの「具体例をあげて説明する問題」から「指定された形式に合うように記述する問題」に 変わりました。
文章Aの「人は言葉でできている」ことを文章Aの内容をふまえて「人は言葉ででき ているとは「    」ということ」の「  」にあてはまることを四十五字以上六十字以内で答える問題です。非常に難しかったと思います。文章Aの冒頭の段落の「まず言葉があって、自分があって、そして人がいる」をふまえ、上段最後の段落から始まる「毎日の経験を通して覚えた言葉を覚える、他者とのつながりのなかの会話として言葉を使う。自分を人間として確立する。」という因果関係をきちんと説明する必要があります。

〔問題2〕文章の内容を指定された形式に合うように説明する記述問題
問題1と同様に「  」を埋める形で文章Bの「翻訳とはどのようなことか」を説明する問題です。
問題1よりは平易でした。「翻訳とはある国の言葉や文を、ほかの国の言葉や文に単純にかえることではなく「        」の「  」を六十字以上七十字以内で答える問題です。冒頭の段落から第四段落までを読み、特に第三段落の「自分の体験を通じて感じたことを相手の知っている言葉に「翻訳」して話している」、第四段落の「わかりあえなさをつなぐために」が答えをつくるうえで大切なポイントになります。

〔問題3〕それぞれの文章の内容をふまえて作文を書く問題
二つの文章を読み、言葉を学ぶことはどのようなものだと考えたか、また、今後の学校生活においてどのように「言葉」に向き合い、他者と関わりあいたいかを、それぞれの文章の内容をふまえて400字以上500字以内で書きます。文章Aは問題1で考えたように「言葉を覚えることによって人間になっていき、その言葉を使って他者とのつながりのなかに自分を確立する」が主旨です。文章Bは、筆者がが学んできたあまたの言語は「自分や他者の感覚を表現し、相互の伝えようとする「翻訳」の技法」であり、「過去の無数の人々が発見し、試行錯誤してきた」知識と経験を「お互いのわかりあえなさをつなぐために」つたえたい、が趣旨です。したがってこの文章をふまえて「言葉を学ぶとはいろいろな人が長い時間をかけてつむいできた言葉を、その背景もふまえて理解しようとする」ことであり、「わかりあえない」こともあるけれど、「人間の社会が新しい言語を獲得するために通過する必要なステップ」だと考えて理解していこうとする、という方向性が望ましいでしょう。

適性検査Ⅱ

【大問1】百人一首を使った競技かるたの総当たり戦を題材とし、与えられた条件をもとに計算・整理して考える問題
前年度同様、小問3題の構成です。

〔問題1〕決められた面積の教室の中で、たたみを敷けるスペースとたたみ6枚分の広さを比較する問題でした。面積を求める際に単位換算が必要で、正確に面積を計算し、比較することを順序だてて説明する力が問われていました。
〔問題2〕6枚のたたみの敷き方を考える問題でした。定められた3つの条件をすべて満たす敷き方を考える必要がありましたが、枚数が6枚で決められていたため、しっかりと手を動かすことが重要でした。似た問題を解いたことがある受検生も多かったと思われます。
〔問題3〕競技かるたの総当たり戦の組み合わせを考え、「残り札数」の集計表を完成させる問題でした。情報量は多かったですが、考えられるもののうちの一つを答える問題でしたので、会話文の条件に当てはまる組み合わせを探すことができれば正解にたどり着くことができたのではないかと思います。

【大問2】公共交通機関の利用について考える問題

令和3年度から引き続き小問2題の構成で、計算問題は出題されていません。大問全体の話題は、令和3年度から令和5年度までは3年連続で日本の産業を題材にした内容だったのに対し、今年度は令和2年度と同様に公共交通機関を題材にした内容となっていました。
〔問題1〕公共交通機関の利用割合が偏っている理由を、所要時間と料金の観点から考察する問題です。解答に用いる資料を受検生に選択させる形式は、5年連続の出題となりました。出題者側が想定している解答の分かりやすい、平易な問題でした。
〔問題2〕「ふれあいタクシー」を導入することになった理由と、その効果について考えられることを、複数資料を組み合わせながら説明する問題です。ひとつの問題で解答すべき内容が複数ある形式は、4年連続の出題となりました。参考にしなければならない資料は多いものの、こちらも解答の方向性が明快で、平易でした。
会話文や資料が過年度の適性検査問題と比較しても標準的な内容であるため、2問とも難易度は高くありません。解答の根拠になる部分を会話文や資料から適切に読み取ったうえで、問われていることに対しての答えをわかりやすく表現する力をみられる問題でした。

