校舎ブログ詳細

小学部本部

2025年度適性検査分析速報-白鷗高等学校附属中-

投稿日: 2025.02.3 5:50 pm

 

 

2025年度 白鷗高等学校附属中 適性検査分析速報

 

 

適性検査Ⅰ

【出典】

文章1 小島 渉『カブトムシの謎をとく』(一部改変)

文章2 恩田 陸『spring』

【出題形式】

2つの文章に対して、読解問題が2問、作文問題1問という形式は昨年度と同様でしたが、文章については最近出題されていなかった小説文が採用されました。読解問題では、解答欄に合うように答えを抜き出したり、文書をもとに空欄の内容を補う問題で昨年度と同様の形式でしたが、2つの文章内容について話し合う会話文が記載されており、それが2問に大きく関わってくるものになっていました。これまでもこのような会話文が組み込まれることはありましたが、作文ではなく読解の方に関わってくるのは初めての形式でした。

作文問題については、字数は400~440字以内で、段落ごとに書く内容についての指定はなく、問いに書かれた条件をもとに書いていくという、例年通りの形式でした。ただし条件の中で、文章と「会話」の内容をふまえるという指示があり、読解・作文ともに文章と会話の理解が重要なものであったといえます。テーマは自分にとっての「謎」を解決するために、どのような取り組みをするのかというものになっており、ena生にとっては書きやすいものであったと言えるでしょう。

 

〔問題1〕会話文にあてはまる適切な語句を文章から抜き出し記述する問題

会話文中の空欄を、文章1の言葉を抜き出して補充する問題でした。初めて見るタイプの問題でしたが、内容は文章1の「柴田さん」はどうやって謎を解こうとしていたのか、読み取るだけの問題で容易でした。探すのにやや時間がかかった受検生もいたと思いますが、柴田さんが謎を解こうとする行動を説明している部分に注目すれば、答えにたどりつきます。落ち着いて確実に正解しておきたい問題でした。

 

〔問題2〕空欄にあてはまる語句を文章内の表現をもとに考え記述する問題

会話文内の人物が文章2の登場人物の気持ちについて述べており、その気持ちがどのようなものか、空欄に適切な言葉を補充しながら説明する問題でした。特徴のある問題指示として、「文章2の中の一続きの表現をもとにして」というものがありました。「一続きの表現」なのでいくつかの文に解答の候補がまたがって述べられていると考えることができます。文章2の中から注目すべき表現を見つけることは難しくありませんが、解答欄に合うように限られた字数におさめて答えを作る必要があり、そういう意味で差がつく問題であったと言えます。

 

〔問題3〕作文問題(400字以上440字以内)

自分にとっての「謎」とは何か、またそれを解決するために、どのように取り組んでいるか、あるいは取り組んでいこうと考えているか、四百四十字以内で書く問題でした。文章1と2、そして会話文の内容も踏まえて内容を考えていく必要がありました。弊社の日曜特訓や過去問で演習を積んできた生徒にとっては、文章1・文章2・会話はそれぞれ別個の内容を述べているのではなく、「自分が解き明かしたいと思うことを解決する行動として、継続して何回も取り組むという要素」が共通内容であることは容易に読み取れたはずです。これを踏まえ条件に従って構成を考えると、「謎を解決するための行動」としては、「継続」「繰り返す」といった要素を満たさなければなりません。テーマについても、enaの受検生にとっては今まで何回も練習してきたものであり、昨年度より書きやすいものだったといえます。

 

適性検査Ⅱ

1 立体図形を題材にした問題

前年度同様に小問2題の構成でした。立体図形をテーマにした『算数』に近い問題で、記述形式の解答がありませんでした。そのため、例年と比べると取り組みやすい難度の問題になっていました。過年度の適性検査Ⅱでは、時間内に全部を解ききるのが難しく、結果的には大問1の正否がそこまで合否を左右しない年度もありましたが、今年度は一転して、しっかり解き、正解しきることができたかどうかの勝負になったと言えます。

 

〔問題1〕は立体図形の展開図から面積を求める問題です。これまでの都立中の適性検査からすると珍しく、「算数」を前面に押し出した問題で、計算力が問われる内容です。辺の長さを求めるのに必要な情報を会話文から読み取ることや、辺と辺のつながりや小数の四則演算など、基本的な項目を速く正確に行う力があれば、例年に比べて難度は低い問題でした。必答問題です。

 

〔問題2〕は立体図形を指示通りに組み立てる問題です。立体図形を様々な視点から見る「投影図」の考え方が必要です。2種類の図形のうち、1種類の図形のみあてはまる箇所に気づくことができれば、解答を絞ることができたと思います。こちらも、例年に比べて難度は低く、こちらも必答問題です。

