校舎ブログ詳細

小学部本部

2025年度適性検査分析速報-三鷹中等教育学校-

投稿日: 2025.02.3 6:40 pm

 

 

2025年度 三鷹中等教育学校 適性検査分析速報

 

 

適性検査Ⅰ

【出典】

〔文章1〕佐藤いつ子「透明なルール」

〔文章2〕落合由佳「要の台所」

 

【出題形式】

昨年度に引き続き物語2本からの出題でした。〔問題1〕〔問題2〕の読解問題は昨年よりやや易化しました。〔問題3〕の作文に関して、テーマとしては書きやすさがあるものの「作文内容に書かなければいけないこと」「問われ方」が例年と違うため、前年度と比較するとやや難化したと言えるでしょう。〈きまり〉に関しては前年度から変化がありました。全体としては前年度よりやや難化となりました。

 

〔問題1〕本文表現の内容を問う問題 20字以上30字以内

「透明なルール」について本文での二つの考え方を説明する問題です。

本文では、「同調圧力とかの透明なルール」、「とかの」とあるので、具体と抽象のイコール関係が成り立ちます。また、「透明なルールって同調圧力だけじゃない」と発言し、数学オリンピックのエピソード(具体)について述べています。その直後に「自分が自分に作ってしまう、透明なルール」と具体内容を抽象化しています。「透明なルール」=「同調圧力」「自分が自分に作ってしまうもの」と読み取れるのでこれらの説明をしている箇所をまとめて解答になります。平易な問題だったと言えるでしょう。

 

〔問題2〕本文表現の内容を問う問題 解答欄におさまるように書く

「人と人とのあいだのことも同じだよ」という発言から「私」と「光」の関係に対してどのようなことを伝えようとしているかを答える問題です。「も」に注目すると「料理」と同じであることが読み取れます。直前に「『どうせまずくなる』なんて思いながら料理はしない」、「直後に相手と1つの料理を~」とありますがこちらは「料理の話」、つまり「人間関係」を例えている内容です。問は「人間関係」に関してなので「これらの話」を人間関係に当てはめている「お互いに力を合わせる」という箇所を中心にまとめて解答になります。

 

〔問題3〕作文問題 400字以上460字以上

作文問題には変化がありました。文字数に関しては変化なし。〈きまり〉において作文問題に段落を設けて1マス目をあけるという指示になりました。近年までは段落は設けず1マス目から書き出すというものでした。〈きまり〉を注意深く読む必要がありました。また、近年にはなかった段落での内容指定がありました。第一段落では81字以上100字以内で意見を書き、第2段落でその理由を書くという問でした。意見に関して細かい文字数指定があるので、内容をまとめる力、字数に合わせて表現する力が試されました。作文のテーマとしては取り組みやすいものでしたので「書かなければならない内容」を条件にしたがってかけているかどうかが重要となります。作文内容としては文章内容を参考に、〔文章1〕の内容にある「意見を言う」という要素、〔文章2〕の内容にある「協力する」という要素を繋げて意見をまとめます。また、「自分でマイナスな方向に決めつけない」という要素も絡んできます。理由に関しては、意見の根拠になっているかどうか、論理の筋があるかどうかが重要です。

 

適性検査Ⅱ

1 スーパーマーケットを題材として、与えられた条件に従って組み合わせの思考や計算を行う問題が出題されました。近年は小問3題の構成でしたが、今年度の小問数は2題でした。その分、正解に辿りつくまでに必要な作業量が増えています。

〔問題1〕はバーコードについての条件を読み取り、数字を表す配線の組み合わせが何通りあるのかを答える問題でした。正答するためには条件を理解した上で、迅速かつ正確に場合分けをして数え上げていく必要があります。また数字の組み合わせを考えた後に、白と黒の反転を考慮して組み合わせの個数を2倍する必要がありました。令和4年度でも類似の問題が出題されており、改めて過去問演習の重要性を感じる一問でした。