【大問3】「まさつ」について調べる実験を題材にした問題

ここ3年連続していた、小問が2問あり、それぞれに設問が2つある実質4問の問題構成から一変、小問が2問、設問も1つずつの実質2問構成となり、問題量が大幅に減りました。2問とも記述の要素を含みますが、分量がそれほど多くもないため、単純に負担が減ったと考えられます。実験結果の考察が中心で、計算が必要な問題はありませんでした。
〔問題1〕ペットボトルのキャップにつけられたみぞのまさつによる効果を、モデル化した実験で確かめる問題です。実験の内容そのものは結果も素直で分かりやすいものではありますが、問題で問われている内容を過不足なく盛り込んで完全な解答を書く観点を持たずに、ぱっと解答をしてしまうと、要素が不足して減点となりうる、問題文の読解力で点数の分かれる問題でした。
〔問題2〕斜面をすべり下りる物体の摩擦力が、接地面の素材にどのような影響を受けるかを、実験から明らかにする問題です。複数の条件が設定されているので、対照実験の考えを使うことが必要になりました。実験の内容そのものは比較的分かりやすいものであったため、対照実験の仕組みの理解とそれを言語化できるかどうかが得点の肝でした。

適性検査Ⅰ

【出典】
文章A 森博嗣「面白いとは何か?面白く生きるには?」による
文章B 西林克彦「知ってるつもり 『問題発見力』を高める『知識システム』の作り方」による

【出題形式】
問題の形式は前年度と同様、文章が2つあり、それぞれから読み取る問題が2題と、400字以上500字以内で書く作文問題1題の構成でしたが、文章量に大きな変化がありました。前年度は、文章A・Bともに20行程度でしたが、今年度は文章Aが20行程度、文章Bが50行程度と大幅に増えました。

〔問題1〕具体例を挙げ、その例を挙げた理由について本文をふまえて説明する記述問題
「『面白さ』の本質はここにある」の「ここ」とは何か、本文で挙げられている具体例以外で考えられる場面を答え、また、それを挙げた理由を、文章A全体をふまえて説明する問題です。「ここ」とは文章Aのテーマである「アウトプット」を指し示していますので、その具体的な場面を書きます。本文中の例示を参考にすれば書きやすかった問題です。その理由については、本文の主旨である「自らやってみるアウトプットこそが、自分の成長が感じられ面白いのだ」という内容に関連させればよいでしょう。

〔問題2〕本文で挙げられている具体例を用いて説明する百字程度の記述問題
「何が何に『関係する』と筆者は述べているか」、本文で挙げられている具体例を用いて百字以内で説明する問題です。前年度でも同様な形式の問題が出題されたので、桜修館らしい問題と言えるでしょう。本問では、知識の質の差が、アウトプットの質の差に関係するということを説明します。具体例としては、割り算という演算について、単に「分けることである」という知識で捉えるのか、「1あたりの値を求める演算」と捉えるのかで、より広い範囲の割り算を了解でき、より広い範囲で割り算を使える、つまりアウトプットすることができるという内容が述べられていました。このような内容をわかりやすく表現できたかどうかです。どんな具体例を用いるのかは明確だったので、日ごろの練習量が正否を左右した問題でしょう。

〔問題3〕それぞれの文章の内容をふまえて作文を書く問題
2つの文章を読み、学校という場では、どのような学びがあると考えたか、また、今後の学校生活において、どのように学びに向き合いたいか、それぞれの文章の内容をふまえて400字以上500字以内で自分の考えをまとめて書きます。文章Aは、「アウトプットは面白く、自分の成長を早められる」、文章Bは、「アウトプットにはその材料となる知識の質が重要」という主旨です。したがって、学校というのは、知識を学ぶ場でもあるが、学んだ知識を自らやってみることで成長できる場でもある。また、どのように学ぶかで知識の質に差が出る場でもある。したがって、今後の学校生活では、より貪欲に深く知識を学び、学んだものを自分なりにアウトプットして成長につなげていきたい、という方向性が望まれます。ただ、このような抽象的な内容に終始するのではなく、具体例や体験も交えてわかりやすく書けたかどうかが大切です。段落同士の結び付け方が難しい問題でしたが、「学び」に関するテーマの作文は日曜特訓や合宿等でも触れており、しっかり書き直しや復習に取り組んできた生徒であれば立ち向かえた問題だったと思われます。

適性検査Ⅱ

【大問1】公園での体験活動を題材とした、スケジュール・規則性・水量を求める問題
前年度同様、小問3題の構成です。

〔問題1〕は適性検査としては頻出の予定を立てる問題でした。時間、料金といった定番の条件だけでなく、料金の割引や特典など考慮する情報が多かったので、それらを読み落とさないかが重要でした。
〔問題2〕はふん水を題材とした公倍数を利用する問題で、こちらも出題内容としては頻出のものでした。
〔問題3〕は〔問題2〕を発展させたような内容で、グラフ上の図を使って答えを出す問題でした。作業に時間がかかるため、この一題は最後まで解き切れなかった受検生も少なくないでしょう。

【大問2】日本の産業構造の変化をテーマにした問題
前年度、前々年度と同様に小問2題の構成で、計算問題は出題されていません。大問全体の話題も引き続き日本の産業について考える内容でしたが、前年度、前々年度は第1次産業を中心とした内容だったのに対し、今年度は日本の産業構造全体に関連する内容となっていました。