 

2 製品のリユースやリサイクルについて考える問題

令和3年度から引き続き小問2題の構成ですが、問題1は(1)と(2)に分かれており、(1)では割合の計算が出題されました。共同作成問題の適性検査Ⅱ大問2で割合の計算が出題されたのは、平成30年度以来です。大問全体の話題はリユースやリサイクルといった循環型社会に関するもので、受検生にとっては見慣れたテーマといえるため、取り組みやすい内容だったと考えられます。

 

〔問題1〕(1)は割合の計算をしたうえで、計算結果が衣服の循環利用率と比較してどちらが高いかもあわせて答える問題です。計算自体は平易なので、確実に正解したい1問といえます。(2)は、製品ごとの循環利用における共通点と異なる点を説明する問題です。ひとつの問題で解答すべき内容が複数ある形式は、5年連続の出題となりました。例年と比べれば資料が少ないため、解答すべき情報も見つけやすく、こちらも平易でした。

 

〔問題2〕は、循環利用率を高める取り組みによって、消費者の意識や行動がどのように変化して循環利用率が高まるのかを説明する問題です。解答に用いる資料を受検生に選択させる形式は、6年連続の出題となりました。

会話文や資料は標準的な内容であり、2題とも正解すべき問です。解答に必要な要素を会話文や資料から適切に読み取ったうえで、問われていることに対しての答えをわかりやすく表現することが大切です。

 

3 シャボン玉の性質について考える問題

近年の傾向通りの問題ですが、例年よりも会話文が少なくなり、実験の手順の説明が詳細化されました。これまでであれば実験結果の着眼点を示唆するだけであったものが、それに加えて検証の仕方まで示唆されるものとなっており、大幅に解きやすくなったと言えます。しかし、思い込みなしに丁寧に問題文を読み取らないと、読み取り方が間違いやすい箇所があり、落ち着いて処理できたかどうかが正否を分けました。適性検査Ⅱの共同作成は、算数系の大問1の方が難度の高い年度と理科系の大問3の方が高い年度がありましたが、今年は全体的に難度は下がったものの、解答の記述量の面で、大問3の方が比較的難度が高かったと言えるでしょう。

 

〔問題1〕はシャボン玉をつくる液体に加える砂糖の分量によって、シャボン玉の割れやすさがどう変わるかの実験についてです。実験結果の着目すべき箇所を条件に従って見つけ、その箇所に着目する理由を述べる問題でした。着目すべき箇所自体は、単純な数値の読み取りのため平易ですが、表で示されているものは、問われている「体積」そのものではないため、解答の仕方に注意する必要があります。減点とならずに、点を取り切っておきたい一問です。

 

〔問題2〕はシャボン玉の時間経過による割れ方の実験についてです。まくをつくる液が、時間経過で下にたまることで、上部がうすくなり、割れることが実験で示されています。その結論自体の読み取りは誘導が丁寧なために難しくありませんから、条件通りに解答を書くことができたかどうかが点数を分けるでしょう。問題文を踏まえた解答の作り方の練習量が正否を分ける一問でした。

 

適性検査Ⅲ

1 条件を整理する力が問われる算数の問題
大問1は昨年度同様、自校の校舎事情を題材としており、また受検生をニヤリとさせてくれるものでした。〔問題1〕は会話文、条件を読み、条件を満たす数字のパターンを求める問題です。会話文をから得られた情報を問題中の図に書きこんでいくことで解きやすくなります。昨年度と同様の形ではありますが、会話文・条件が緩くなっています。また、記述問題はこの問題1のみで配点も高いと考えられるため、必ず得点したい問題です。〔問題2〕も〔問題1〕と同様に、条件となるアンケート結果を図に書き込み、その後条件を満たすように円をかいていくことで答えをしぼることができます。複数の解答が考えられますが、1通り答えればよいため正答率が高い問題と考えられます。〔問題3〕は会話文中の条件を式で表して整理し、条件を満たすように式に数字をはめていく必要があります。時間がかかり、差がついたと考えられる問題です。

 

2 植物をテーマとした、会話文を読んでグラフを作成する力、考察する力が問われる問題
大問2は、例年通りの実験型の問題で、難度は例年より下がりました。〔問題1〕は昨年度と同様にグラフを作成する問題でした。昨年度より書かなければいけない項目は減りましたが、表1の数値をそのままグラフにするのではない点に注意が必要です。〔問題2〕は4色すべてを同時に考えるのではなく2色ずつ考えること、つまり、分かったことを少しずつ余白に整理していくことで解きやすくなります。一見すると複雑なものの、難度としては平易であり、正答率が高い問題と考えられます。

感想およびコメントをお寄せください

小学部本部ブログはこちら