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2025年度適性検査分析速報-お茶の水女子大学附属中-

投稿日: 2025.02.3 6:05 pm

 

 

2025年度 お茶の水女子大学附属中 適性検査分析速報

 

 

検査Ⅰ

大問1 会話文と実験結果、資料をもとに理科の知識や考察力を問う問題

問題数は15問で、昨年の16問と比較すると1問減少しており、一昨年の14問と比べても大きな変動は見られませんでした。会話文の分量についても昨年とほぼ同様であり、会話の内容から情報を読み取るというよりは、理科の基礎知識が十分に身についているかどうかが試される問題構成となっていた点も昨年同様と言えます。物の燃え方、月の満ち欠け、電気回路、浮力、渡り鳥に関しての基本的な知識が身についていたかどうかが鍵となりました。加えて、近年の社会問題の一つである光害についての問題も、渡り鳥の習性と関連させて出題されており、理科的な視点で環境問題を考察する力が試される内容となっています。受験生にとっては、単なる知識の暗記ではなく、知識を活かして考察する力を養うことが求められたといえるでしょう。

大問2 東北地方・富士山と人々の暮らし・暮らしの身近にあるものを題材とした問題

東北地方、富士山、身近にあるものをテーマに各分野からの問題が出題されました。問題数は14問と昨年度よりも1問減り、一昨年度と同じ問題数に戻りました。地理・歴史分野に比重が置かれ、資料読み取り問題、地図に書き込みをする問題が出題されるなど、新しい傾向が見られました。ただ問われている内容自体は細かいものではなく、難度は高くはありませんでした。小学校で勉強した内容がしっかりと身についていたかが問われました。

大問3 制服を題材とした問題

制服をテーマに制服の組み合わせ等について考えさせる問題でした。問題数は5問と昨年度と変わりませんでした。毎年恒例の記述問題は、「みんなが満足するような」制服の組み合わせや制服そのものについての提案内容についてで、60字~100字と昨年度通りでした。例年のお茶の水の問題同様に、「誰かの意見に偏らない全員がひとまずは納得できる意見」を問われました。普段、生活で制服をきて仕事をしている職業の具体例を挙げさせるなど、生活において身の回りをよく見ているかを確認するものも出題されました。

検査Ⅱ

【出典】
〔大問1〕田中真知「風をとおすレッスン 人と人のあいだ」

〔大問2〕田中幸・勇気千代子「泡のざわめき」   小野正弘「日本語オノマトペ辞典」

 

〔大問1〕説明文の読み取り問題

対話をテーマとした説明文を読み9問の問に答える形式でした。問題数は昨年度の10問から1問減りました。漢字、接続詞などは例年通りの出題で確実に正解したい問題でした。文章読解問題の難度は例年に比べるとやや高く、差がついたと思われます。根拠を持ち、手順を追って解答を探す習慣がついていたかどうかが問われました。また、普段であれば資料読解で出題されていた自分の意見を述べる作文が説明文にて出題されました。戸惑った受験生も多かったかもしれませんが、文章を落ち着いて読むことができれば、普段通りの作文と形式は変わりませんでした。

 

〔大問2〕資料を読み取ったり、考えを書いたりする問題

オノマトペについての資料を読んで設問に答える形式でした。例年最後に出題される作文問題がなくなり、文章読解の小問内に移動し、数年前の形式に近いものとなりました。問題自体の難度は高くはありませんが、問題数の多さから時間に追われた受験生も多かったでしょう。

 

検査Ⅲ

1 基礎計算力を見る問題

昨年度同様に、基本的な四則計算、小数・分数計算から小問4題が出題されました。難易度は前年度同様でした。いかに正確かつ速く解くことができるかが、その後の問題にゆとりを持つためのカギとなります。そのためには日頃から結合法則や分配法則といった計算時の工夫を常に取り入れておくとことが重要です。

 

2 算数の応用力を問う問題

昨年度と同様に小問4題の出題となりました。一昨年は5題、昨年度は4題、そして今年も4題であったため、例年通りの分量といって差し支えないでしょう。難易度についても昨年と大きな変化は見られませんでした。出題内容は、公約数を求める問題、ダイヤグラムを用いて速さを計算する問題、指定の条件を満たす長方形の作図、そして統計分野からヒストグラムの選択を求める問題が含まれていました。2年連続で統計処理能力を問う問題が出題されたこととなります。統計に関する問題は近年の教育改革の流れの中で重要視されており、受験問題としての出題も今後増えることが予想されます。

 

3 立体図形の考察力を見る問題

粘土とストローで組み上げられた骨組みだけの立方体に紐を結びつけ、その紐の見え方について考察させる問題が出題されました。問題の本質は、立方体の構造を理解し、ねじれの位置にある2本の辺の見え方を、異なる視点から正しく捉えることにありました。立体的な想像力を問う問題となっており、見えない部分を補完しながら全体像をイメージする力が求められました。これは、お茶の水女子大附属中の入試ではこれまでに見られなかった形式の問題であり、新傾向の問題と言って差し支えないでしょう。一見すると複雑な問題に見えますが、立体そのものを直接考えるのではなく、投影図や断面図を想像し、平面図形として整理することで、ねじれの位置にある辺の見え方を把握するアプローチが有効でした。すなわち、立体の問題に取り組む際の基本姿勢が身についていれば十分に対応できる内容だといえます。今回の出題は、受験生にとって未知の問題形式ではあったが、基本的な立体図形の考え方を正しく身につけていれば、十分に対応可能な問題であったといえるでしょう。

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