〔問題1〕は、3つの年代における産業別の就業者数と就業者数の最も多い年齢層の変化を読み取る問題です。
〔問題2〕は、6次産業化の利点を、農家の人たちの立場と農家以外の人たちの立場からそれぞれ考えて説明する問題です。どちらもひとつの問題で答えるべき内容が複数あり、また、資料のどの部分を使用して答えるかを受検生に選択させる形式となっています。会話文や資料自体は過年度の適性検査問題と比較しても特に複雑といえる内容ではないため、読み取りの難易度は高くありません。条件を守りながら問いに対して正確に答える力をみられる問題でした。

【大問3】ものが水滴をはじく様子および水分を吸収する様子を調べる実験を題材にした問題
前年度に引き続き小問は2問でした。各小問に2つの設問があり、実質4問の出題です。実験結果を読み取り、ふさわしい記号を選ぶ問題が1題、実験結果を読み取った分析結果を記述する問題が3題という内訳でした。実験を読み解くうえで必要な数値については会話文中に与えられていたので、計算はあまり必要ありませんでした。前半は植物の葉が水滴をはじく様子を調べる実験が題材となりました。葉の形、葉の面積、水滴の写真、水の量の変化といった実験結果を比べ、水滴が転がりやすい葉と転がりにくい葉のちがいをどのように判断するか記述で答えることが最終的な目的です。転じて後半は衣服が水分を吸収する様子を調べる実験が題材となりました。ポリエステルの布の方が木綿の布に比べて水をより多く吸収する理由を実験結果から考察する問題、シャツから蒸発する水の量を求める方法を説明する問題という構成でした。いずれも実験内容の把握と記述答案の作成に時間がかかったと思われます。

適性検査Ⅰ

【出典】
文章A・文章Bともに本川達雄「生物学的文明論」による

【出題形式】
問題の形式は2021年度と同様、文章が2つあり、それぞれから読み取る問題が2題と、400字以上500字以内で書く作文問題1題の構成でした。文章量も2021年度と大きな変化はなく、どちらも20行程度の文章でした。

〔問題1〕<120字以上140字以内の読解記述問題>
文章Aから筆者の考える「相利共生」とはどのようなことかを本文中の具体例を用いて説明する問題でした。本文中には具体例を用いて「クマノミが、イソギンチャクに安全な住処を提供してもらい、ほかの魚から保護してもらって生きていける」と「イソギンチャクが自分をかじる魚や寄生虫をクマノミに食べてもらう」とあり、「おたがいの存在があることで片方だけでなく、両方が利益を得られる関係」というように具体例とともに抽象化できるとよいでしょう。
〔問題2〕<40字以上50字以内の読解記述問題>
文章Bで「生物多様性が大切です」と筆者が考えている理由を説明する問題でした。生物多様性が大切なのは、「生物多様性が、わたしたち人間をはじめとするさまざまな生物に恵みを与えてくれる生態系を安定させるから」というように書ければよいでしょう。文章も読み取りやすいものであり、解答字数も少ないですから、正解しておきたい問題でした。
〔問題3〕<400字以上500字以内の作文問題>
2つの文章を読んで、①筆者はどのようなことを言おうとしていると考えるか②そのことをふまえてわたしたち人間は生態系の中でどのように生きていくべきだと考えるかを書く問題でした。2021年度との大きな違いは①を第一段落に、②を第二段落以降より後に書くとあらかじめ指定されたことです。筆者は、文章Bで人間をはじめとする生物はさまざまな形で生態系から恵みを得ていること、その根本には生態系を安定させる生物多様性が大切であると述べています。わたしたちは、「人間が恵みを得られるような、自分たちの生活する範囲のせいぜい一〇〇種程度の確保」にしか目をむけないのではなく、ふだん意識しないような地球全体へと視野を広げ、生態系のことを考えていくべきであるといえます。「目に見える相利共生」だけではなく、「目に見えないところではたらく共生関係」を考えていくべきだという方向性で作文を書けるとよいでしょう。

適性検査Ⅱ

【大問1】〈図形を題材にしたルールに沿って思考・分析する問題〉
例年5問~6問であった小問数が今年度は3問となり、大幅に減少しました。各設問までの会話文の文量もそれぞれ2倍程度となりました。文章を素早く読むことはもちろん、多くの情報を理解しながら解き進めることが求められました。それぞれの設問が独立している点、答えが一通りでない問題が出題されている点、難易度についてもおおむね例年通りと言えますが、3問中2問が理由を説明しながら解答する記述問題であったため、想定以上の時間を費やしてしまった受検生が多かったものと思われます。
〔問題1〕〈文字を記号に置きかえる問題〉
文章の指示通りに作業し、作業の前と後で使われる記号の合計数が約9%減少したことを証明する問題です。問題1から記述の出題は初めてでした。47文字から9%減少で考えてしまうとミスリードでした。あくまで、文章で説明されている通りのやり方で行う必要がありました。
〔問題2〕〈条件をふまえて試行する問題〉
問題1と同様に、会話文で記載されている方法通りに計算を進めていき、指定された割合になるように考える問題でした。答えが1つでないパターンの出題は例年通りですが、表や図に示された情報をふまえつつ、丁寧に試行して解答を導く必要がありました。処理自体はそれほど複雑なものではありません。
〔問題3〕〈規則性を用いた問題〉
1段から順に4段までの分配装置を作るのに必要なパイプの数が会話文で示された上で、10段の分配装置を作った場合にどのようになるかを答える問題です。規則性を見つけ、分析・思考する問題でした。問題1や問題2と同様に、会話文で説明されていることに沿って考えることができれば処理自体は難しくありません。この問題も「言葉や計算式を使って説明」する必要がありましたが、解答を導く過程を順序立てて記述することができれば、比較的取り組みやすい問題でした。