 

〔問題2〕は、容器にAとBのお菓子の箱を隙間なく入れたときの個数と入れ方を説明し、その入れ方でお菓子の合計金額が最も高くなることを説明する問題でした。与えられている条件はやや少ないものの、答えるべきことが複数あるため、解く前にまず何から考えるのか、どこから試すのかといった方針を適切に立てる必要があります。また、単純な比較の説明問題ではないため、記述の仕方にもテクニックが必要でした。大きな試行を要することや、何から手を付けるのかを自分で判断しなければならないことから、近年の三鷹中としてはやや珍しいタイプの問題といえます。時間内で正答する上では難度が高いため、大きく差のついた問題であったと言えます。

 

 

2 製品のリユースやリサイクルについて考える問題

令和3年度から引き続き小問2題の構成ですが、問題1は(1)と(2)に分かれており、(1)では割合の計算が出題されました。共同作成問題の適性検査Ⅱ大問2で割合の計算が出題されたのは、平成30年度以来です。大問全体の話題はリユースやリサイクルといった循環型社会に関するもので、受検生にとっては見慣れたテーマといえるため、取り組みやすい内容だったと考えられます。

 

〔問題1〕(1)は割合の計算をしたうえで、計算結果が衣服の循環利用率と比較してどちらが高いかもあわせて答える問題です。計算自体は平易なので、確実に正解したい1問といえます。(2)は、製品ごとの循環利用における共通点と異なる点を説明する問題です。ひとつの問題で解答すべき内容が複数ある形式は、5年連続の出題となりました。例年と比べれば資料が少ないため、解答すべき情報も見つけやすく、こちらも平易でした。

 

〔問題2〕は、循環利用率を高める取り組みによって、消費者の意識や行動がどのように変化して循環利用率が高まるのかを説明する問題です。解答に用いる資料を受検生に選択させる形式は、6年連続の出題となりました。

会話文や資料は標準的な内容であり、2題とも正解すべき問です。解答に必要な要素を会話文や資料から適切に読み取ったうえで、問われていることに対しての答えをわかりやすく表現することが大切です。

 

3 シャボン玉の性質について考える問題

近年の傾向通りの問題ですが、例年よりも会話文が少なくなり、実験の手順の説明が詳細化されました。これまでであれば実験結果の着眼点を示唆するだけであったものが、それに加えて検証の仕方まで示唆されるものとなっており、大幅に解きやすくなったと言えます。しかし、思い込みなしに丁寧に問題文を読み取らないと、読み取り方が間違いやすい箇所があり、落ち着いて処理できたかどうかが正否を分けました。適性検査Ⅱの共同作成は、算数系の大問1の方が難度の高い年度と理科系の大問3の方が高い年度がありましたが、今年は全体的に難度は下がったものの、解答の記述量の面で、大問3の方が比較的難度が高かったと言えるでしょう。

 

〔問題1〕はシャボン玉をつくる液体に加える砂糖の分量によって、シャボン玉の割れやすさがどう変わるかの実験についてです。実験結果の着目すべき箇所を条件に従って見つけ、その箇所に着目する理由を述べる問題でした。着目すべき箇所自体は、単純な数値の読み取りのため平易ですが、表で示されているものは、問われている「体積」そのものではないため、解答の仕方に注意する必要があります。減点とならずに、点を取り切っておきたい一問です。

 

〔問題2〕はシャボン玉の時間経過による割れ方の実験についてです。まくをつくる液が、時間経過で下にたまることで、上部がうすくなり、割れることが実験で示されています。その結論自体の読み取りは誘導が丁寧なために難しくありませんから、条件通りに解答を書くことができたかどうかが点数を分けるでしょう。問題文を踏まえた解答の作り方の練習量が正否を分ける一問でした。

感想およびコメントをお寄せください

小学部本部ブログはこちら