【大問2】
大問2も昨年同様、小問2題の構成で、計算問題は出題されていません。また、きっかけとなる話題も昨年の林業に引き続き第1次産業を取り上げています。
問題1は、魚の保存方法と気候を関連づける問題で、問題2は、3つの穀物の栽培に適した気候を考えさせる問題でした。また、問題2では3つの穀物から2つを選んで解答させるという昨年同様の3つの資料から、2つを選んで答えをつくる形式が踏襲されました。問題1・問題2とも、降水量と気温に注目する問題でしたので、思考の方向性を変える必要がなく、出題形式や問われている内容もオーソドックスであり、受検生には取り組みやすい問題でありました。

【大問3】
大問3は石けんと洗剤の汚れの落ち方を調べる実験を題材にした問題です。基本的な知識をもとにして、汚れの程度を観察結果や汚れの粒の数や重さ、加えた洗剤の量をもとにして思考判断し、理解したことがらを適切に表現する力が問われる問題です。実験結果を比べて特徴をつかんだり、数量の変化をとらえて説明したりする内容です。水溶液の濃さの考え方を活用する問題も含まれました。昨年に引き続き、小問2問でしたが各小問は2つの設問からなり、実質4問の構成でした。4問中3問が記述式の解答形式となっており、1題は計算により油汚れを落とすのに必要な洗剤量を求めるものでした。全体的に問題の文章量が多く記述量も多いので、問題内容の把握と答案の作成に時間がかかったと思われます。

適性検査Ⅰ

【出典】
文章A:大野晋「日本語練習帳」による
文章B:金田一秀穂「金田一家、日本語百年のひみつ」による

【出題形式】
問題の形式は2020年度と同様、文章が2つありそれぞれから読み取るものでしたが、文章量が増えました。2020年度がそれぞれ4、5行という短い文章だったのに対し、文章A、Bともに10行~20行となりました。2021年度は文章A、文章B、それぞれから読み取りの問題が一題ずつ、そして両方の文章のテーマとなっていた『言葉』について書く作文でした。2020年度との大きな違いは、文章A、Bともに答えは「自分の言葉で分かりやすく書きましょう。」と指示されていたため、本文の言葉をそのまま書き抜くのではなく、本文をふまえて自分の言葉で説明する力が求められた点です。
問題1は文章読み取り問題でした。文章Aについて「よい言語生活とはどのようなことだと考えるか」を50字以上80字以内で書く問題です。語彙をたくさん持つこと、そしてそのストックした語彙からその文章に最も適した表現を選べることを書けばよいでしょう。
問題2も文章読み取り問題でした。文章Bについて「知的であるための条件とはどのようなことだと考えるか」を50字以上80字以内で書く問題です。「知的であるための条件とはどのようなことか」言葉によって思考を固定化し考えることをやめてしまうのではなく、言葉を柔軟にとらえて新しい発想をできるようにすることと書けばよいでしょう。
問題3は「言葉」についての意見を書く作文問題で、特に条件はありません。文章A、Bからわかることをふまえて書けばよいです。

適性検査Ⅱ

【大問1】
大問1は桜修館中独自作成問題です。例年とは異なり、さまざまな単元からの出題となりましたが問題1~問題5まではどれも易しく、そこまで苦労することなく解き進めることができたと思われます。大問1にかける時間も例年と大きく変わっていないでしょう。
問題1は平面図形の問題、問題2は立方体の性質を用いて考える問題です。問題3は長方形の面積を考え座標に変換する問題、問題4は過不足算でした。問題5は初見のゲームを理解して考える問題でした。問題6はゲームの得点計算をする問題でしたが、場合分けが必要で少し時間がかかる問題でしたので飛ばす判断をすることも一つだったかもしれません。
2021年度は記述問題がないため、確かな計算力と、さまざまな単元をまんべんなく取り組めたかが得点につながったものと思われます。

【大問2】
大問2は、木材(林業)をテーマにした問題でした。林業に関するさまざまな資料から、林業が抱えている問題点と解決策について、自分なりの考察を加えていく問題でした。会話や資料から読み取ったことに基づき、自らの考えをわかりやすく伝える能力が試されました。2021年度は、例年と異なり小問が3題から2題になっていました。そのため、大問2にかける時間も例年より短くなったと思われます。
問題1は、資料を読み取り、記述する力をみる問題です。与えられた資料(図2)から、今後持続的に木材を利用する上での課題を読み取り記述する問題でした。ただし、「会話文や図1の人工林の林齢と成長に着目し」との条件がついていましたので、読み取る方向性は1つにしぼられます。 問題2は、複数の資料の関連性を考え記述する力をみる問題でした。与えられた3つの資料から2つを選び、それぞれの資料がどのような立場の(人々)の取り組みで、その2つの取り組みが「間ばつ材利用の促進」にどのように関連しているかを説明する問題でした。2つの資料の選び方によって、解答の作成のしやすさが分かれる問題でした。

【大問3】
大問3は、磁石の性質を題材にした問題です。実験を通じて、さまざまな条件下での結果を考察する問題でした。問題1は、磁石の性質を利用し、磁石のついた鉛筆を鉄板の上に置いてある磁石の上で浮くかを例の図から考察する問題でした。
問題2は、すでに行った実験とおもりをつり下げることができる最大の重さと、1辺3cm以下の正方形ではシートの面積に比例することから、つり下げられる重さとおもりの個数を考察する問題でした。2021年度は問題3がなくなり小問が1題減りました。

適性検査Ⅰ

【出典】
文章A、文章B:村上陽一郎「あらためて教養とは」による

【出題形式】
問題の形式が、昨年度は作文のほかに共通点と相違点を読み取る問題でしたが、今年度は文章A、文章Bそれぞれから分かることを書く問題にかわりました。解答らん①には文章Aについて「教養とは」という書き出しで100字以内で書く問題、解答らん②には文章Bについて「教養を身につけるとは」という書き出しで140字以内で書く問題となりました。また、解答らん③は昨年度同様に400字以上500字以内で考えたことを書く問題で、内容は「あなたは『自分を造り上げる』ためには何が必要だと考えますか」というものでした。
文章Aは「教養とは何か」すなわち、教養の定義が聞かれていますが、実際には教養を身につけることで得られるものについて書くことになります。教養とは自身の行動や判断のもとになるということを書くと思われます。
文章Bは「教養を身につける」とは何かを書く、教養の身につけ方の方法論を問われる問題でした。一つの考え方に凝り固まるのではなく、臨機応変さが必要ということを書くと思われます。解答らん③は「自分を造り上げる」ために必要なものを書く作文で、これは解答らん②の内容を自分の意見として書けばよいものです。

適性検査Ⅱ

【大問1】
大問1は桜修館中独自作成問題で図形についての問題でした。
問題1は正六角形の性質、問題2は円に線を引き二等辺三角形を作成し、その理由を答える問題でした。問題3は2進法の簡単な問題で、問題4は初見のゲームに関する問題でした。
問題5は一見難しそうですがやってみると簡単な面積を求める問題でした。まず手を動かせたかどうかが鍵になりました。
問題3、問題5は選択して1つを求めればよいので一番簡単なものを選べたかが重要です。
問題2が文章で答える問題だったので他の問題でしっかり得点したい内容でした。

【大問2】
大問2は、乗合バスに関する資料から、自分の考えを書く問題でした。解答はひとつに限られず、自分の考えが論理的に説明できているかが問われました。
問題1は、乗合バスの合計台数の移り変わりや乗合バスが1年間に実際に走行したきょりの移り変わりを、乗合バスに関する主な出来事と関連付けて自分の考えを書く問題でした。
問題2は、ノンステップバスの設計の工夫にはどのような役割が期待されているのか、自分の考えを書く問題でした。
問題3は、「バス優先」の車線や「公共車両優先システム」の課題について、資料をもとに自分の考えを書く問題でした。

【大問3】
大問3は、車の模型を動かす実験を通じて、さまざまな条件下での結果を考察する問題でした。会話文をよく読み論理的に考察する力が問われました。
問題1は、プロペラとモーターとかん電池を組み合わせた車の模型の重さについて、プロペラを回す前後の重さをそれぞれ計算する問題でした。
問題2は、モーターの重さやプロペラの長さの組み合わせによって、車の模型の速さがどのように変化するかを実験結果から考察する問題でした。
問題3は、ほを立てた車に角度を変えて風を当て、車の動きに関して考察する問題でした。

適性検査Ⅰ

出典
文章A 和辻哲郎「露伴先生の思い出」
文章B 鷲田清一「わかりやすいはわかりにくい?-臨床哲学講座」

形式
問題の形式が3題に分かれたことが大きな変更点でした。解答らん①は文章A・文章Bの共通点を20字以上40字以内、解答らん②は異なる点を140字以上160字以内で書く問題となりました。また、解答らん③は昨年同様に400字以上500字以内で考えたことを書くものです。解答らん①・②の仕様は、受検生にとって書きやすいものであったと思います。文章Bの作者である鷲田清一氏の文章は、ena第4回都立中合判でも文章を使わせていただきました。

内容
文章A・Bともに、物事はじっくりと考えることが大切であると述べています。しかし、文章Aは答えが「おのずから」わかってくるという点、文章Bは答えを求めて「潜水しつづける」という点が異なっていると思われます。これらの共通点、相違点に気づくことができた受検生は多かったのではないでしょうか。解答らん③は昨年までと同様に自分の考えを書く問題でした。よって、作文の練習をしっかりと行ってきた受検生は対応できたはずです。全体的な難易度としては、昨年よりも易化したと言えるでしょう。

適性検査Ⅱ

大問1は桜修館中の独自作成問題で、「数的処理」に関する問題でした。
お菓子作りを題材に、条件整理、比の計算、面積を計算する問題、展開図について考える問題など、昨年度同様桜修館らしい出題になっています。また難易度にも変化はありません。小問が6問と量が多いため大問2、大問3の時間配分を考えて、素早く正確に計算することと会話文の条件を読み落とさないことが重要です。

大問2の問題1は日本人の出国者数と、日本への外国人の入国者数の移り変わりを表すグラフからわかることを考察する問題でした。
問題2は外国人旅行者が増えている地域の具体的な取り組みを資料から考察する問題です。
問題3は案内図記号の役割を考察する問題で、昨年度と比べて解きやすい問題が多く易化しました。

大問3は「紙の性質」についての問題でした。
問題1が「和紙とその他の紙の吸った水の重さを比較」をする問題で、昨年度と同様に単量当たりの数字を求めて比較します。
問題2は「紙のせんいの向き」を実験結果から推察する問題です。実験結果をどのように判断すれば良いか会話文で説明されていました。
問題3は「のりを作成する最適な水の重さ」について考察する問題です。すでに行った実験の結果から、次に行う実験の結果の仮定を考えて、目的とする水の重さを考察します。いずれも実験結果を読み取る力を必要とする問題でした。

適性検査Ⅰ

出典:
文章A 水を飲んで楽むものあり。錦を衣て憂(うれ)ふるものあり。
文章B 出る月を待つべし。散る花を追ふこと勿(なか)れ。

出典:
井上哲次郎「新訂日本陽明学派の哲学」による
本文は徳川時代の学者、中根東里の言葉です。

出題形式:今年は大きく形式が変わりました。従来は六百字の作文一題でしたが、今回からは解答欄を二つに分け、解答欄①にはそれぞれの文章で学者が伝えたかったことを百六十字~二百字で書き、解答欄②には二つの文章に共通する物事のとらえ方・考え方とそれについての自分の考えを四百字以上五百字以内で書くというものです。また出された文章(言葉)も二つあり、それぞれの内容の読み取りを行った上で共通点を取り出すという形式になりました。
ただ、受検生にとって過去に出題された形式ではなかったものの、従来一文で書かれていたものを二つに分けるという形式になっただけですので、十分対応できるはずです。
それぞれの文章の内容は設問に解説されていますが、文章Bで学者が言いたかったことをとらえるのが難しく、さらにA・B共通点をとらえることに時間がかかった受検生がいたと考えられます。

適性検査Ⅱ

大問1は桜修館中独自作成の問題で、2018年度は「数的処理」に関する問題でした。
小問は4問あり、縮尺や円周率を含む計算問題、条件整理の応用問題、容積に関する問題といった桜修館中らしい出題となっています。例年通り量が多いため、計算力はもちろん、解ける問題から確実に解くことと、時間配分が重要になっています。
大問2は「日本のくらしと変化」をテーマにした問題で、昨年同様、小問は3問でした。
問題1は距離の違いによる高さの見え方の変化について考察する問題、問題2は東海道新幹線の路線の沿線の都市と人口、または工業地帯の関係性について考察する問題、問題3は割合の計算を行い、その計算結果をグラフに表し、その結果の数値を資料と関連させて考察する問題でした。昨年と同様に基本的な問題ですので、資料を読み取って考察する力と割合計算のスピードと正確性が重要なカギとなりました。
大問3は「花粉や黄砂の測定結果」について考察する問題です。
問題1が「花粉を顕微鏡で観察し、花粉の数を求める」問題で、単位量当たりの計算を必要とします。問題2は黄砂を観測する装置の仕組みの説明から、計測結果を考察する問題です。初めて知る観測装置なので、会話文や図を読み仕組みを理解する力が必要です。問題3は「日本で黄砂が観測される原因と気象状況の関連」について考察し記述する問題です。身近な話題ですが、問題文や資料から観測の方法や分析の仕方を読み取る力が必要な問題でした。

適性検査Ⅰ

出典:
佐竹昭広 久保田淳『方丈記 徒然草』 新日本古典文学大系による

出題形式:昨年までは絵や写真から考えさせる作文や、辞書の語義や詩から考える作文でしたが、今回は徒然草から引用された短い文章とその文章の解釈を読んで書かせる新しい出題形式の作文でした。さらに、1段落には筆者がどのようなことを言いたかったのかについて100字程度で書き、次に段落をかえて「著者の言いたかったこと」について、どのように考えるかをいくつかの段落に分けて書きなさいという書き方の指定がされるという新しい形式でした。
内容:まずは、「筆者の言いたかったこと」については、さまざまな解釈ができます。「きれすぎるのはよくない」、「道具よりも技術」などです。次に、段落分けに関してですが、1段落に先ほどの解釈について書いた後、2段落でそれに関する自分の意見を書き、3段落で具体例、4段落でまとめというように4段落構成で書く必要があります。
今までのように資料を分析してそれに関する首尾一貫した内容を書くということに変わりはありませんでしたが、今回は、出題形式が新しくなったために戸惑った生徒が多かったと思います。そのため、適性検査Ⅰは昨年同様、やや難だといえます。

適性検査Ⅱ

大問1は桜修館中独自作成の問題で、「数的処理」に関する問題でした。けん玉を題材に、円や台形、三角形の面積を求める基本的な算数の問題から、拡大図や縮図に関する問題、条件整理の応用問題といった桜修館らしい出題となっています。昨年に比べ、文章はシンプルになりました。「丁寧に文章を読み、指示された通りに、素早く計算をすること」が重要です。
大問2は「野菜の栽培と流通」をテーマにした問題でした。昨年同様、小問は3題でしたが、「資料を分析・考察し、記述する問題」と「割合を計算する問題」が出題され、一昨年と似た傾向でした。資料を読み取って考察する力と割合計算のスピードと正確性が勝負の鍵でした。
大問3は「時間を計ることを題材にした理科実験」を考察する問題です。問題1が「太陽、ふり子、ろうそく」のいずれかの法則から時間が計れる理由を記述する問題で、教科書範囲の知識が必要とされました。問題2は実験結果を考察し、比例の関係を導く問題でした。問題3は対照実験について考察する問題でした。いずれも、決して目新しいものではなく、あわてずに考えれば正解にたどり着ける問題です。

適性検査Ⅰ

出題形式:2014年度の出題と同じく、絵や写真から考える問題です。
内容:絵が一枚描かれています。長方形の板の真ん中に棒が立てられており、その上にやじろべーがのっているものです。これまで、このように絵や写真から考えるタイプの問題では、「木材」、「水」、「ごはん」などの身近で具体的なものが題材にされることが多かったのですが、今回は少し異なるものが題材となりました。この絵から考えられることは、「バランス」についてなどいくつかのテーマが考えられます。大切なことは一貫した意見を順序立てて書くことで、過去問での対策が十分にできていたかどうかがポイントでした。

適性検査Ⅱ

大問1は桜修館中独自作成の問題で、「数的処理」に関する問題でした。円周の長さ、縮尺といった基本的な算数の問題から、推理に関する問題、条件整理の応用問題といった「桜修館らしい」出題となっています。昨年に比べ、文章の読解力が求められました。「丁寧に文章を読み」、「素早く計算をする」ことが重要です。 大問2は「資料の読み取り」の問題でした。小問は3つあり、そのうちの1つが「歴史」をテーマとした問題だったため、驚いた受検生も多かったのではないでしょうか。今回の大問2では、3つの小問を通して「資料内容を正確に読み取る」「関連のある事柄を探す」「条件に沿って考える」という力が試されています。取り組む問題を選び、解きやすい問題を確実に得点することが高得点のカギとなりました。
大問3は「アゲハチョウの幼虫のからだのしくみと蛹化する環境についての実験」を考察するものです。資料から幼虫の体のしくみを考える問題が1問、実験結果から結論を導き説明する問題が2問の、小問3題で構成されています。

適性検査Ⅰ

出典:川崎洋編集「にんげんぴかぴか こどもの詩2」より
出題形式:平成23年度と同じく、詩を読んで考える問題形式です。サンプル問題としても詩が例示されていました。
内容:平成23年度の作文は、「こどもの詩」、今回の作文は、「にんげんぴかぴか こどもの詩2」からの出題でした。
詩の内容は、「文字が昔の人からのおくりものである」ということでした。そのため、昔から受け継がれてきたものや、それに感謝するといった内容の作文を書くべきだと考えられます。桜修館中の作文は、全体の構成を重視しているため、内容による大きな差はないと予想されます。そして、解き終えた後の誤字や脱字、文法ミスのチェックは必須です。

適性検査Ⅱ

大問1は桜修館中独自作成の問題で、「理科実験を題材とした数理的処理」に関する問題でした。円周の長さ、速さといった基本的な算数の問題から、条件整理、推理に関する応用問題といった昨年度までの傾向を濃縮した出題となっています。時間をかけることができれば解ける問題でした。そのため、いかに“素早く解く”かが重要です。
大問2は会話文形式で、図が5つに表が1つ小問3つで5ページというボリュームのある問題構成でした。話題自体は東京オリンピックをテーマに展開しますが、各小問はそれぞれ人口推移と世代別割合、物価の変化、地図の読み方に関する問題でした。どの問題も資料を読み取れば得点できる問題でしたが、計算・解答では条件があり、それぞれの設問で細かい条件が多く提示されているので、条件を丁寧に確認して答える必要があります。
大問3は「発泡スチロールでできた立体を水中に沈め浮力により水面上へ打ち出す実験」について考察するものです。小問3題で構成されています。

適性検査Ⅰ

【1】は例年通り、基本的な計算と、資料を読み取ってカッコ内にあてはまる短い言葉を入れる問題です。例年と違うのは、地図から大陸名を書かせる知識問題が出題された点です。
【2】は例年、各問題が互いに関係のない独立問題でしたが、今年度は[問題3][問題4]が若干関連のある問題でした。問題自体の難易度は例年並みですが、文章の分量が増加しています。文意を正確に把握するのに時間がかかったのではないでしょうか。[問題1]~[問題3]は作業を正確に行えば、平易です。[問題4]は[問題3]をふまえて考えれば、解答への道筋は見えてくるはずです。[問題5]は差がつく問題です。ここまでに時間をどれだけ残せたかで得点に差が出たことでしょう。

作文

桜修館中の作文問題は課題作文で、言葉やイラスト、写真などの資料について考えたことを書くものになっています。ここが他の都立中とは大きく異なります。今年は木材の写真を見て作文を書くという内容です。出題傾向としては例年通りですが、資料が写真一枚というのは平成21年度の「ごはんの写真」以来の出題となります。字数は五百字~六百字で、例年通りです。木材の写真が一枚だけですので、さまざまな着目点から作文を書くことが可能です。しかし、資料と関連性が低いものでは高得点は望めませんので、作文中の資料の使い方が重要となります。また、着目点に応じてさまざまな内容で書くことができるため、作文そのものの一貫性、つまり構成力が非常に大切になります。

ボーダーライン

作文のボーダーラインは60~65%程度になると予測されます。適性のボーダーラインは分量が増えたこともあり、昨年は60%でしたが、今年はそれを下回り、55%~60%と予想されます。

作文

桜修館中の出題は他の都立中とは異なり、例年、課題作文となっています。今年は3つの世界地図のイラストを見て「あなたが考えたこと」を書くという内容です。この3つの世界地図は、イラストごとに日本の位置が異なっているのが特徴です。3つのイラストがあらわしていることをきちんと理解し、それについての意見が書かれているかが問われています。字数は五百字~六百字で、例年とかわりません。

適性検査

昨年と同様の傾向で、大問2題、小問9問の構成です。昨年より小問は1問増えています。
他の都立中と比べて元々少なかった記述問題が、今年は2問のみとなっており、昨年の桜修館と比べてもさらに記述の分量が少なくなりました。
[1]は植物のつくりについての問題ですが、計算力や理科の知識が必要です。昨年の問題との違いは、グラフ作成問題があったところです。
[2]は規則性の問題が中心の出題でしたが、今年はコンパスを用いた作図の問題がでました。
桜修館は全体の記述量を少なくし、理系型の問題を中心に出題する傾向が続いており、今後もこの傾向は続くでしょう。

ボーダーライン

昨年のボーダーラインは、適性検査と作文の合計で約55%でした。今年の問題のレベルは去年と同程度ですが、倍率9.38倍と昨年比140%大幅増で、この背景には私立受験組の桜修館受検者の増加があると考えられるため、受験者のレベルとともにボーダーは昨年より上がり、60%以上は最低限必要になってくると予想されます。

適性検査

今年度の適性検査の問題構成は大問2題・小問9題と昨年より2問増加しています。
都立中全体として理系の内容を重視する流れの中で、今年の桜修館の問題は例年より難度が下がったものの、作業を必要とし、粘り強さと判断力が要求される適性検査となりました。算数分野の出題が多い本校ですが、知識よりも正確な計算力・数え上げ能力が必要です。同類の問題を数多くこなすことが必須の対策といえます。
また、本年は理科的内容の出題が多くあったことがトピックとしてあげられるでしょう。グラフを読み取る力が一つのポイントになります。対策としては、グラフの読み取りのキーとなる数字の変化に着目できるようになることが重要です。 また、他の都立中でも求められているような社会情勢への理解や一般教養なども同時に磨いていく必要があります。

作文

桜修館中の作文では「論理的思考能力」が求められます。例年さまざまな切り口が可能な課題が提示されて、それに関するインスピレーションで書かせるような問題が出題されています。過去には、ごはんの写真、「道」という言葉の辞書に書いてある意味などが素材として用いられました。
今年度は「おかげさまで」という言葉を使う場面をとりあげた作文で、例年通りの形式でした。課題に対して自ら切り口を探し、論理的思考から筋道を立てて文章を作成することが大切です。
また、絵や写真や語を見て想像力を働かせ、自分の経験で根拠を挙げて、論理的に記述する力が求められています。 都立中全体では、文章を与えられ、その内容を要約したり、それに対して作文を書いたりするというタイプの問題が多くなっていますが、それらと比較すると桜修館の作文問題は特徴的と言えます。